『ピーター・グライムズ』 (Peter Grimes) 作品33は、ベンジャミン・ブリテン作曲のオペラ。台本はモンタギュー・スレイター (Montagu Slater) によるもので、ジョージ・クラッブ(英語版)の詩『町』 (The Borough) の一節である「ピーター・グライムズ」が原作である。ブリテンにとって最初の本格的オペラである。
1945年6月7日、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場において、レジナルド・グッドオールの指揮により初演された。第二次世界大戦が終了した直後で上演も大成功を収めたことから、戦後のオペラ界に大きな影響を及ぼすことになった[1]。イギリス国内ではロイヤル・オペラ・ハウス、国外ではスカラ座やメトロポリタン歌劇場でも上演された。録音・映像は、ブリテン指揮・ピーター・ピアーズ主演のものをはじめとして複数残されている。
日本初演は1956年、東京産経ホールにて森正指揮・二期会メンバーによる[2]。2012年10月には新国立劇場で上演されている[3]。
作中の間奏曲6曲のうち5曲が独立した組曲『4つの海の間奏曲』作品33a、および『パッサカリア』作品33bに編曲された。
作曲者生誕100周年を記念した2013年開催のオールドバラ音楽祭では、オールドバラの海岸に野外セットを組んで上演が行われた。 人物ピーター・グライムズ:独身の漁師エレン・オーフォード:村の女性教師、未亡人おばさん(Auntie):酒場「イノシシ亭」の女将姪1:酒場の看板娘姪2:同上ボルストロード:引退した船長、村人から慕われているセドリー夫人:東インド会社代理人の未亡人スウォロウ:法律家。村の裁判などを取り仕切るネッド・キーン:薬屋、やぶ医者ボブ・ボウルズ:漁師、メソジストホレス・アダムス司祭:教区司祭ホブソン:運び屋ジョン:孤児。グライムズの徒弟となる声域テノールソプラノコントラルトソプラノソプラノバリトンメゾソプラノバスバリトンテノールテノールバス無言初演時の役者ピーター・ピアーズジョーン・クロスエディス・コーツブランチ・ターナーミニア・バウアーロデリック・ジョーンズヴァレッタ・ヤコピオーウェン・ブラニガンエドマンド・ドンリーヴァイモーガン・ジョーンズトム・カルバートフランク・ヴォーンレナード・トンプソン ブリテンとその親友ピーター・ピアーズはクラッブの詩を読んで深い感銘を受け、1941年夏にこれをオペラ化しようと思い立つ。2人はみずから物語を構築し、その過程においてグライムズのキャラクターは複雑なものへと変わっていった。クラッブの原作においては明確な悪漢であったのが、無慈悲な運命や社会による犠牲者へと変化したのである。もっとも、どちらが実像であるかの判断は聴衆に委ねられるところも大きい。ピアーズが意図的にピーター・グライムズ役となり、ブリテンはジョーン・クロスに演じさせるためにエレン・オーフォードのキャラクターを作り上げたとも言われている。この作品は「同性愛の抑圧についての寓意物語」と呼ばれた[4]が、ブリテン自身のこの作品の要約はより単純なもので、「社会がより残忍になれば、人もまたより残忍になる」というものであった。 当初の台本においては、グライムズと少年たちとの関係は明らかに少年愛的なものであったが、ピアーズがスレイターを説得して、台本から少年愛的な描写のほとんどをカットした[5]。このオペラはクーセヴィツキー音楽財団(Koussevitzky Music Foundation)の委託で制作され、ロシア出身のアメリカの指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーの妻ナターリヤの追悼のために献呈された。 「村」(Borough):架空の漁村。クラッブの故郷であり、後にブリテンも住むことになったイングランド東海岸の町オールドバラ(Aldeburgh)と似たところがある。時代は1830年頃。 フルート(ピッコロ持替え)2、オーボエ(イングリッシュ・ホルン持替え)2、クラリネット(変ホ持替え)2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、打楽器(奏者2名)、チェレスタ、ハープ、弦五部。そのほか舞台裏にクラリネット2、打楽器、独奏ヴァイオリン、独奏コントラバス
登場人物
制作
舞台
楽器編成
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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