フェノール
IUPAC名
フェノール
ベンゼノール
別称石炭酸
ベンゼノール
ヒドロキシベンゼン
フェニルアルコール
識別情報
CAS登録番号108-95-2
40.5 °C, 314 K, 105 °F
沸点
181.7 °C, 455 K, 359 °F
水への溶解度8.3 g/100 ml (20 °C)
酸解離定数 pKa9.87
双極子モーメント1.7 D
危険性
安全データシート(外部リンク)厚生労働省モデルSDS
GHSピクトグラム [1]
GHSシグナルワード危険 [1]
Hフレーズ
飲み込むと有害(経口)
皮膚に接触すると有毒(経皮)
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
重篤な眼の損傷
遺伝性疾患のおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
呼吸器、心血管系、腎臓、神経系の障害
長期又は反復ばく露による心血管系、肝臓、消化管、血液系、腎臓、脾臓、胸腺、中枢神経系の障害
水生生物に毒性 [1]
NFPA 704230COR
引火点79 °C
関連する物質
関連物質ベンゼンチオール
ベンジルアルコール
フェネチルアルコール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
フェノール
フェノール (英: phenol、benzenol) は、 性質としては、常温では白色の結晶で、常温の水にはいくらか溶け、エチルアルコールなどにはよく溶け、水彩絵具のような特有の薬品臭を持つ。→#性質 フェノールという名は、ベンゼンの古名「phene」に由来。和名は石炭酸(せきたんさん)。 毒性および腐食性があり、皮膚に触れると薬傷をひきおこす。絵具に似た臭気を有する。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。 水に可溶(8.4g/100mL, 20℃)で、アルコールやエーテルには任意の割合で溶ける[3]。 芳香環の共鳴効果によって共役塩基のフェノキシドイオン(またはフェノラートイオン);C6H5O-が安定化されるため、同じくヒドロキシ基を持つアルコール類よりも5桁以上高い酸解離定数 (pKa = 9.95) を示す[4]。ゆえに弱い酸性を示し、カチオン種と共に塩を形成する。フェノール塩はカチオン種名と「フェノキシド」を合わせて命名する(例:ナトリウムフェノキシド)。 ケト-エノール互変異性によってシクロヘキサジエノン フェノールに塩化鉄(III)水溶液を滴下すると鉄フェノール錯体が生成し赤紫(青紫)色を呈する。 Fe 3 + {\displaystyle {\ce {Fe^3+}}} は6配位のイオンであるが、フェノキシドイオンは立体的にかさ高いので [ Fe ( OC 6 H 5 ) n ( H 2 O ) 6 − n ] 3 − n {\displaystyle {\ce {[Fe(OC6H5)_{n}(H2O)_{6-n}]^{3-n}}}} のような錯体を作っていると考えられる。[6] この反応はフェノール性ヒドロキシ基をもつ化合物の簡易的な検出法として広く用いられている。 コールタールから分離するかベンゼンから合成する。ベンゼンからの合成法は、ベンゼンをスルホン化し、そのナトリウム塩をアルカリ融解する、クロロベンゼンとしてから、これを高圧下で水酸化ナトリウム水溶液と加熱する、クメンヒドロペルオキシドとしてから分解する(クメン法)などの方法によって生産される。クメン法の場合、副産物としてアセトンを生じる。フェノールの2008年度日本国内生産量は 771,641t、消費量は 194,594t である[7]。 実験室的製法として、ベンゼンをスルホン化あるいは塩素化した、ベンゼンスルホン酸あるいはクロロベンゼンを、溶融した水酸化ナトリウム中で加熱分解するとフェノールのナトリウム塩(ナトリウムフェノキシド)が得られる。これは電子密度が低下したベンゼン環への水酸化物イオン OH? のipso型の求核置換反応である。スルホ基やクロロ基は電子求引性が大であることと、脱離基として能力が高い為にこの種の反応が起こりやすくなっている。 フェノールはフェノール樹脂に代表されるプラスチックの他、医薬品や染料など各種化成品の原料として広く用いられている。
広義には、芳香環(特にフェニル基のRの部分)に水酸基(ヒドロキシ基)が結合した化合物全般である「フェノール類」を指す[2]。化学式はArOHで表される(Arはベンゼン環やナフタレン環など)[2]。
狭義には、フェノール類のうち もっとも簡単な化合物であるヒドロキシベンゼン、つまりベンゼンの水素原子の一つが水酸基(ヒドロキシル基)に置換された化合物のこと[2]。石炭酸。本記事では、この物質を中心に解説する。
概説
性質
検出
生産と用途
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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