フェンダー・ストラトキャスター
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「ストラト」はこの項目へ転送されています。1980年発売の商品については「フェンダー・ストラト」を、みゆはんの曲については「ストラト (みゆはんの曲)」を、NICO Touches the Wallsの曲については「ストラト (NICO Touches the Wallsの曲)」をご覧ください。

フェンダー・ストラトキャスター
Fender Stratocaster

メーカー/ブランドフェンダースクワイア
製造時期1954年 ?
構造
ボディタイプソリッド
スケール長25 1/2インチ
フレット数21フレット/22フレット
ネックジョイントボルト・オン
材質
ボディアッシュアルダーまたはバスウッド
ネックメイプル
フィンガーボードローズウッドメイプルまたはパーフェロー(英語版)
ハードウェア
テールピースシンクロナイズド・トレモロ
電気系統
ピックアップシングルコイル×3
コントロールボリューム×1、トーン×2、3/5ウェイセレクタースイッチ
カラーバリエーション
スタンダード・シリーズ:
ブラック、クローム・レッド、ブラウン・サンバースト、エレクトロン・ブルー、ミッドナイト・ワイン、アークティック・ホワイト
アメリカンシリーズ:
ブラック、3トーンサンバースト、オリンピック・ホワイト、クローム・レッド、ショア・ゴールド, バタースコッチ・ブロンド, チャコール・メタリック
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ストラトキャスター(Stratocaster)は、フェンダー社が1954年から発表・発売を行っているエレクトリック・ギターの機種。同社社長レオ・フェンダーらによって開発された。

ギブソン社のレスポールモデルと並ぶエレクトリックギターの代表的な存在で、現在はフェンダー社の2つのブランド(フェンダー、スクワイア)から販売されている。

テレキャスターの後継機であること、また当時、未来や最先端をイメージさせる「宇宙」や「成層圏(stratosphere)」から、その名前が付けられた。
設計
基本構造

ストラトキャスターの基本構造は、同じフェンダー社のテレキャスターを発展させたものといえる。従来のギターはボディとネックをニカワなどで接着して製造するセットイン・ネック(英語版)という構造が採用されていたが、テレキャスターではボルトオン・ネック(英語版)という両者を木ねじで結合する大胆な設計になっており、大量生産を可能にした。ボディは木取りや木目の関係で切り出した木材を接着したもの[注 1]を成形しており、内部に共鳴部(空洞部分)が無い構造である(ソリッドボディ)。ボディに共鳴部がないため、大音量で演奏してもハウリングを起こしづらい。ボディとネックは角度を持たずに接合されており、ヘッドとネックも角度をもたずに成形されている。

ストラトキャスターはそれらテレキャスターの構造をほぼそのまま受け継いだ上で、さらに簡略化が図られていた。具体的には、ピックアップやボリュームやスイッチといった電装部品を樹脂製のピックガードにまとめて取り付け、これをボディ表面に木ねじで固定するという方式の採用である[注 2]。そのため、ジャック(ボディに固定)を除けば、電装部品すべてをピックガードとともにポン付けできるようになった。この簡略化のお陰でボディやネックの加工と電装部品の配線をそれぞれ別工程にすることが可能になり、後年のコンポーネント・ギター(ボディやネックや電装品などを、純正以外のものと交換して作られた改造ギター)登場への道を開くことにもなった。

ストラトキャスターはテレキャスターと同様、本来はカントリー・ミュージックなどで使用することを想定して設計された。シンクロナイズド・トレモロ(後段で解説)も、カントリーやハワイアンで多用されるスティール・ギターのスライド奏法に近いサウンドを出すのが、本来の目的であった[注 3]
ボディ形状ボディ

ボディ形状もテレキャスターが母体になってはいるが、より工夫が施されている。高音部の弾きやすさに影響するカッタウェイはテレキャスターと変らないが、ストラップを使用した時のバランスを改善するため、低音弦側のボディを上部に伸ばしたダブルカッタウェイシェイプが採用されている[注 4]。さらに、ギターを構えた際の身体とボディの当たり具合を改善するため、腰や肘の当たる部分が大きく曲線的に削り取られており(コンタード・ボディ)、ボディ全周の角も丸く削られている[注 5]
ヘッドスクワイア・ストラトキャスターのラージヘッド

