フェノールフタレイン
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フェノールフタレイン

低pH (0?8.2) での構造
IUPAC名

3,3-bis(4-hydroxyphenyl)isobenzofuran-1(3H)-one
識別情報
CAS登録番号77-09-8 
PubChem4764
ChemSpider4600 
KEGGD05456 
ChEMBLCHEMBL63857 
SMILES

O=C1OC(c2ccccc12)(c3ccc(O)cc3)c4ccc(O)cc4

InChI

InChI=1S/C20H14O4/c21-15-9-5-13(6-10-15)20(14-7-11-16(22)12-8-14)18-4-2-1-3-17(18)19(23)24-20/h1-12,21-22H Key: KJFMBFZCATUALV-UHFFFAOYSA-N 

InChI=1/C20H14O4/c21-15-9-5-13(6-10-15)20(14-7-11-16(22)12-8-14)18-4-2-1-3-17(18)19(23)24-20/h1-12,21-22HKey: KJFMBFZCATUALV-UHFFFAOYAH

特性
化学式C20H14O4
モル質量318.32 g mol?1
外観白色または淡黄色固体
密度1.277 g cm?3 (32 °C)
融点

258 - 263 °C, 534-536 K ([1])
への溶解度不溶
ほかの溶媒への溶解度ベンゼンに不溶、エタノールとエーテルに非常に溶ける、DMSOにわずかに溶ける LambdaMax = 552 nm (1st)
374 nm (2nd)[1]
危険性
GHSシグナルワード危険(DANGER)
HフレーズH341, H350, H361[1]
PフレーズP201, P281, P308+313[1]
EU分類 T Xn
NFPA 704320
RフレーズR22, R40, R45, R62, R68,
SフレーズS53, S45
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フェノールフタレイン (phenolphthalein) は化学式 C20H14O4 の有機化合物である。分析化学において 酸塩基指示薬として用いられる。白色または淡黄色の固体であり、には非常に溶けにくい。PP、HIn、もしくはphph と略されることがある。滴定に広く利用される。

粉末のほか、エタノール-水の溶液が試薬として市販されている。フェノールフタレインをエタノールに溶かし、水で希釈したものは酸塩基指示薬としてアルカリ性の検出に用いられ、赤紫色(濃い桃色)を呈する。濃度が濃ければ、色にもなることがある。強塩基の場合は、非常にゆっくりと色が消えていき、無色となる。色の変化は、構造が変わることで起こり、pH < 8.3 の酸性側で無色、pH > 10.0 の塩基性側で赤紫色を示す。なお、pH > 13.4では、さらに構造が変化し、無色となる。以下の4つは各pHにおけるフェノールフタレインの構造式である。

各pHにおけるフェノールフタレインの構造式化学種In+H2InIn2?In(OH)3?
構造式
モデル
pH<-1 H2SO4中[2]0?8.38.3?13.4>13.4
酸性度強酸性酸性または中性塩基性強塩基性
オレンジ無色ピンクからフクシャ無色
画像

合成

フェノールフタレインは無水フタル酸と2つのフェノールの3つの分子を酸性条件で縮合させることにより合成される。この反応は1871年、アドルフ・フォン・バイヤーによって発見された[3][4][5]フェノールフタレインの合成
用途フェノールフタレインのアルカリ水溶液

フェノールフタレイン
pHによる色の変化
7.8以下[6]?10.0?13.4?13.4以上

フェノールフタレインは一世紀以上にわたって下剤に利用されてきたが、げっ歯類の実験結果より、発癌性の疑いが認められたため、現在では一般用医薬品から除外されている[7][8][9]

フェノールフタレインはカスル・マイヤー試験(英語版)として知られる血液の検出にも用いられる。乾燥した検体を綿棒濾紙に集める。初めにアルコール、次にフェノールフタレイン、最後に過酸化水素水を検体に数滴ずつたらす。検体にヘモグロビンが含まれていれば、色がピンクに変わる。この反応が陽性を示せば、検体には血液が含まれると考えられる。この実験は検体を壊さないため、検体を使用してさらに実験を行う際に適している。しかしこの実験はヒト以外の生物の血液でも同じように反応するため、さらに実験を行う際にはその血液がヒト由来であるかどうか調べる必要がある。

またおもちゃにも使用されており、つや消しのインクや、バービーの髪を染める際に使用される。バービーの髪には空気中で二酸化炭素と反応(潮解)する水酸化ナトリウムが加えられている。この反応では水素イオンが発生し、呈色が始まるpHの数値が下がる。 OH − ( aq )   + CO 2 ( g ) ⟶ CO 3 2 − ( aq )   + H + ( aq ) {\displaystyle {\ce {OH^-(aq)\ + CO2(g) -> CO3^{2-}(aq)\ + H^+ (aq)}}}

髪の"魔法の"縞をはっきりさせるためには、水酸化ナトリウム水溶液を噴霧することが必要である。隠れた縞は上記のプロセスに従って呈色する。その色はまた上記のプロセスに従って空気中の二酸化炭素を吸収し、元に戻る。チモールフタレイン(英語版)はこれと同じ目的で、同じような過程を通して色を呈色する[10]

フェノールフタレインは、酸塩基の指示薬として化学の実験で広く使用されている。溶液が酸性の場合は色は変わらないが、塩基性の場合は赤紫色となる。またメチルレッドブロモチモールブルーチモールブルーと共に万能指示薬の材料となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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