ビタミンD
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ビタミンD2

IUPAC名

(3β,5Z,7E,22E)-9,10-secoergosta-5,7,10(19),22-tetraen-3-ol
(3β,5Z,7E,22E)-9,10-セコエルゴスタ-5,7,10(19),22-テトラエン-3-オール
別称.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

Ergocalciferol

エルゴカルシフェロール

識別情報
CAS登録番号50-14-6
日化辞番号J1.907K
KEGGD00187
C05441
特性
化学式C28H44O
モル質量396.65
融点

114-118
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ビタミンD3

IUPAC名

(3β,5Z,7E)-9,10-Secocholesta- 5,7,10(19)-trien-3-ol
(3β,5Z,7E)-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-3-オール
別称

Cholecalciferol

コレカルシフェロール

Vitamin D3

ビタミンD3

識別情報
CAS登録番号67-97-0
日化辞番号J2.367A
KEGGD00188
C05443
SMILES

O[C@H](C/C1=C/C=C3/ C2CC[C@@H]([C@@](CCC3)2C) [C@H](C)CCCC(C)C)CCC1=C

特性
化学式C27H44O
モル質量384.64
融点

84.5-87
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ビタミンD (vitamin D) は、ビタミンの一種であり、脂溶性ビタミンに分類される。必須栄養素だが、日光浴によって生合成もされる。カルシウムの働きに関わり骨などの健康に関与する。ビタミンDはさらにビタミンD2(エルゴカルシフェロール、Ergocalciferol)とビタミンD3(コレカルシフェロール、Cholecalciferol)に分けられる。ビタミンD2は大部分の植物性食品には含まれず、キノコ類に含まれているのみであり[1]、ビタミンD3は動物に多く含まれ、ヒトではビタミンD3が重要な働きを果たしている。ちなみにビタミンD1は、ビタミンD2を主成分とする混合物に対して誤って与えられた名称であるため、現在は用いられない。
機能

ビタミンDは、活性型ビタミンD(カルシトリオールまたは、1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)として、次の方法により血中のカルシウム(Ca2+)濃度を高める作用がある。
からカルシウムの吸収を高め血中濃度を高める。

腎臓の働きによりカルシウムの血中から尿への移動を抑制する。

から血中へカルシウムの放出を高める[2]

また、ビタミンDは免疫反応などへの関与も示唆されている。作用機構および機能の多様性から、ビタミンAとともにホルモンに分類されることがある。ビタミンDはコレステロール合成の前駆体である7-デヒドロコレステロールから人体内で合成できるが、消化管からのビタミンDの吸収が低下すると容易にビタミンD欠乏症になる。
生合成
皮膚での生成皮膚の表皮の層。基底層(図の赤色部分)及び有棘層(オレンジ色部分)での生成が最大となる。

皮膚は、主要な2層で形成されている。内側の層は真皮で、結合組織の大部分を占めており、外側の層は薄い表皮である。表皮は、5層で構成されており、外側から内側に順に、角質層、顆粒層、顆粒膜層、有棘層基底層である。

1923年に、7-デヒドロコレステロールに紫外線を照射することによって脂溶性ビタミンを生成できた。アルフレッド・ファビアン・ヘスは「光はビタミンDと同等である」ということを示した[3]。ドイツのゲッティンゲン大学のアドルフ・ヴィンダウスは、ステロールと関連ビタミンの構造の解明で、1928年にノーベル化学賞を受賞した[4]。彼は、さらに、1930年代にビタミンDの化学構造を確定した。

コレカルシフェロールは、皮膚で7-デヒドロコレステロールから光化学的に生成される。7-デヒドロコレステロールは、ヒトを含むほとんどの脊椎動物の皮膚中で大量に生成される[5]。ビタミンDの生成に効果のある、波長300nm付近の紫外線(UV-B線)は「ドルノ線」と呼ばれる。

ヒトにおいては、日焼け止めクリームを使わない場合、午前10時から午後3時の太陽光を少なくとも週に2回、5分から30分の間、顔、手足、背中に浴びることで十分な量のビタミンDが体内で生合成される[6][7]

日本人に最も多い肌の色スキンタイプIIIで、顔と手のひらだけに紫外線を浴びた場合、7月の北海道札幌市茨城県つくば市沖縄県那覇市では、10μgのビタミンD生成に必要な日光浴時間は10?20分であり、12月では、それぞれ139分、41分、14分となり大幅に増加する[8]。紫外線が皮膚に有害となるのは、その約2倍から3倍の時間浴びた場合である。

ある種の動物では、毛皮や羽根が紫外線の皮膚への到達を妨げている。鳥類や毛皮を持つ哺乳類においては、皮膚から毛皮や羽根に皮脂を分泌し毛繕いすることによって口からビタミンDを摂取している[9]

ハダカデバネズミでは、25-ヒドロキシビタミンDが血中で検出されないように、元来コレカルシフェロール(ビタミンD)を欠損しているように見える[10]。実際、ハダカデバネズミは、完全地中棲であるので太陽光にあたることはない。興味深いことに、ハダカデバネズミは老化に対して耐性があり、健康な血管機能を維持でき[11]齧歯類の中でとび抜けて寿命が長い[12]
生成メカニズム(ビタミンD3)ステロイド核のA-D環及びステロイドの炭素番号コレステロール

コレステロール合成の前駆体であるプロビタミンD37-デヒドロコレステロール)(下図左)が、皮膚上で紫外線を受けてステロイド核のB環が開き、プレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)(下図右)となる。

プレビタミンD3(下図左)は、自然発生的にビタミンD3(コレカルシフェロール)(下図右)へ異性化する。プレビタミンD3からのビタミンD3(コレカルシフェロール)への転移は、室温では12日間で完了する[13]

皮膚で産生されたものであれ経口摂取されたものであれ、ビタミンD3(コレカルシフェロール)(下図左)は、肝臓でC25の位置でヒドロキシ化の代謝を受け 25-ヒドロキシコレカルシフェロール(別名25(OH)D3、カルシジオール)(下図右)へと変化し[14]肝細胞に貯えられ、必要なときにα-グロブリンと結合しリンパ液中に放出される。なお、Cの番号はステロイドやコレステロールの構造と炭素の番号に由来する。

カルシジオール(下図左)は、腎臓の尿細管に移送され、2つの種類のビタミンDの型に変化する。一つは活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD3カルシトリオール)(下図右)となる[14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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