ピアノ線(ピアノせん、英: Piano wire)は、炭素鋼で作られた金属線である。 ピアノ線とは、硬鋼線で強度が高い高級高張力鋼線のこと[1]。弾性率が高く、ベッドスプリングや建築用途のシャッタースプリング、自動車のシートスプリングなどのばね用の他、多少の伸び縮みを吸収する性能が求められるコンクリート補強、長大橋のケーブルなどにも利用されている[1]。日本産業規格(JIS G 3522)ではA種、B種及びV種が定められている[2]。工作材料としても使用できるが、鉄線や真鍮線と比較して非常に硬いため、手作業での加工は困難な場合もある。 ピアノ線の工業用途として、プレストレスト・コンクリートの圧縮力を与えるPC鋼材としての用途がある。コンクリートは圧縮力には強いが、引張力には弱い部材のため、あらかじめ引張力を作用させたピアノ線を用いてコンクリートに圧縮力を与え、外部からの引張力を相殺することでより強い構造を作れる[3]。鉄道では、頑丈で長寿命、狂いが生じにくい利点から、プレストレスト・コンクリート製のPC枕木が用いられる[4]。 語源はピアノの弦に使われたことによるが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}炭素鋼によるピアノ線が普及したのは19世紀後半以降である。それ以前は単なる低炭素鋼による鉄線や黄銅による真鍮線などが用いられてきた[要出典]。なお、ピアノ用のものに関しては、特にミュージックワイヤー(music wire)と呼ばれ、これに対しては、音のむらを防ぐために真円度が高いこと、巻線加工のために平らにつぶしても割れないこと、チューニングピンに巻きつけても耐えられる曲げ強さなど、工業用のピアノ線より高度な品質が求められる[5]。 ノモンハン事件では、鉄線を使った対戦車障害物を設置したという[6]。日本でも、軍事関係者によってピアノ線の研究が行われた[7][8]。また、絞首刑の道具としても使われた(ヒトラー暗殺計画などが挙げられる)。 ハンマー投げの球体部分と取手部分をつなぐ鋼線に使われている[9]。 特撮の模型をつり下げる際に用いられ(操演)、円谷プロダクションでは映像にピアノ線が映り込むと、円谷英二に釜飯を奢る習慣があった[10]。
概要
利用
緊張材「プレストレスト・コンクリート」も参照
ピアノ
軍事利用
その他
脚注^ a b “【東建コーポレーション】ピアノ線 。おもしろ建築用語集 。建築用語辞典
^ “材料の特徴・SWP-AとSWP-Bの違い - ばね専門家が回答!ばねっと君のなんでも相談室 。バネ・ばね・スプリングの東海バネ工業株式会社
^ “RCとPC
^ “ ⇒製造│株式会社シーピーケイ”. kcpk.co.jp. 2020年5月26日閲覧。
^ 現在のミュージックワイヤ
^ “ ⇒戦争体験記≪平和を願うための過酷な戦場の一面を≫”. www.city.yamato.lg.jp. 2020年5月26日閲覧。
^ 俵信次, 福地浩, ピアノ線に関する研究