ファントム無頼
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ファントム無頼
ジャンル
航空自衛隊人間ドラマ
漫画
原作・原案など史村翔
作画新谷かおる
出版社小学館
掲載誌週刊少年サンデー増刊号
レーベル少年サンデーコミックス
発表期間1978年 - 1984年
巻数全12巻 : コミック版
全5巻 : ワイド版
全7巻 : コミック文庫版
話数全63話
テンプレート - ノート

『ファントム無頼』(ファントムぶらい)は、史村翔原作・新谷かおる作画による日本漫画作品である。
概要

週刊少年サンデー増刊号」(小学館1978年4月20日号から1984年2月号まで連載された。単行本は全12巻、ワイド版(少年サンデーワイドコミックス)は全5巻、文庫版(小学館文庫)は全7巻が刊行されている。

史村の自衛官時代の職務経験を基に制作されているが、航空自衛隊の実情よりも、その環境の人たちが醸し出す娯楽性の高いドラマに重きを置いており、主人公が自衛隊員ということもあって本格的な戦闘を行うことはなく、救助活動や職務を通じてのゲストとの交流が主な内容となっている。
あらすじ

百里飛行場第7航空団第305飛行隊に所属するF-4EJ ファントムIIパイロット・神田鉄雄二等空尉と、三沢飛行場第3航空団第8飛行隊に所属するファントムのナビゲーター・栗原宏美二等空尉。2人はそれぞれ凄腕の航空自衛官だが、その性格が災いし「基地の問題児」として周囲から厄介者扱いされていた。

百里基地司令・太田は、「両方とも少しは変わるだろう」「最悪、どちらか一方でも負けて潰れてくれれば」との考えから、神田に対抗させるため、異動となった栗原を百里に呼ぶ。ちょうどナビゲーターを病院送りにしていた神田と、代わりのナビゲーターとして赴任した栗原は、最初こそ反発し合うものの互いの技量を認め、太田の思惑を超えて意気投合する。そして2人はファントムII 680号機の専属パイロットとして、職務を通し様々な出会いを経て成長していく。
F-4EJ ファントムII 680号機

305飛行隊所属のファントムで、専属パイロットは神田鉄雄二尉。第2話までは神田がことごとく病院送りにしたため専属のナビがいなかったが、最終的に栗原宏美二尉が専属ナビになる。

機体番号は「47-8680」であったが、この機体ではバードストライク異物の侵入によるエンジン爆発など、全話中6回の事故が発生した。

作中最高クラスの機動性と不死身ともいえる生存率を誇ったが、劇中においてもファントムは既に旧式化しており、最初の機体は経年劣化と度重なる事故、何より神田・栗原の無茶な操縦によるダメージの蓄積から、ついに第32話で退役が決定。しかし予想以上に機体の劣化が進行していたため、退役前の最終飛行中に限界を迎え海上で空中分解し墜落(機体と心中する、もしくは是が非でも基地に連れて帰るつもりだった神田・栗原は射出座席が勝手に作動したため、脱出)。第33話、第34話で「55-8680」になったが、第36話から「07-8680」が登場。「07-8680」以降は事故なし。

コールサインは「新撰組」と称している(第1話より)。また、コールサインに合わせて垂直尾翼の両側と左右のインテークに赤いダンダラ模様が描かれている。なお、当時の305飛行隊所属機が実際に使用したコールサインは「eagress###」である(個別記号###には機体番号の下3桁を用いる)。

作中では神田の技量と相まって俊敏な動きをする機体だが、連載当時としても旧式の第3世代機であることから、エプロンから滑走路への移動中や飛行中にノタノタした感じでの描かれ方をされることも多かった。

神田・栗原のコンビにより操縦される680号機は、最高速度マッハ2.6を達成するなど製造元のマクドネル・ダグラス社の想定を超える能力を見せた。最終話で神田・栗原が懲戒免職された際、マクドネル・ダグラス社は調査のため680号機を引き取ろうと試みている。

現実の航空自衛隊では、一機体に特定の乗員が専属で付くということはない。また、F-4EJの機体番号は301から440までの140機分となっており「F-4EJの680号機」は存在しない。連載当時、小松基地第205飛行隊F-104J「56-8680」が所属していたが、1980年に事故で抹消となった。F-104退役後はT-4に割り当てられ、T-4「25-5680」が、入間基地航空総隊司令部飛行隊所属の後、奇しくも現在百里基地第305飛行隊に連絡機として配備されている。

百里基地所属の第302飛行隊が2010年の百里基地航空祭において、F-4EJ改のインテークに神田・栗原の680号機と同様の新撰組のダンダラ模様をペイントした特別塗装機を飛行させ、2019年の320号機の退役飛行の際にも同様のダンダラ模様を塗装した。
登場人物
航空自衛官
神田 鉄雄(かんだ てつお)
航空自衛隊二等空尉。ファントムの操縦テクニックは天下一品のパイロット(
操縦士)。アクロバティックな飛行が得意で、激しい動きに付いていけない幾多のナビゲーターを病院送りにした、百里基地の問題児。周りからゴリラ呼ばわりされるほどの体力バカで怖いもの知らず。喧嘩も滅法強く、引き分けはともかく負けた事は一度もない。反面、昔のある出来事以来ヘビを大の苦手とし、ゴム製のおもちゃであっても見ただけで気絶する[1]。また、飛行機と無関係な機械にはまるで弱く、洗濯機もまともに扱えない。加えて父親譲りの重度の音痴[2]で、好物はお子様ランチ。父親も航空自衛官で、初めてF-4を操った日本人の一人だったが、神田が高校生の時にT-33の事故で二次災害回避のために重傷を負い殉職。神田自身も破天荒なフライトの一方でその恐ろしさを承知しており、旅客機の機長である伊達に関して「自分には多くの乗客の命を預かって飛ぶ度胸はない」と語ったり、何があろうと決して自機を捨てようとせず、有事の際には自分の命より他者の命を優先し、我が身を捨てても助けようとするなど、強烈な義務感・使命感を持ち、それを以って栗原をも牽引していく[注釈 1]。「剣を帯びていても平和である限り抜かずに済ませる、人命を手に掛けるのは最後の最後」の自衛官である事に誇りを持っており、ペイント弾での模擬戦でもコクピットは狙わずエンジンのみを射撃した[3][注釈 2]


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