ビッグ・テック
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ビッグ・テック(Big Tech)[1]は、テック・ジャイアンツ(Tech Giants)[2]、または口語ではフォー・ホースメン(The Four Horsemen) [3] [4]、ビッグ・ファイブ(Big Five)[5]、などとも呼ばれ、アメリカ合衆国の情報技術産業において現在最も規模が大きく、支配的で、最も名声のある4?5社のことを指す名称である。ビッグ4は、AlphabetGoogle)、AmazonAppleMetaFacebook)の4社で、Microsoftがビッグ5を構成している[6][7][8][9][10][11]GoogleAmazonAppleMetaマイクロソフトロゴマーク

ビッグ4は、Eコマースオンライン広告家電クラウドコンピューティングコンピュータソフトウェアメディアストリーミング人工知能スマートホーム自動運転車ソーシャルネットワークなど、それぞれの技術領域で圧倒的な強さを誇っている[12]。これらの企業は、世界で最も価値のある上場企業の一つであり、それぞれの最大時価総額は約1兆ドルから3兆ドル以上となっている[13]。さらに、Googleを筆頭に、世界で最も権威があり、選り抜きの雇用主であると考えられている[14][15][16][17]

ビッグ・テックは通常、数百万人のユーザーにサービスを提供しているため、ユーザーの行動やユーザーデータの管理に影響力を持つことができる[18]。独占的な行為に対する懸念から、米国では司法省アメリカ合衆国連邦政府)や連邦取引委員会欧州委員会による反トラスト法調査が行われている[19][20][21]。コメンテーターは、これらの企業がプライバシー、市場支配力、言論の自由、検閲、国家安全保障、法執行に与える影響を問題視している[22]。また、これらの企業が作り上げたエコシステムの外では、デジタルの世界で日々生活することは不可能かもしれないと推測されている[23]

ビッグ・テックの広義のグループ化には、TwitterNetflixも含まれることがある。また、自動車メーカーであるにもかかわらず、Teslaもビッグテック企業と呼ばれることがあり、この意見には多くの議論がある[24][25][26]。ビッグ・テックのコンセプトは、ビッグオイルのような他の市場分野で少数の企業による市場支配の統合に類似している[27]。また、「ビッグ・テック」とは、MicrosoftIBMAT&Tなどの企業がこの業界を支配していたとされる20世紀半ばから後半にかけての歴史的なバージョンを指す場合もある[28]
定義と該当企業

ビッグ・テックは、より限定したグループに分類されることが多い[29]。以下がその代表的な例である。基本的にGoogleの親会社であるAlphabetは「G」、Meta(旧Facebook)は「F」と略されるが、 名称を変更するべきだという意見もある[30]
Big Four

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「GAFA」はここに転送されています。「良質な記事」(GA) や「秀逸な記事」(FA) については、それぞれの項目を参照。

ビッグ・フォー (Big Four) は、Alphabet、Amazon、Meta、Appleの4社で構成され[31][32][33]、GAFA[注釈 1](ガーファ、ガファ)、ザ・フォー (The Four)、ギャング・オブ・フォー (Gang of Four) [注釈 2][35]、フォー・ホースメン (Four Horsemen) [注釈 3][36]とも呼ばれる[37]。作家のフィル・サイモン (Phil Simon) とニューヨーク大学教授のスコット・ギャロウェイ (Scott Galloway) は、オンライン活動における支配力と役割を通じて社会の大きな社会変革を牽引してきたことが、MicrosoftやIBMのような他の大規模なIT企業とこれら4社の違いであるしている[38][39]。Googleの元CEOであるエリック・シュミットは、「マイクロソフトは消費者の心の中で消費者革命を推進していない」として、マイクロソフトをこのグループから除外している[40]
Big Five

ビッグ・ファイブ (Big Five)[41]は、Alphabet、Amazon、Meta、Apple、Microsoftの5社で構成され[42][43][44]、GAFAM、GAFMA[45]、FAAMG[46]、FAAAM[47]とも呼ばれる。これら5社は2000年代末以降、サウジアラムコを除けば、世界で最も時価総額の高い公開企業5社であり、それぞれの最大時価総額は約5,000億ドルから約2兆ドルにも及ぶ[48][49]。トゥールーズ大学教授のニコス・スミルナイオスは、「資本主義の文脈の中で市場力や金融力を集中させ、特許権や著作権を利用することで、インターネットの支配権を握っているように見える寡占企業だ」とこれら5社の特別性を指摘した[50]
FANG、FAANG、MAMAA

FANGとは、2013年にCNBCのテレビ番組「Mad Money」の司会者であるジム・クレイマーが作った、FacebookAmazonNetflixGoogleの頭文字をとった造語である。クレイマーはこれらの企業を「各市場で完全に支配的な企業」と呼んだ[51]。RealMoney.comのクレイマーの同僚、ボブ・ラングによると、クレイマーはこの4社がベアマーケットに「本当に食い込む」態勢を整えていると考え、この頭文字に2つの意味を持たせたという[52][53][54]

クレイマーは2017年にFANGをFAANGに拡大し、Appleをその収益からFortune 50に入る可能性のある企業として他の4社に加えた[55]。2021年10月にFacebook, Inc.がMeta Platforms Inc.に社名変更した後、CramerはFAANGをMAMAAに置き換えることを提案した。これは、Netflixの評価が彼の頭字語に含まれる他の企業に追いついていなかったため、5社の中でNetflixをMicrosoftに置き換えることを含む。Microsoftを加えた新しい5社の時価総額はそれぞれ少なくとも9000億ドルで、Metaのブランド変更時のNetflixの3100億ドルと比べた。

2021年11月、The Motley FoolはMAMAAとFAANGをパロディ化し、Microsoft、Apple、Netflix、Alphabet、Meta、Amazon、NVIDIAAdobeを含むMANAMANAという略語を考え出した[56]
NYSE FANG+指数

NYSE FANG+(ファングプラス)指数は、現在Meta、Apple、Amazon、Netflix、Alphabet、Tesla、Microsoft、AMD 、Snowflakeで構成される。当初はMeta、Apple、Amazon、Netflix、Alphabet、NVIDIAテスラTwitterアリババ百度の10社で構成された株価平均型株価指数である[57]インターコンチネンタル取引所株価指数先物取引が行われている[58][59]。「iFreeNEXT FANG+インデックス」などの投資信託が存在する[60]。Microsoftが含まれていない一方で、GAFAMと比較して規模がやや小さいテスラやTwitter、アメリカで上場している中国企業のアリババや百度が含まれていた。テンセントはアメリカで上場していないので含まれない。

2021年12月にTwitterが除外されMicrosoftに、2022年12月に百度、アリババが除外されAMD、Snowflakeへ組入銘柄が入れ替えられた。
BAT

BAT(バット)は、百度、バイトダンス、アリババ、テンセントの4社で構成される[61][62]。近年ではアメリカのGAFAやFANGに対抗し[63]、中国の4大IT企業を指す言葉として、Huaweiを加えたBATH(バス)[64][65]Xiaomiを加えたBATX(バットエックス)[66][67][68]京東商城を加えたBATJ(バットジェイ)[69]が用いられることもある[70]。この言葉は日本ではまだ馴染みが薄く、多用されることは少ないが[71]、近年は新聞やテレビなどの主要メディアでも使用される機会が増えている。LINEZホールディングスの経営統合にも、GAFAとともに影響を与えたとされ、日本国内の大企業にも影響を与えている[72][73]
G-MAFIA BAT

G-MAFIA BAT(ジーマフィア・バット)は、アメリカのAlphabet、Microsoft、Amazon、Meta、IBM、appleに、中国の百度、アリババ、テンセントを加えた9社で構成され、ビッグ・ナイン (Big Nine) とも呼ばれる[74]。2010年代末の世界的に最も価値のある公開企業トップ10に中国のIT企業であるアリババとテンセントがランクインし、スミルナイオスは2016年に「アジアの巨大企業であるサムスン電子、アリババ、百度、テンセントは定義に含めることができる、あるいは含めるべきだ」と主張している[50]。サムスン電子は携帯電話市場で圧倒的な存在感を示しているものの、現在はGoogleが大きな影響力を持つAndroidのエコシステムに依存しているため、G-MAFIA BATの定義に含まれていない。
その他

2019年フォーブスが発表した年間売上高、利益、資産、時価総額、総合的な市場評価に基づくグローバル2000リストでは、Apple、Google、Facebook、Microsoftに加えて、サムスン電子、インテル、IBM、シスコシステムズ、テンセント、オラクルが世界のIT企業のトップ10にランクインしている[75]


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