フィボナッチ数
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フィボナッチ数を一辺とする正方形ウィキペディア日本語版メインページ2007年?2012年)で使われていたイメージ画像もフィボナッチ数列を利用していた[注釈 1]

フィボナッチ数(フィボナッチすう、: Fibonacci number)は、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチ(ピサのレオナルド)に因んで名付けられたである。
概要

フィボナッチ数列(フィボナッチすうれつ、(: Fibonacci sequence) (Fn) は、次の漸化式で定義される:F0 = 0,F1 = 1,Fn+2 = Fn + Fn+1 (n ? 0)

第0?22項の値は次の通りである:0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765, 10946, 17711, …(オンライン整数列大辞典の数列 A000045)

1202年にフィボナッチが発行した『算盤の書』(Liber Abaci) に記載されたことで「フィボナッチ数」と呼ばれているが、それ以前にもインドの学者であるヘーマチャンドラ (Hemachandra) が韻律の研究により発見し、書物に記したことが判明している[1][2]
兎の問題

レオナルド・フィボナッチは次の問題を考案した[3]

1つがいの兎は、産まれて2か月後から毎月1つがいずつの兎を産む。

兎が死ぬことはない。

この条件の下で、産まれたばかりの1つがいの兎は1年の間に何つがいの兎になるか?

つがいの数は次の表のようになる。どの月のつがいの合計も、その前の2つの月での合計の和となり、フィボナッチ数が現れていることが分かる。

産まれたばかりのつがい生後1か月のつがい生後2か月以降のつがいつがいの数(合計)
0か月後1001
1か月後0101
2か月後1012
3か月後1113
4か月後2125
5か月後3238
6か月後53513
7か月後85821
8か月後1381334
9か月後21132155
10か月後34213489
11か月後553455144
12か月後895589233

一般項

フィボナッチ数列の一般項は次の式で表される[3]: F n = 1 5 { ( 1 + 5 2 ) n − ( 1 − 5 2 ) n } = ϕ n − ( 1 − ϕ ) n 5 = ϕ n − ( − ϕ ) − n 5 {\displaystyle F_{n}={\frac {1}{\sqrt {5}}}\left\{\left({\frac {1+{\sqrt {5}}}{2}}\right)^{n}-\left({\frac {1-{\sqrt {5}}}{2}}\right)^{n}\right\}={\frac {\phi ^{n}-(1-\phi )^{n}}{\sqrt {5}}}={\frac {\phi ^{n}-(-\phi )^{-n}}{\sqrt {5}}}}

この式は1843年ビネ (Jacques Philippe Marie Binet) が発表したことからビネの公式と呼ばれるが、それ以前の1730年ド・モアブル)・1765年オイラー)にも発表されており、ビネは最初の発見者ではない。

なお、この式に現れる ϕ = 1 + 5 2 = 1.618033988749894 ⋯ {\displaystyle \phi ={\frac {1+{\sqrt {5}}}{2}}=1.618033988749894\cdots }

黄金数で、いくつかの数学的特徴がある。黄金数を作る二次方程式 x2 − x − 1 = 0 の解を α, β (α > β) とすると、上記の一般項は F n = α n − β n α − β = α n α − β + β n β − α {\displaystyle F_{n}={\frac {\alpha ^{n}-\beta ^{n}}{\alpha -\beta }}={\frac {\alpha ^{n}}{\alpha -\beta }}+{\frac {\beta ^{n}}{\beta -\alpha }}}

と表せる。

また、一般項の第2項 − 1 5 ( 1 − 5 2 ) n {\displaystyle -{\frac {1}{\sqrt {5}}}\left({\frac {1-{\sqrt {5}}}{2}}\right)^{n}} の絶対値は減少列で、n = 0 のとき 1 5 = 0.447 ⋯ < 1 2 {\displaystyle {\frac {1}{\sqrt {5}}}=0.447\cdots <{\frac {1}{2}}} より、第2項を切り捨てた式は Fn の値を 0.447 以下(n > 4 のとき1%以下)の誤差で与える近似式である。 F n ≒ ϕ n 5 {\displaystyle F_{n}\fallingdotseq {\frac {\phi ^{n}}{\sqrt {5}}}}

この誤差の絶対値は0.5未満なので、Fn の正確な整数値は以下の式で得られる[3]。 F n = ⌊ ϕ n 5 + 1 2 ⌋ = ⌊ 1 5 ( 1 + 5 2 ) n + 1 2 ⌋ {\displaystyle F_{n}=\left\lfloor {\frac {\phi ^{n}}{\sqrt {5}}}+{\frac {1}{2}}\right\rfloor =\left\lfloor {\frac {1}{\sqrt {5}}}\left({\frac {1+{\sqrt {5}}}{2}}\right)^{n}+{\frac {1}{2}}\right\rfloor }

ただし、 ⌊ x ⌋ {\displaystyle \lfloor x\rfloor } は床関数である。

なお、後述の負数番への拡張を考慮した場合、n < 0 では逆に一般項の第1項の絶対値が0.5未満となるため、n < 0 における Fn の正確な整数値は以下の式で得られる。 F n = − ⌊ ( − ϕ ) − n 5 + 1 2 ⌋ = − ⌊ 1 5 ( 1 − 5 2 ) n + 1 2 ⌋ {\displaystyle F_{n}=-\left\lfloor {\frac {(-\phi )^{-n}}{\sqrt {5}}}+{\frac {1}{2}}\right\rfloor =-\left\lfloor {\frac {1}{\sqrt {5}}}\left({\frac {1-{\sqrt {5}}}{2}}\right)^{n}+{\frac {1}{2}}\right\rfloor }

これらのことから、任意の整数 n における Fn の正確な整数値は以下の式で得られる。 F n = ( sgn ⁡ n ) ⌊ { ( sgn ⁡ n ) ϕ } 。


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