フィルモ_(撮影機)
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スペイン内戦をフィルモで撮影するロバート・キャパ、1937年5月。絢爛豪華なフィルモ75撮影機(1928年)。

フィルモ(英語: Filmo)は、アメリカ合衆国ベル&ハウエルが製造した16mmフィルムおよび8mmフィルム映画用カメラ映写機、付属品の製品ラインである。


目次

1 略歴・概要

1.1 略歴

1.2 概要


2 おもなモデル

3 脚注

4 参考文献

5 関連項目

6 外部リンク


略歴・概要
略歴

フィルモ撮影機のシリーズは、1923年(大正12年)のフィルモ70に始まる。それは、半世紀以上にわたって続いた、同一の基本筐体に築かれたモデルのシリーズの始まりであった。ベル&ハウエルがアマチュア用に意図した17.5mmフィルム用撮影機の1917年(大正6年)の輝かしいプロトタイプが、ベースになっている[1]。1920年(大正9年)、同社がヴィクター・アニマトグラフ(英語版)とともに、コダックの16mm計画に招かれたとき、同社はすばやく先進性を理解し、直ちに17.5mmフィルム用撮影機を16mmフィルム用に再設計したのだった。

「フィルモ70」は、最初のバネ仕掛けモータードライヴによる16mm撮影機である。1925年(大正14年)には、「フィルモ70」の設計をベースにした手持ちの35mmフィルム用撮影機、アイモを登場させた。アイモもまたバネ仕掛けであったが、同様に手回しとしても使用可能であった。ベル&ハウエルが、レンズの回転台を搭載した最初の16mm撮影機であるモデルCを発表したのは、1927年(昭和2年)であった。豪華絢爛に装飾され、さらに小型になった16mm撮影機フィルモ75がそれであった。同モデルは、1928年(昭和3年)には、何よりも「腕時計のように薄型」の女性用カメラとして売り出された。次いで1931年(昭和6年)には、ほぼ正反対のアイデンティティをもってデザインされたフィルモ・フィールド・カメラが、そっけない外観で発表された。しかし、「フィルモ75」の華美な装飾も使用可能であり、ネームプレートを除けば、初期のヴァージョンから区別はつかないものであった。フィルモ・ストレイトエイト撮影機(1935年)。

1932年(昭和7年)、コダックが8mmフィルムを発表したとき、ベル&ハウエルはこの新規格には飛びつかず、ベル&ハウエルが8mmに着手したときには、それはすでにコダックのスタンダードではなかった。初めて8mm用のフィルモが発売されたのは1935年(昭和10年)、シングル幅用の8mm撮影機、フィルモ127-Aであった。このベル&ハウエル式シングル8「ストレイトエイト」は、ダブル8(スタンダード8mmフィルム)ほどには市場に出回ることはなく、1936年(昭和11年)にはダブル8に設計しなおされて、フィルモ134-Aとして発売された。第二次世界大戦後の1950年代までフィルモの生産は続けられたが、このタイプの筐体のものであった。
概要フィルモ70-DRに水晶同期モーターを搭載したもの。

16mmフィルモ撮影機は、すべて、100 ft (30 m)の16mmデイライトフィルムを使用し、ヴァージョンによっては400 ft (120 m)の外部マガジンを搭載することも可能である。

ねじまきバネが標準仕様であり、ヴァージョンによっては、直流・交流の12V電動モーターのアタッチメントが用意されているフィルモも存在する。クリスタルシンクロモーターがアイモのために開発されたが、のちにフィルモにも適用された。

撮影機にはCマウントレンズが搭載されているが、これは、1927年のモデルCからの仕様であって、3つレンズの回転台が装備されている[2]。初期型の回転レンズ付モデルには、ドラム式のファインダーを使用するもの(モデルD、モデルDA)、あるいは、分離したファインダーレンズのセットを使用するものがあり、後継モデル(モデルDL、モデルDR)のそれぞれの焦点距離に適合するものであった。

フィルモ70Aやフィルモ70Cといった初期型では、秒間8コマあるいは16コマ、もしくは秒間16コマあるいは32コマの2種類の回転スピードで設計されており、オプションとして、秒間12コマ/16コマ/24コマの3速撮影機が存在した。1927年に「モデルD」でスタートして以来、ほとんどのヴァージョンでは秒間64コマまで速度を上げることができたが(秒間8コマ/12コマ/16コマ/24コマ/32コマ/48コマ/64コマ)、1925年の「高速型」と呼ばれたフィルモ70Bでは、秒間128コマの単一速度でしか撮影ができない仕様であった[3]。同型は、極限のスローモーション効果を生み出し、運動解析に使用された。1935年に発表されたフィルモ70Eは、「モデルD」の回転台なし版であり、スピードのレンジの短いものであった(秒間8コマ/16コマ/24コマ/64コマ/)。

本撮影機は、映画産業において最適なスタンダードとなるべくつくられ、現在もなお、学生映画作家に人気を誇っている。ほとんどの機種・型は非常にありふれているが、「フィルモ70B」あるいは「フィルモ70BD」(いわゆるゴルフ・モデル、1931年)は極めてレアであり、フィルモ70ACモルガナ・カラー・システムにいたっては、宣伝期間も短く、現存する例でしか知られていないものであり、プロトタイプ段階でお蔵入りしたものと推測される。
おもなモデル

フィルモ70 A 1923 camera 16mm ACR 0037

フィルモ70 B Super Speed 1925 USA camera 16mm ACR 0038

フィルモ75 A - BN 1928 camera 16mm (black and crimson leather) ACR 0307

フィルモ75 C 1928 camera 16mm ACR 0041 (click for image)

フィルモ75 E 1928? camera 16mm ACR 0308

フィルモ70 C 2 1929 camera 16mm ACR 0039

フィルモ70 A 1929? camera 16mm ACR 0304

フィルモ70 DA 1930 camera 16mm ACR 0306

フィルモ70 D 1929 camera 16mm ACR 0305

フィルモ75 Field 1930 camera 16mm ACR 0575

フィルモ75 A 4 1931 USA camera 16mm ACR 0042 (click for image)

フィルモ75 DeLuxe 1931 camera 16mm ACR 0309

フィルモ75 Field (PT) 1932 camera 16mm ACR 0862

フィルモ70 AC 1932 camera 16mm

フィルモ70 E 1933? camera 16mm ACR 0040

フィルモ121 1934 camera 16mm ACR 0043

フィルモ127 A Streight Eight 1935 camera 1x8 ACR 0578

フィルモ134 'Sportster' 1936? 8mm camera (click for image)

フィルモ134 G Companion 8mm camera 1938

フィルモ141 A 1938 magazine camera 16mm ACR 0044

フィルモ141 B 1938 USA magazine camera 16mm ACR 0045


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