Vlog(ブイログ)[注釈 1]とは、メディアが動画であるブログの一形態で、ビデオログ (video log) の略称。
Vlogの投稿記事は多くの場合、動画の埋め込み(または動画リンク)にそれを補足する文章や画像その他メタデータを組み合わせたものである。投稿記事は1テイク(撮影開始から最後まで1本撮り)で記録されたものもあれば、複数に分割されることもある。Vlogは動画共有プラットフォームのYouTubeで人気のあるカテゴリーである。
近年では、Vlog制作がソーシャルメディア上で大きなコミュニティを生み出しており、デジタルエンターテイメントで最も人気のある形態の1つとなっている。Vlogは文章のブログとは対照的に、映像を通じてより深い背景内容を(面白い題材と共に)提供できると広く信じられている[3]。またVlogは多くの場合、Webシンジケーション
を利用したRSSやAtomを使ってインターネット上で動画を配信することができ、モバイル端末やパソコン上で自動集計や再生ができる(ビデオポッドキャストを参照)。ニューヨークの芸術家ネルソン・サリバン
は、1980年代にニューヨークとサウスカロライナ州周辺の動画をブログに似た形式で記録したことで知られている[4]。2000年1月2日、アダム・コントラスは芸能界を目指してロサンゼルスまで山野を移動している様子を友人や家族に告知する目的の動画をブログ記事と一緒に投稿し、この初投稿が後に史上最も長く継続するビデオブログになっていく[5][6][7]。同年11月、エイドリアン・マイルズは動画を静止画像と文章に変換したものを投稿し、自分のビデオブログを称するvogという用語を創作した[8][9]。映画製作者兼ミュージシャンのルーク・ブーマンは、2002年に自分の大学卒業記念旅行のビデオ日記としてTropisms.orgというサイト(現在は消滅)を立ち上げ、これがVlogやビデオログと呼ばれる最初のサイトの一つとされている[10][11]。2004年、スティーブ・ガーフィールドが自身のビデオブログを立ち上げ、同年を「ビデオブログの年」と宣言した[12][13]。
YouTubeロシアの元大統領ドミートリー・メドヴェージェフのビデオブログは、2008年11月のラテンアメリカ歴訪後に投稿された。
2005年を皮切りにVlog行為が急激に普及していった。同年2月に最も人気のある動画共有サイトYouTubeが設立されたのである。サイトの共同創設者ジョード・カリムは、2005年4月に"jawed"という自分のチャンネルで「動物園での私(Me at the zoo)」というYouTube最初のVlog映像をアップロードした[14]。動物園にいる自分という普段の「日常」と「さりげなさの美学」がアマチュアによるVlogコンテンツの特色と位置付けられ、とりわけYouTuber達の間でYouTube動画の典型となった[15]。2006年7月までにYouTubeは5番目に人気のあるウェブ配信先となり、毎日1億本の動画が視聴され、1日あたり65,000件の新規アップロードが行われるようになった[16]。またYahoo!のビデオブロググループも2005年8月までに会員数が劇増した[17][18]。
オープンソースなコンテンツ管理システムの多くが動画コンテンツを視聴できるようにしたことで、ブロガーが自身のVlogサイトを運営管理できるようになった。さらに、携帯電話にデジタルカメラ機能が付いたため、それで記録した動画コンテンツをWeb上に公開することもできるようになった[19]。ラジオ局やテレビ局が、リスナーや視聴者との交流を助ける手段としてビデオブログを活用する場合もある[要出典]。
YouTubeは、人々が自分の感情を表現する巨大なソーシャルコミュニティを作ることを目的とした人気のあるプラットフォームとなっている。それは、いつでもどこでも見知らぬ人達が寄り集まっては自分達の経験でお互いに安息を得る場所を作り出した。Vloggerが求める感情交流や支援といった親愛コメントが相当な数届くため、傷心Vlogを作ることが普遍的行為となっている[20] チャールズ・トリッピーはInternet Killed TelevisionというYouTubeチャンネルに日々続く3,000以上の動画があり、これが2019年5月時点で「YouTubeに投稿された最長連続する日々の個人ビデオブログ」というギネス世界記録となっている[21]。 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されるVidCon Vlogは、非言語的な手がかり(主に映像)を用いてVloggerの人物像、文化、印象について学ぶことができるようになっている。研究者たちはAmazon Mechanical Turkのクラウドソーシングを使ってVloggerがどのような性格特性を持っているのかを判定する実験をした[24]。多くのVlogは経験に対する外向性、誠実性、協調性、神経症、開放性という ビッグ5 Vlog行為は、それが学生に高等教育の実践を提供する信頼性の高いプラットフォームであるのかを判断するため(米国では)学校体系で実験が行われている。研究者は、大学1年生42人をそれぞれ21人の対照群と実験群に入れて実験を行なった[25]。各グループのやりたい事に基づく1年間の指導を経て、現在のスピーチ能力を反映する ⇒口頭運用能力テスト(OPI) を学生全員に受けてもらった。対照群では自分達の標準的な記述能力で作業して独自のブログを作るよう指示され、 実験群では自分の能力にオンライン対話を組み込んで試すよう指示された。実験後に両グループとも得点は増えたが、実験群は教師と同級生間でのより対話的な学習環境の結果もたらされたスピーチ能力向上のおかげで、対照群を上回っていた。対照群は、ビデオブログを使わなかったため自分達のスピーチ能力に「自信が低いままだった」と主張した[25]。 Vlogは近年、視聴者に情報提供したり内輪グループを作ることが目的のプラットフォームがどうやって慢性疾患に苦しむ人々の周りに有用なコミュニティを形成していくのか、を研究する調査において使用されている。糖尿病、癌、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)といった慢性疾患に苦しむVloggerを対象にした実験で、研究者たちは当人達とコメントを書き込む人達との関係性を調査した[3]。Youtuber36人から72のVlogサンプルが採取された。大部分のVloggerは、経緯と感情的な影響を視聴者に伝えるため、自分の物語を振り返ったり共有する方法としてVlogを投稿している。この研究では、まず個人的特徴を共有する多くのアドホックな少数グループが作られて、それが時間経過とともに膨れ上がるオンラインコミュニティを作り、やがてVloggerが必要とするサポートを提供する支援コミュニティ作りに関与するさらに多くの視聴者を獲得することが判明した[3]。
ギネス世界記録
VidCon
用途
印象
教育
健康
種類
個人Vlog
個人Vlogは、自分達が人々に紹介したい情報を届けるために各々を記録するオンライン動画である。その視聴者達は企業や組織のVlog視聴者ほど多様ではない。
生放送Vlog
YouTubeは2008年にYouTube Liveという生放送の配信機能を発表した。この機能はInstagramやFacebookといった他のソーシャルプラットフォームによっても確立された。
教育的Vlog
特定の主題について視聴者を教育する意図で作られたビデオブログ[25]。
傷心Vlog
喪失感、悲しみ、嘆きの心情を吐露する意図で作られたビデオブログ[20]。
対話式Vlog
落ち着いた市民討論を生み出す意図で作られたビデオブログ[24]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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