フェンタニル (Fentanyl) は、鎮痛剤として使用される非常に強力な合成オピオイドである。ほかの薬物とともに、麻酔[1]、集中治療室での鎮痛、鎮静[2]に用い、術後鎮痛や癌性疼痛の鎮痛にも適応がある[3]。
フェンタニル
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
N-phenyl-N-[1-(2-phenylethyl)piperidin-4-yl]propanamide
臨床データ
発音/?f?nt?n?l/ or /?f?nt?n?l/
販売名フェンタニル[5]、フェントス[6]、イーフェン[7]、アブストラル(Abstral)[8]、デュロテップ[9]、ワンデュロ[10]、Sublimaze[11]、Instanyl[12]、Lazanda[13]
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フェンタニルは、主に鎮痛薬として使用される強力な合成ピペリジン系オピオイドである。ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の効力を持つ[19]。主な臨床用途は、がん患者や手術患者の術中・術後の疼痛管理である[20][21]。フェンタニルは処置時の鎮静・鎮痛にも使用される[22]。投与方法にもよるが、フェンタニルは非常に即効性があり、比較的少量で過剰摂取を引き起こす可能性がある[23]。フェンタニルはμオピオイド受容体
(英語版)を活性化することによって作用する[17]。作用は急速で、効果は通常2時間以内に消失する[17]。医療では注射、鼻腔スプレー、皮膚パッチ、トローチ、錠剤などの剤形で頬粘膜から吸収させて用いる[17][24]。医薬品としてのフェンタニルの有害作用は、他のオピオイドの有害作用と同じであり[25]、依存症、せん妄、呼吸抑制(重度かつ未治療の場合、呼吸停止に至る可能性がある)、傾眠、吐き気、視覚障害、ジスキネジア、幻覚、せん妄、「麻薬性せん妄」として知られるこれら精神症状の組み合わせ、イレウス、筋硬直、便秘、意識消失(英語版)、低血圧、昏睡、死亡などである[22]。