ファクシミリ
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この項目では、通信機器について説明しています。書誌学における用語については「ファクシミリ (書誌学)」をご覧ください。

「ファクス」と「FAX」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「ファクス (曖昧さ回避)」、「FAX (曖昧さ回避)」をご覧ください。
家庭用FAXを使用する若者(1994年)ラジオファクシミリ(無線で伝送するファクシミリ)で受信した気圧配置図。無線FAXによる定時配信を自動受信することで入手する。この図は2011年12月にイギリス軍ノースウッド司令部内のJOMOC(Joint Operations Meteorology and Oceanography Centre 気象学と海洋学に関する統合運用センター)から配信されたもの。

ファクシミリ(英語: facsimile)は、文字や図形、写真などの静止画像を、電気信号に変換して送受信する通信方式、またはその用途で使用する機器である[1]。通称はFAX(ファックスまたはファクス)。
概要

一般的なFAXは、静止画像を電子データに変換するイメージスキャナ、電子データを送受信するための電気信号に変換するモデム、電子データを印字するためのプリンタが組み合わさった装置である。通信回線としては、有線無線の両方が用いられるが、一般的には公衆交換電話網が利用される。

2000年代以降は電子メールチャットクラウドストレージの普及により世界的に利用者が減少しているが、日本ではこれらを使いこなせない高齢者や、デジタル化が遅れている職場、情報を印刷物の形で記録したい層からの需要があるため機器の製造が続けられている[2]。中小企業の場合、8割がFAXに頼る傾向がある[3]
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1940年のラジオファクシミリ装置

1960年のソビエト連邦のファクシミリ機

Infotec 6000(1974年)

Muirhead & Co.社のMufaxの送信機(1975年)

歴史
ベイン: ファクシミリの原型を発明ベインの装置(1850年のもの)

1843年、イギリス人のアレクサンダー・ベインがファクシミリの原型を発明し、特許を取得した[4][5]

送信側では、振り子の振幅方向に平行な下部側面に絶縁板をセットする。その絶縁板上に金属の文字を置き、振り子の先に絶縁板に接触する金属針を取り付けて、左右に振り子を動かす。接触針は絶縁板を左右に移動して、絶縁部分に接触している時は“非導通”、金属部分に接触すると“導通”の信号を送る。1回の振幅毎に絶縁板を上方(又は下方)に少しずつ移動させて、絶縁板全体を走査させる。

受信側でも同様な振り子と接触針を設けて、化学反応によって変色する記録紙に接触針を走査させる。“導通”の信号のときに電流を流して、記録紙を変色させて送信側の絶縁板上の金属文字を再生させる。

送信側の読取走査と受信側の記録走査は、それぞれ別の振り子を利用しているので同期が難しく、記録位置にずれが発生して画像が乱れ実用化されなかった[6][7][8]
パンテレグラフ1933年に作られたパンテレグラフのレプリカ、レオナルドダビンチ博物館の展示

ベインの装置では同期が難しいという欠点を改良したのがイタリア人のジョヴァンニ・カゼッリである。1862年、カセルは送信側から振り子の同期信号を送り、受信側の振り子を電磁マグネットで制御して同期を取るパンテレグラフを発明した。フランス郵便・電信公社で採用され、手書きの文字や図面や絵等の電送に使用された。用紙は111mm×27mmで、約25文字程度が電送でき、主に銀行のサイン照合に利用された[5][8][9][10]
ベイクウエル: 現在のファクシミリの基本形を発明ベイクウエルの装置(1848年)

1848年、イギリス人ベイクウエル(Frederick Collier Bakewell)は、ベインの発明を大きく改良し、現在のファクシミリの基本形を発明した。

1851年のロンドン万国博覧会で展示された。送信側は、金属円筒に特殊な絶縁インクで書いた金属箔を巻き付ける。円筒の円周方向に固定して接触させた金属針(接触針)を設け、円筒を回転させて“導通”、“非導通”の信号を得る。円筒を回転しながら、接触針を円筒の片方の端から他端にむかって軸方向に少しずつ移動させることによって、円周面(金属箔)全体を走査して受信側に送る。受信側も送信側と同じ大きさの金属円筒と接触針を設け、電流が流れたときに変色する化学紙を巻き付け、送信側に同期して回転させる。送信側の導通・非導通の信号は記録紙に濃淡となって表示される。受信側の円筒の回転速度やスタート・ストップを送信側の円筒と同期することが難しく実用化されなかった[7][8][9][11]
ハンメル: ベイクウエル方式の改良

1898年、アメリカ人ハンメル(Ernest A. Hummel)はベイクウエルの欠点を改良した装置(Telediagraph)を発明した。8インチ径の円筒を用い、送信側の円筒が1周回転する毎に同期信号を発生し、その信号毎に接触針を軸方向に1/56インチ移動していく。受信側では送信側の同期信号を受けて同様な方法で円筒と接触針を制御して同期を取る。同時に送信原稿の信号を受けて記録する。送信原稿は薄い金属箔に非導通のワニスで記載し、受信側では2枚の白紙に挟まれたカーボン紙に記録する。原稿サイズは最大8×6インチ(203mm×152mm)で送信時間は20 - 30分、いくつかの米国新聞社で採用された[8][12]
コルンとベラン: 電子式ファクシミリの発明

その後、1876年にベル(Alexander Graham Bell)により電話が発明され、更に、1883年にエジソンにより真空管が発明、更に真空管から光電管が発明された。Arthur Kornによるtelephotographyテレフォトグラフィの実験(1902年)

1906年、ドイツ人コルン(Arthur Korn)とフランス人ベラン(Edouard Belin)がほぼ同時に、同様な方法で写真の電送に成功した。送信側の円筒に巻き付けていた金属箔を写真やイラスト、文字等が書かれた用紙に変え、接触針の代わりに光電管を使用した。回転するドラムに巻き付けた用紙の小さな一点にレンズで焦点を合わせて、光電管に光を送る。固定したレンズと光電管をドラムの軸方向に少しずつ移動させる。用紙に書かれた文字やイラスト等の“白”と“黒”およびその中間色の部分は光電管によって色の濃さに比例した電気信号に変わり、その信号を電話回線で送る。受信側では送信側と同期して円筒を回転させ、円筒に巻いた印画紙に、送られてきた信号に基づいた光を当てて感光させる。写真の中間調(ハーフトーン)電送を実現させた。

コルン式もベラン式も、両方の円筒(ドラム)の回転を一致(同期)させるために、送受信それぞれ別の2個の音叉を使い、その振動に合わせて両方のモーターの回転数を同じにするという原理を使っていた。送信側と受信側の温度や湿度の違いで、音叉の周波数が微妙に変わるためにモーターの回転数に誤差が生じ、画像が乱れるという問題があった。

コルンのシステム(photoelectric telephotography)は1910年からパリ・ロンドン・ベルリン間を電話回線経由で結ばれて運用され、ベランのシステム(Belinograph)は1930年代・1940年代にニュースメディアで使用された[5][7][8][13][14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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