フェイスハガー
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エイリアン / ゼノモーフ XX121
ペイズリー修道院にあるエイリアンのガーゴイル
初登場エイリアン
作者

ダン・オバノン

ロナルド・シャセット

カルロ・ランバルディ

H・R・ギーガー

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エイリアン (Alien) は、映画エイリアン』シリーズおよび『エイリアンVSプレデター』シリーズに登場する架空の地球外生命体の通称。固有種名はゼノモーフ。
概要
名称
一般的には「エイリアン」 (Alien) という名称で通っているが、劇中の
英語では「ゼノモーフ」(Xenomorph, 日本語字幕吹き替え台詞では「異星人」)[1][2]という名称が使われることもある。1979年のシリーズ第1作『エイリアン』が公開されるまで、本来のエイリアンという単語は「異邦人」「外国人」の意味であったが、それと前後して本来の生息環境ではない人間の世界に入り込んだ「異星人もしくは異星生物」を指す表現としても使われるようになった[3]。むしろ、日本においては「宇宙からの未確認生物」「宇宙モンスター」のような意味で使われることのほうが多いと言える。一方、ゼノモーフについてはジェームズ・キャメロンが『エイリアン2』で採用した語であるが、他の映画作品で「特殊生物」の英訳[4][5]に用いられるなど、用例が広がっている。なお、地質学におけるゼノモーフは他形[6]鉱物#外形による分類を参照)を意味するが、キャメロンは『エイリアン2』の後になって地質学で使われている用語であることを知ったと語っている[7]
特徴
強酸性の体液宇宙空間などの真空中でも生存できる(ただし、作品により差異がある)強靭な身体組織、優れた運動能力、強い生存本能から、『エイリアン』においては「完璧な生命体」と評され、何らかの生物兵器として作られた可能性が示唆されている[8]。シリーズを通してこの生命体を生物兵器に利用しようと目論む企業「ウェイランド・ユタニ」が暗躍し、『エイリアン』シリーズではそれを阻もうとするエレン・リプリーの苦闘が描かれた。
各作品における設定の違い
『エイリアン』シリーズでは、エイリアンという生物種と人類が遭遇するのは宇宙に進出し、恒星間航行を行うようになった遠い未来での出来事であり、『プロメテウス』『エイリアン: コヴェナント』では「エイリアンの誕生に人類が関わっていた」ことが明かされている。一方、『エイリアンVSプレデター』 (AVP) シリーズでは、紀元前数千年頃にはすでに存在しており、異星人プレデターの手で地球に持ち込まれていたと設定されている。このため、両シリーズはエイリアンと遭遇する時系列設定が矛盾する、一種のパラレルワールドとなっている[注釈 1]
生態
繁殖と産卵
エイリアンは
ハチ目の一部やシロアリといった社会性昆虫のように真社会性を有する動物であり、血縁を共有して数種の異なる特徴と役割を備えた個体群が、コロニーを構成した「巣」にて生存と繁殖を営む。産卵を担う1頭の女王個体「エイリアン・クイーン」を中心に、「働きアリ」や「兵アリ」に相当する多数の非繁殖個体が分業することで繁栄する。2019年時点で、シリーズの作中にエイリアンにオスが存在するという描写はない。『エイリアン4』でクイーンが他の個体と一切接触しないまま産卵していたことから、単為生殖のみで繁殖できることがうかがえる。また、生態は刺胞動物ポリプにも似ており、次世代個体の再生産を直接おこなわず、寄生体を産み付けるための中間個体「フェイスハガー」を持つ。クイーンが産む卵「エイリアンエッグ(オヴォモーフ)」からは、エイリアンの幼体ではなくフェイスハガーが孵化し、クモのような多数の脚で宿主となる生物の顔面を文字通り把握して付着し、尾のような器官でその首を絞め、宿主を昏睡状態に陥らせる。次に宿主の口へ産卵管のような器官を挿入し、エイリアンの幼生を体内に産み付ける。宿主が人間の場合、この「体内」が食道なのか肺なのかは明確に描写されないが、おおよそ胸部中央に位置した箇所である。フェイスハガーに顔面を拘束された宿主は、鼻や口などを塞がれて自力呼吸が不可能な状態に陥るが、フェイスハガーが器官を使って生命維持に最低限必要な分の酸素を送り込むことから窒息はせず、昏睡状態となる。その後、しばらくすると役割を終えたフェイスハガーは死亡して離れて宿主は昏睡状態を脱するが、その間に宿主の体内で養分の吸収を開始した幼生はやがてヘビのような姿をした形態「チェストバスター」に成長する。充分に成長したチェストバスターは宿主の胸部を穿って体外に脱出し、その際のダメージで宿主は死亡する。チェストバスターは餌となる動物を捕食しながら脱皮を繰り返して急速に成長・変態し、最終的には四肢を備えた成体のエイリアンと化す。
能力
エイリアンは宿主の性質を受け継ぐため、成体にさまざまな種類が存在し、多種多様な能力を持っている。また、成体になったエイリアンは睡眠をとる。『エイリアン』では脱出艇のパイプに紛れ、『2』では巣の中で眠っていた。また、『2』の登場人物ニュートによれば「夜に襲ってくる」とされているが、作品によって時間が確認できない場合も多く、一貫した設定かは判然としない。『3』や『4』の描写から、宿主と通常の獲物の区別がつくようであり[注釈 2]、特にクイーンの宿主は殺さない[注釈 3]
起源
『エイリアン: コヴェナント』では「エイリアンは暴走したアンドロイドが新たな生命を作るべく、エンジニアと呼ばれる異星人の遺物を用いた動物実験を行った結果生まれた生物」と設定されている。
成体の特徴

