アインスタイニウム←フェルミウム→メンデレビウム
Er
↑
Fm
↓
不明
100Fm周期表
外見
不明
一般特性
名称, 記号, 番号フェルミウム, Fm, 100
分類アクチノイド
族, 周期, ブロックn/a, 7, f
原子量[257]?
電子配置[Rn] 5f12 7s2
電子殻2, 8, 18, 32, 30, 8, 2(画像)
物理特性
相固体
融点1800 K,?1527 °C,?2781 °F
原子特性
酸化数2, 3
電気陰性度1.3(ポーリングの値)
イオン化エネルギー1st: 627 kJ/mol
共有結合半径167 pm
その他
CAS登録番号7440-72-4
主な同位体
詳細はフェルミウムの同位体を参照
フェルミウム(英: fermium [?f?rmi?m])は、元素記号Fm、原子番号100の人工放射性元素である。アクチノイドの1つである。フェルミウムはより軽い元素への中性子照射で生成する最も重い元素であり、そのためマクロ量で生成しうる最後の元素である。しかし、純粋な金属としてのフェルミウムはまだ生成されていない[1][2]。19個の同位体が知られており、その中でフェルミウム257が100.5日と最長の半減期を持つ。
フェルミウムは、1952年の最初の水素爆発の塵の中から発見された。化学的性質はアクチノイド後半の元素に典型的なもので、原子価は+3が優占的だが、+2も取り得る。半減期が短く生成量が少ないため、現在は基礎科学研究用途以外ではほとんど用いられていない。他の人工放射性元素が全てそうであるように、フェルミウムの同位体は全て放射性であり、高い毒性を持つと考えられている。 原子核物理学のパイオニアの1人でノーベル物理学賞受賞者のエンリコ・フェルミに因んで名付けられた。 フェルミウムは、1952年11月1日に行われた最初の成功した水素爆弾実験アイビー作戦(アイビー・マイク)で発生した放射性降下物の中から発見された[3][4][5]。当初の塵の分析では、ウラン238が6個の中性子を吸収し、その後2回ベータ崩壊した時にのみ生成しうるプルトニウムの新しい同位体であるプルトニウム244が検出された。当時は、重い原子核が中性子を吸収するのは珍しい過程だと考えられていたが、プルトニウム244の検出により、さらに多くの中性子がウラン原子核に吸収される可能性が表れ、新しい元素の発見につながった[5]。 元素99(アインスタイニウム)は、爆発の雲の中を漂っていたろ紙の中からすぐに発見された(プルトニウム244の検出と同じサンプリング手法)[5]。これは、1952年12月にカリフォルニア大学バークレー校のアルバート・ギオルソらによって発見された[3][4][5]。彼らが発見したのは、ウラン238が中性子を15個吸収し、その後7回ベータ崩壊してできる、半減期20.5日のアインスタイニウム253であった。 92 238 U → + 15 n , 7 β − 99 253 E s {\displaystyle \mathrm {^{238}_{\ 92}U\ {\xrightarrow {+\ 15n,7\beta ^{-}}}\ _{\ 99}^{253}Es} } さらに、ウラン238がこれ以上(恐らくは16個か17個)の中性子を吸収することもあると考えられた。 元素100(フェルミウム)は、元素99よりも1桁少ない収率になると予測されたため、その発見には、さらに多くの材料が必要であった。そのため、ローレンス・バークレー国立研究所の調査団は、船で汚染されたサンゴを回収し、分析した。水素爆弾実験から約2ヶ月後、高エネルギーのアルファ粒子(7.1MeV)を放出する半減期がほぼ1日の新しい成分が分離された。その短い半減期から、このような同位体が生じるのはアインスタイニウムがベータ崩壊した時のみであるため、新しい元素100だと考えられ、実際にすぐにフェルミウム255(半減期20.07時間)と確認された[5]。 この新しい元素の発見と新しい中性子捕獲のデータは、冷戦の緊張の下、アメリカ軍の要請を受けて1955年まで明らかにされなかった[5][6][7]。
名称
発見フェルミウムは、"アイビー・マイク"のフォールアウトの中から最初に見つかった。元素名の由来となったエンリコ・フェルミ