ヘッドはネックに対して角度を持たず、平行に成型されている。また糸巻き(ペグ)は、ギターを構えた際の上部側に一列に配置されている。そのため、1弦側と6弦側で弦の角度(弦がナットに圧着される度合い)が大きく異なってしまい、そのままでは弦のテンションが1弦側と6弦側で大きく違ってしまう。これを補正するため、1弦側(1弦と2弦、または1弦?4弦など)にストリングガイド(弦の角度を大きくする)が取り付けられている。

ヘッド部の形状はテレキャスターに比べて大型化しており、大きく分けてスモールヘッド(PRE CBS)とラージヘッド(POST CBS)の2種類が存在する。初期(60年代半ばまで)はスモールヘッド、その後はラージヘッドという流れであったが、1985年のCBS撤退・フェンダー社の再興に伴う品質の再構築の流れを受けてスモールヘッドが一般的なヘッド形状となり、ラージヘッド形状はPOST CBS期を彷彿とさせるバリエーションとして製造されるといった形となり現在に至る。
ペグ(糸巻、転手、チューナー)

装着されるペグ(糸巻き)は、Fキーペグと呼ばれるFの字がプレスされた物、クルーソン・タイプやロトマチック・タイプ、ロック式など、数種類が存在する。ストリングスガイドを使わなくても良いように弦を巻く軸の長さが1弦側が短くなっているタイプもある。アフターマーケットでは様々な物が手に入るので好みの物に交換できる。
ナット

0フレットのない、一般的な物である。アフターマーケットにはブラス製やデルリン製といった様々な材質やチューニングを正確にする工夫をされた変形品もある。また、弦を受ける部分にローラーが使われた「ローラー・ナット」というものが存在し、ジェフ・ベックモデルやアメリカン・デラックスシリーズに採用されている。[注 6]
電装部品

ピックアップは通常、シングルコイルを3つ(フロント=ネック側、ミドル=中央、リア=ブリッジ側)搭載していて、スイッチで切り替えることが出来る。工場出荷時の配線状態では、ツマミは3つ(ピックアップに近い方からマスター・ヴォリューム、フロント・トーン、ミドル・トーン)。

従来はリア・ピックアップにはトーン・コントロールがなかったが、近年のモデルではミドル・トーンが、リア・ピックアップのトーンコントロールを兼ねている製品(アメリカンシリーズ等)もある。

ピックアップの切り替えスイッチは、初期にはフロント/ミドル/リアの3ポジションだったが、ハーフトーン(2つのピックアップを利用しミックスしたサウンド)を得るためサードパーティから5ポジションスイッチが発売された後、現在では最初から5ポジション(フロント/フロント+ミドル/ミドル/ミドル+リア/リア)が採用されている。[注 7]

アンプへのシールド・ケーブルを接続するジャックは、テレキャスターはボディ側面とプラグが垂直に接続される方式だったが、ストラトキャスターではボディ表面に対してプラグが斜めに接続されるよう工夫されている。
ブリッジシンクロナイズド・トレモロユニット(ヴィンテージ・タイプ)ボディ下面に設けられたスプリング・キャビティ内部。左からスプリングハンガー、ばね、サステインブロック。

ストラトキャスターの革新的な特徴の一つが、シンクロナイズド・トレモロ・ユニットというフェンダー社によって名づけられたビブラート・ユニットである。実際にはビブラート効果(音程の変化)を出す目的の装置で、トレモロ効果(音量の変化)のための物ではない。[注 8]

これは、ブリッジ部に取り付けられているトレモロ・アームと呼ばれる棒を、ボディに向かって押す、あるいは(調整して、それを可能にした上で)引いてビブラート効果を得る装置である。トレモロアームはねじ込み式で、取り外すことができる。

ブリッジはテールピースと一体で、ボディ裏側にスプリングがついており、弦の張力と拮抗してブリッジおよびテールピースの位置を維持している。トレモロアームの操作でブリッジとテールピースの位置を移動させて弦の張力を変え、音程を変化させる。

ばねを利用したビブラート・ユニットはすでにビグスビー社などによって開発されていたが、シンクロナイズド・トレモロは、構造の単純さ、音程の可変幅の大きさ、チューニングの狂いの少なさなどで群を抜いていた。


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