成体の生物的特徴には、以下の様なものがある。設定上は身長200cm・体重160kg[9]
頭部
頭部は前後に細長い形状をしており、その上部は半透明のフードで覆われている(後述のエイリアン・ウォーリアーのみ、アクションシーンにおける破損への懸念、及び監督ジェームズ・キャメロン自身の趣味によりフードが省略された)。頭部のデザインは、骸骨と男性器を基にしている(ギーガーが好んで使用するモチーフでもある)。顔にはそれと判るような形状の鼻や耳は存在しない。目も存在しないようにみえるが実は頭部そのものが目であり、頭部を保護するため涙腺からが常に流れ落ちる状態になっている。[注釈 4]
視覚
エイリアン』(以後、『1』)に登場したビッグチャップは眼窩を持っていたが、眼球は無い『エイリアン4』(以後、『4』)のニューボーンには眼球とまぶたが発生している)。『エイリアン3』(以後、『3』)と『エイリアン: コヴェナント』(以後、『コヴェナント』)では魚眼レンズのような主観視点が登場し、人間と同じく色や空間を認知できる視覚となっている。
口顎
エイリアンは口の中にインナーマウスと呼ばれる第二の顎(咽頭顎(英語版))を持つ(ニューボーンのみ存在しない)。ウツボヤゴの口器やカメレオンの舌のように伸縮し、口腔内から外へ向けて一直線に数十cmの長さまで飛び出す。射出される際の勢いによる対象物への打撃(及び貫通)やその後の噛み付きなど、主に攻撃のために使われる。その射出力は、人間をはじめとする生物の骨格はおろか、人間の武器では破壊不可能なプレデターが使用する金属をも破壊するほどの威力を持っている。『エイリアンVSプレデター』(以後、『AVP』)ではプレデターのヘルメットを貫通し殺害している。歯は人間の物に酷似しており、門歯犬歯にあたる形状を見て取れる。人間に比べて犬歯が長い。歯を剥き出している事が多いが、唇も存在している。
手足
手足の力は人間をはるかに凌ぐ。特に脚力は非常に強く、極めて高い瞬発力を備えている。指[注釈 5]の先端には鋭いを備えており、これと強い握力とを併用することで、凹凸の無い滑らかな天井や壁に張り付くことも可能である。

尾は身の丈以上に長い。先端はの穂先のように鋭利な形状をしていて、金属や岩石を砕くほどの力と硬度を持っている。戦闘時には、のように振り回す他、槍のように突き刺して使用する。力も非常に強く、200キロ近い体重を持つプレデターを先端に刺したまま持ち上げることができる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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