この項目では、火器について説明しています。その他の用法については「ファランクス (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ファランクス (火器)
護衛艦「あぶくま」の搭載機(ブロック0)
種類近接防御火器システム
原開発国 アメリカ合衆国
運用史
配備期間1980年-現在
配備先採用国を参照
関連戦争・紛争湾岸戦争
開発史
開発者ジェネラル・ダイナミクス[注 1]
製造業者ジェネラル・ダイナミクス[注 1]
製造期間1978年[1]-現在
諸元
重量
12,500 lb (5,700 kg)
後期型 13,600 lb (6,200 kg)[1]
銃身長
Block0&1(L76砲身):1,520 mm (59.8 in)
Block1B(L99砲身):1,981 mm (78.0 in)[2]
全高4.7 m (15 ft 5.0 in)
要員数自動, 監視員
砲弾
艦船用:徹甲弾 外皮付タングステン弾
地上配備型:高性能爆薬弾
ファランクス(英語: Phalanx)は、アメリカ合衆国で開発されたCIWS。M61「バルカン」 20mm多銃身機銃と小型の捕捉・追尾レーダーを組み合わせて、対艦ミサイルのような小型高速の目標を全自動で迎撃できるようにしたシステムであり[4]、アメリカ海軍ではMK 15として制式化され[5]、バルカン・ファランクスと俗称される[6]。
来歴「キング」の艦尾に搭載された試作型のファランクス(1973年)
ソビエト連邦軍では、1960年代初頭よりK-10S(AS-2「キッパー」)(英語版)空対艦ミサイルやP-15(SS-N-2「スティクス」)艦対艦ミサイルなど対艦ミサイルの配備に着手していた。これに対し、西側諸国海軍では、自らの対空能力を過信したうえ、これらのミサイルの実戦経験がなかったこともあり、その効用と脅威を過小評価していた[7]。
しかし1967年10月21日、イスラエル海軍のZ級駆逐艦がエジプト海軍のコマール型ミサイル艇に撃沈されるエイラート事件が発生し、情勢は一変した。旧式とはいえ正規駆逐艦が小兵のミサイル艇により為す術もなく撃沈された本件は、西側海軍に大きな衝撃を与え、各国は直ちに対艦ミサイル防御(ASMD)の強化策に着手した[7]。
当時のアメリカ海軍は、DDG以上の主要艦にはタロス・テリア・ターターといった強力な艦対空ミサイルを装備していたものの、これらは遠・中距離の有人ジェット機を対象としており、最近接領域の対空火力は3インチ・5インチ速射砲に頼らざるを得ない状況であった[7]。新しい短距離用の対空兵器として、既にシーモーラーやシースパローといった個艦防空ミサイル(BPDMS)の開発が開始されてはいたものの、リアクションタイム縮減の限界やシークラッターによる低高度目標探知の困難性、対艦ミサイルのレーダー反射断面積の小ささなど、ASMDには不適な部分が多かった[6]。
このことから、これらの個艦防空ミサイルの内側をカバーする近接武器システムの開発が志向されることになった[6]。提案は1968年になされ、1969年にはジェネラル・ダイナミクス(GD)社ポモナ部門[注 1]がフィジビリティスタディを受注した[5]。1973年8月からは試作機がファラガット級駆逐艦「キング」に搭載され、1974年3月にかけて艦上評価試験が実施された[9]。この成果を踏まえて改善された量産機は1977年にフォレスト・シャーマン級駆逐艦「ビグロー」に搭載されて実用試験が実施された。1978年には量産が開始され、1980年に空母「コーラル・シー」に搭載されて装備化された[6]。 本システムは、M61「バルカン」 20mm多銃身機銃と捕捉・追尾レーダーを組み合わせて1基の砲台に集約したシステムである[6]。
構成