ピコ秒
[Wikipedia|▼Menu]

この項目では、時間の単位について説明しています。角度の単位については「秒 (角度)」をご覧ください。

びょう

seconde
second

原子時計
記号s
国際単位系 (SI)
種類基本単位
時間
定義セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移により放射される電磁波周期の9192631770倍に等しい時間
由来平均太陽日LOD)の1/86400
テンプレートを表示

秒(びょう、: second、記号 s)は、国際単位系 (SI) 及びMKS単位系[1]CGS単位系[2]における時間物理単位である。他のとは関係せず完全に独立して与えられる7つのSI基本単位の一つである[3][4]。秒の単位記号は、「s」であり、「sec」などとしてはならない(後述)。

「秒」は、歴史的には地球の自転の周期の長さ、すなわち「一日の長さ」(LOD[5])を基に定義されていた[6]。すなわち、LODを24分割した太陽時を60分割して「」、さらにこれを60分割して「秒」が決められ、結果としてLODの86 400分の1が「秒」と定義されてきた。しかしながら、19世紀から20世紀にかけての天文学的観測から、LODには10?8程度の変動があることが判明し[7]、時間の定義にはそぐわないと判断された。そのため、地球の公転周期に基づく定義を経て、1967年に、原子核が持つ普遍的な現象を利用したセシウム原子時計が秒の定義として採用された。

なお、1秒は偶然にも人間の標準的な心臓拍動の間隔に近い[7]
目次

1 定義

2 歴史

2.1 機械時計成立以前の秒

2.2 秒表示を持つ機械時計

2.3 地球の公転周期に基づく秒

2.4 原子時計による秒

2.5 新しい定義への模索

2.6 定義の変遷


3 倍量・分量単位

4 表記

4.1 単位記号

4.2 漢字表記

4.3 Unicode


5 国際原子時と閏秒

6 固有時と座標時

7 脚注

7.1 注釈

7.2 脚注

7.3 脚注2


8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク

定義

現在の「秒」は、以下のように定義されている。La seconde est la duree de 9192631770 periodes de la radiation correspondant a la transition entre les deux niveaux hyperfins de l'etat fondamental de l'atome de cesium 133.[3][8]

和訳:秒は、セシウム 133 の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続時間である.[9] ? 第13回国際度量衡総会決議1、1967/68年、Brochure sur le SI (8e edition)

この定義が各国において採用されており、例えば、日本の計量法体系においては「セシウム百三十三の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の九十一億九千二百六十三万千七百七十倍に等しい時間」(計量単位令別表第一第3項)と定義されている[10]

なお、1997年に、この定義に次の補則が定められた[11]
Cette definition se refere a un atome de cesium au repos, a une temperature de 0 K.[3][8]

和訳:この定義は温度 0 K のもとで静止した状態にあるセシウム原子に基準を置いている.[11] ? 国際度量衡委員会、1997年、Brochure sur le SI (8e edition)

この補則は SI 秒の定義が、黒体輻射により摂動を受けないセシウム原子に基づいていることを明確にしている。すなわち、周囲環境が熱力学的温度で0 K である。
歴史「時計の歴史」も参照
機械時計成立以前の秒

古代のバビロニアそして中国では、1日を12等分する時間を設け、これを日時計による観測で確認をしていた[12]。また、少なくとも紀元前2000年頃にはエジプトでは1日をに分け、それぞれを12の時間単位で区切っていた[12]。これは不定時法と呼ばれ、季節による昼や夜の長さ変動から、それら時間単位の実際の長さは一定していなかった。古代ギリシアヒッパルコス(紀元前150年前後)と古代ローマクラウディオス・プトレマイオス(150年前後)は、それぞれ1日を六十進法で細分し、平均化された1時間(1日の24分割)や、1時間の単純な分数(1/4や2/3など)そして時間の度合い(現代の「分」にも通じる1日の360分割)などを用いたが、これらは現代の分や秒とは異なっていた[13]

六十進法の定義によって分けられる1日は 1/60のn乗の時間区分を設けていくことになるが、300年頃のバビロニアでは少なくとも(1/60)6までの分割(2マイクロ秒よりも短い)を行っていた。ただし、そのようなごく短い時間単位を基準に用いていた訳ではなく、例えば1年という時間を細分単位で表すような場合には1日の60分割単位を基礎としていた。バビロニアでは1日を360分割した she という単位(現代の4分に相当する時間)、これをさらに72分割した helek という単位(現代の10/3秒に相当する時間、ユダヤ暦の「ヘレク」と同じ)を使っていた[14]。彼らはこれらの単位時間を正確に測定を行う手段は持っていなかったが、計算で、例えば1朔望月の平均時間を六十進法で29;31,50,8,20日(=29.530 594 135 8日)という値を得ていた。この計算方法はヒッパルコスとプトレマイオスが使っていた方法である。この「ヘレク」は1080分の1時間であり[15]ユダヤ暦では、平均月を29日と12時間793ヘレク(英語版)(=29日と12.734時間)とする。

西暦1000年、ペルシア人の学者アブー・ライハーン・アル・ビールーニーは、新月となる週に、日曜日正午を基準点とした「日、時、分、秒」さらに秒より細かな2段階の区分を施した[16]。1267年にはロジャー・ベーコンが、満月日の正午を基準に「時(horae)、分(minuta)、秒(secunda)」さらに細かな tertia と quarta へ分けた[17]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:115 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef