ダヤク族Dayaks in their war dress, 1864
(200万人から400万人[1][2])
居住地域
インドネシア、マレーシア、ブルネイ
言語
ダヤク語
ダヤク族(DayakまたはDyak)は、ボルネオ島に居住するプロト・マレー系先住民のうち、イスラム教徒でもマレー人でもない人々の総称である[3][4]。
「ダヤク」の語源には「田舎者」「粗野な人」を表す侮蔑語であるという説や、「内陸の人びと」「上流の人びと」を表す現地語という説がある[4]。関連民族毎に細分化され、カヤン・ダヤク、クニャー・ダヤク、ヌガジュ・ダヤク、海ダヤク、陸ダヤクなどと複合名称として用いられることが多い。日本ではイバン族を指してダヤクと呼称するのが一般的である。これらの民族の文化的類縁関係はフィリピン諸族、中央カリマンタン諸族、西ボルネオ諸族の三群に大別される。目次 ダヤク族は創造神話や二元論的な世界観を共有し、首狩り、アニミズム信仰、葬制など共通した儀礼を有している[4]。森林を中心として生活する彼らは、その生業を狩猟採集を主とするグループと、焼畑農業を主とする2つのグループに分けられる。また、焼畑を生業とするグループは、その社会構造や言語・文化からいくつかのサブグループに分けることができる[4]。 ボルネオ島の内陸部に居住する狩猟採集民族は総じてプナン(Punan)族と呼ばれ、近接する焼畑民であるカヤン(Kayan)族やケニァ(Kenyah)族と言語・身体的に関連がある[4]。プナン族のうち、サラワク州に移住した人びとはペナン(Penan)と呼ばれる。また、東カリマンタン州にはバサップ(Basap)、中カリマンタン州にはオット(Ot)と呼ばれるプナン系狩猟採集民族がいる。 カヤン族はボルネオ島中央部、カヤン川 カヤン族の移動後、入り替わりにアポ・カヤン地域に入ったのがケニァ族である[4]。東カリマンタン州のイワン川 ボルネオ島西部の焼畑民であるイバン(Iban)族は海ダヤク(Sea Dayak)とも呼ばれる[4]。カプアス川中流域を起源に持ち、サラワク州に約50万人、東カリマンタン州に約50万人が居住している。ツアク
1 ダヤク族の類型
1.1 プナン系狩猟採集民
1.2 カヤン・ケニァ系諸族
1.3 イバン系諸族
1.4 バリトー系諸族
1.5 ドゥスン系諸族
2 画像
3 脚注
4 参考文献
5 外部リンク
ダヤク族の類型
プナン系狩猟採集民
カヤン・ケニァ系諸族
イバン系諸族
イバン族と文化的に近い関係にある民族に西カリマンタンのカントゥ(Kantu')などがある。文化的な近縁性はあるが、マレー語を話す人びとはマレー系ダヤク(Malayic Dayak)と呼ばれる。
また、ボルネオ島西部でイバン族と言語・文化的に異なる民族に陸ダヤク(Land Dayak)とも呼ばれるビダユ(Bidayuh)族がいる[4]。ビダユ族はサラワク州最南端のインドネシア国境に近い丘陵地帯に居住する。首狩りの風習を持ち、敵の首級を保存するための首堂が建築されるなどしていた。近年は狩猟や採集だけの生活ではなく、都心へ働きに出る者などもいる。 ボルネオ島南部のバリトー川流域に居住するガジュ(Ngaju)族は中カリマンタン州の多数派を形成する民族である。カハヤン川地域で話されるガジュ方言は、中カリマンタン州の共通言語となっている[4]。社会階層は貴族・平民・奴隷層に分かれているが、カヤン・ケニァ系諸族に比べればかなり緩やかである。類似する民族に中カリマンタン州のオット・ダヌム(Ot Danum)、東カリマンタン州のルアガン(Luangan)などがある。 サバ州東部で焼畑農業を営むダヤク族はドゥスン(Dusun)と呼ばれ、言語的にはフィリピン人に近い関係がある[4]。下位集団としてカダザン(Kadazan)やルグス(Rungus)などがある。社会文化的には多様だが、平等主義で威信を重視する共通点がある。 海ダヤクの女性たち。彼女たちの胴には、籐製の腹巻と、真鍮製の輪を付けたベルトが付けられている。真鍮製の輪の数は、彼女たちの家の富を表している。 首狩りを行うダヤクの戦士
バリトー系諸族
ドゥスン系諸族
画像
脚注^ ⇒http://concise.britannica.com/ebc/article-9029561/Dayak
^ ⇒WWF - Borneo people
^ Victor T. Kingによる定義
^ a b c d e f g h i j k 井上 2005, pp. 274-279.