「フェライト相」とは異なります。
高周波ノイズ低減用のフェライトクランプフェライト磁石
フェライト(英: ferrite)は、酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称である。 強磁性を示すものが大半であり、磁性材料として広く用いられている。 軟磁性を示すものをソフトフェライト、硬磁性を示すものをハードフェライトと呼ぶ。東京工業大学の加藤与五郎と武井武によって発明された。 磁石(フェライト磁石)やインダクタ等のコア(フェライトコア)等、磁性体として、特に電磁的な部品用として多用されている。 従来の珪素鋼板では渦電流が発生して加熱するので高周波での磁心の使用には不適で欧米ではダスト・コアと呼ばれる金属磁性体を樹脂で固めた磁心が使用されていたが、第二次世界大戦後には高周波特性の優れたフェライトコアに置き換えられた[1]。 フェライトは結晶構造によってスピネルフェライト、六方晶フェライト、ガーネットフェライト等に分類される。 スピネル型結晶構造を持つ。組成式は AFe 2 O 4 {\displaystyle {\ce {AFe2O4}}} (AはMn,Co,Ni,Cu,Zn等)。 最も一般的なフェライトであり、そのほとんどはソフトフェライトである。マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等が代表的なものである。透磁率が高く、また電気抵抗が高いことから高周波数領域での渦電流損失が小さいため、高周波用のインダクタやトランスの磁芯材料として用いられる。亜鉛フェライトは反強磁性体であり強磁性を示さないが、他のスピネルフェライトに亜鉛を添加すると磁性を強める働きがある。 コバルトフェライトはスピネルフェライトの中では例外的に保磁力が大きく、かつては磁石(商品名:OP磁石)として用いられた。これがフェライトの最初の実用例である。現在ではより高性能な六方晶フェライトに取って代わられている。また、磁鉄鉱(マグネタイト、Fe3O4)もスピネルフェライトの一種で、Aサイトの元素がFeとなったものである。 マグネトプランバイト ガーネット型結晶構造を持つ。組成式は RFe 5 O 12 {\displaystyle {\ce {RFe5O12}}} (Rは希土類元素)。 RIG(Rare-earth Iron Garnet、希土類鉄ガーネット)とも呼ばれる。代表的なものはYIG(Yttrium Iron Garnet、イットリウム鉄ガーネット)である。高周波領域での磁気損失が小さいため、マイクロ波用磁性材料として用いられる。 1930年に加藤与五郎と武井武がハード・フェライトとソフト・フェライトを発見した[2][3]。ソフト・フェライトについて、1930年1月21日の日本鉱業会の例会にて講演という形で日本語で発表した(口頭発表者は加藤)[4]。この例会にて発表した内容については、質疑を含めて、論説および報告として10ページにまとめられ、日本鉱業会誌の1930年3月号に、加藤、武井の連名で「亞鐵酸亞鉛 (Zinc Ferrite) の組成、化學的性質及び磁性に關する研究」[5]というタイトルで掲載された[6]。また、米国電気化学会
概要
分類
スピネルフェライト
六方晶フェライト
ガーネットフェライト
歴史フェライトの開発研究に対する貢献に対して授与されたIEEEマイルストーン銘版。東京工業大学博物館所蔵。
脚注
注釈^ ドイツや他国では加藤と武井の実績があったので却下された。
出典^ 岡本明 & 2010-06, p. 129.
^ 岡本明 & 2010-06, p. 130 表1.
^ 「理研の歴史:フェライト研究、武井研究室座談会」(動画)(書き起こし)
^ 松尾博志 2000, p. 222.