ピンク・パンサー
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この項目では、オリジナル版映画シリーズについて説明しています。その他の用法については「ピンクパンサー (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ピンク・パンサー(The Pink Panther)は、1963年アメリカ映画ピンクの豹』を第1作とする映画シリーズ。

「クルーゾー警部(英語版)」、「アニメキャラクターのピンクパンサー」、テーマ曲「ピンク・パンサーのテーマ(英語版)」の3大ヒットを生み出した、20世紀後半を代表するコメディ映画の大ヒットシリーズである。製作国は第2作まではアメリカ、第3作以降はアメリカ・イギリス合作。シリーズ全作通じて監督はブレイク・エドワーズで、音楽はヘンリー・マンシーニが担当した。

第1作『ピンクの豹』はデヴィッド・ニーヴン演ずる怪盗ファントムを主人公とし、世界屈指のダイヤモンド「ピンク・パンサー」をめぐるロマンティック・コメディとして製作された。しかし、準主役であったピーター・セラーズ演ずるパリ警察のクルーゾー警部のキャラクターが好評であったため、クルーゾーを主役としてシリーズ化された。2作が製作された後、11年の空白があったが、1975年に再開。セラーズの生前に5作、没後にも3作の合計8作が製作された。2006年からはスティーヴ・マーティンがクルーゾーを演じるリブート版が製作されている[1]

また、オープニングのアニメーションに登場するピンク色の豹のキャラクターが人気を博し、1964年以降、実写映画とは独立したアニメーション作品が製作された。
シリーズ作品
オリジナル版

ブレイク・エドワーズ監督によるオリジナルシリーズは8本製作された。

ピンクの豹 The Pink Panther(1963年

暗闇でドッキリ A Shot In The Dark(1964年

ピンク・パンサー2 The Return of the Pink Panther(1975年

ピンク・パンサー3 The Pink Panther Strikes Again(1976年

ピンク・パンサー4 Revenge of the Pink Panther(1978年

ピンク・パンサーX(トレイル・オブ・ザ・ピンクパンサー) Trail of the Pink Panther(1982年

ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ Curse of the Pink Panther(1983年)※

ピンク・パンサーの息子 Son of the Pink Panther(1993年)※

※印作品にはピーター・セラーズは出演していない。
番外編

バッド・ヨーキン監督、アラン・アーキン主演によるクルーゾー警部モノはシリーズの番外編とされる。

クルーゾー警部 (映画) Inspector Clouseau(1968年

リブート版

ショーン・レヴィ監督、スティーブ・マーティン主演による新シリーズ(リブート版)は2本製作された。

ピンクパンサー The Pink Panther(2006年

ピンクパンサー2 The Pink Panther 2(2009年

シリーズの歴史

ピンクパンサーシリーズは様々な要因によりその系譜は複雑である。
1960年代

第1作であるアメリカ映画ピンクの豹』は1963年デヴィッド・ニーヴン演ずる英国貴族のチャールズ・リットン卿(実は希代の怪盗ファントム)を中心に、ロバート・ワグナーキャプシーヌクラウディア・カルディナーレら美男美女スター競演のロマンティック・コメディとして製作された。ピーター・セラーズが演じたパリ警察のクルーゾー警部は準主役格ではあるが、コメディリリーフの三枚目キャラクターで、最後にはファントムの罪を着せられて逮捕されてしまう引き立て役であった。原題にある「ピンク・パンサー」とは劇中に登場する薄桃色のダイヤモンドの名称である。そのダイヤをイメージしたピンク色の豹のアニメキャラクターがオープニングでテーマ曲「ピンク ・パンサーのテーマ」をバックに登場した。

しかし、このクルーゾー警部のキャラクターが大好評であったため、翌1964年にはクルーゾーを主役として第2作となる『暗闇でドッキリ』が製作された。クルーゾーがパリ警察の警部である以外は前作からの継続性はなく、登場人物も共通しないので、続編ではなくスピンオフ作品と位置付けられる。劇中に「ピンク・パンサーという名のダイヤモンド」は登場せず、テーマ曲も「ピンク・パンサーのテーマ」ではない。オープニングアニメにも「ピンクの豹のキャラクター」は登場しない。しかし、クルーゾーの上司ドレフュス(ハーバート・ロム)や使用人のケイトー(バート・クウォーク)、フランソワ刑事(アンドレ・マランヌ)ら後のシリーズのレギュラーキャストに加え、毎回役を変えて出演するグレアム・スターク(英語版)も同作で初登場しており、内容面でもシリーズのスタイルは同作においてほぼ確立している。そのため、題名に「ピンク・パンサー」とは付かないが、一般にシリーズ第2作とされる。

この2作は世界的にヒットしたが、監督のエドワーズとセラーズの関係は良好ではなく、シリーズは長い空白期間を迎える。

なお、『暗闇でドッキリ』には登場しなかった「アニメキャラクターのピンクパンサー」だが、第1作において人気を得ており、1964年以降、映画やテレビでこのキャラクターを主役としたアニメーション作品が数多く製作された。

1968年にはアラン・アーキンがクルーゾーを演じた『クルーゾー警部』(上映当時の題名は『クルゾー警部』)が製作されるが、監督もブレイク・エドワーズではなく、一般にシリーズ番外編とされる。
1970年代

1975年、11年振りの第3作『ピンク・パンサー2』がアメリカイギリス合作として製作された。1970年代前半はエドワーズもセラーズも不振の時期で、共に活路を求めてのシリーズ再開であった。

ピンク・パンサー2』は内容的に第1作の続編と位置付けられる。再び怪盗ファントム(演者はニーヴンからクリストファー・プラマーに交代)が登場、「ピンクパンサーの名を持つダイヤモンド」をめぐる物語で、テーマ曲も「ピンク・パンサーのテーマ」に戻り、それをバックに「アニメキャラクターのピンクパンサー」も再登場した。だが、ドレフュスとケイトーらは第2作から引き続き登場している。ただし、第2作で精神に異常をきたして大量殺人を犯したはずのドレフュスは主任警部の座におり、クルーゾーの方が警部から降格されている。

1976年の第4作『ピンク・パンサー3』はほぼ完全な『ピンク・パンサー2』の続編。テーマ曲「ピンク・パンサーのテーマ」、「アニメキャラクターのピンクパンサー」も前作同様に登場する。しかし、「ピンクパンサーという名のダイヤモンド」は登場せず、題名と内容が無関係となった。同作はドレフュスを演じるハーバート・ロムが活躍する、ドタバタとパロディに徹した娯楽大作である。

1978年の第5作『ピンク・パンサー4』は前作の続編であるが、ドレフュスの位置付けが前作とは繋がらない。同作ではバート・クウォーク演ずるケイトーがクルーゾーの助手として活躍する。ケイトーはクルーゾーの「助手」と紹介される事が多いが、過去3度の登場ではあくまでクルーゾー宅の使用人であり、捜査の助手を務めるのは同作が最初で最後である。『2』冒頭では巡査に降格されていたクルーゾーだが、幸運に恵まれて次々と手柄を立てて主任警部に昇進、『4』では2度の勲章も受け、名警部として世界に知られるようになっていた。

エドワーズとセラーズの関係は再開後も良好ではなかったが、作品はコメディ映画の人気シリーズとしてヒットを続けた。
セラーズ死後

マンネリが指摘される面もあったが好調にシリーズが続き、次回作として『Romance of the Pink Panther 』が企画されるも、1980年にピーター・セラーズが心臓発作のため、54歳で急死する。

その後、1982年に第6作『ピンク・パンサーX』(日本劇場未公開)がセラーズ追悼作として製作される。


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