「ビコーズ」
ビートルズの楽曲
収録アルバム『アビイ・ロード』
英語名Because
リリース1969年9月26日
録音
1969年8月1日、4日、5日
EMIレコーディング・スタジオ
ジャンルアート・ロック
時間2分45秒
レーベルアップル・レコード
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
『アビイ・ロード』 収録曲
ヒア・カムズ・ザ・サン
(B-1)ビコーズ
(B-2)ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー
(B-3)
「ビコーズ」(Because)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ジョン・レノンによって書かれた楽曲[1]。レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの3人のハーモニー・ボーカルを主体とした楽曲で、同じパートを3回歌うことで、9声コーラスに仕上げている。 「ビコーズ」は、プロデューサーのジョージ・マーティンが演奏するエレクトリック・ハープシコードのイントロに始まり[2]、レノンによるレスリー・スピーカーを通したギターが入った後、三声のボーカルとポール・マッカートニーのベースが重なる。中間部のホルン風の音は、ジョージ・ハリスンが演奏するモーグ・シンセサイザーによるもの。 楽曲について、レノンは「ちょうど『ビコーズ』を書いていたときに、たまたまヨーコがクラシックの曲を弾いていたから、『逆向きに弾いてみてくれないか』と頼んだ。そのコードを逆向きに教えてくれといって、それに乗せて曲を書いた。ベートーヴェンだか知らないけど」と語り、そこでオノが自身が演奏した楽曲が「月光ソナタ」であることを明かした[1][3]。 イントロのエレクトリック・ハープシコードは、「月光ソナタ」と同じC♯マイナーで演奏されていて、このアレンジはベートーヴェンの「交響曲第1番」のアルペジオに相当するもの[3]。1969年のインタビューで、ハリスンは「大抵はポールが甘い曲を書いて、ジョンはもっと激しい曲とか、妙ちくりんなものを書いている。でも、『ビコーズ』は間違いなく、最高の美しい曲の一つ。もしかしたら『アビイ・ロード』の中で僕の一番のお気に入りかも知れない」と語っている[3]。 「ビコーズ」のレコーディングは、1969年8月1日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始された[3]。バッキング・トラックのトラック1にマッカートニーのベース、トラック2にレノンのギター、トラック3にジョージ・マーティンが演奏するボールドウィン製のエレクトリック・ハープシコードが録音された。1987年にマーティンは、レコーディング時のことを「ジョンがギターで弾いた音を逐一エレクトリック・ハープシコードで再現した」と振り返っている[4][3]。さらに全ての音を合わせる必要があったため、リンゴ・スターが手拍子
背景・曲の構成
レコーディング
23テイク録音された中で、完奏したのはテイク1、16、23の3テイクのみ。そのうちテイク16に対して、レノン、マッカートニー、ハリスンがハーモニー・ボーカルを加えた[3]。4日に同じパートをさらに2回歌ったものをトラック6、7、8に録音し、9声のコーラスを作り出した[3]。ハーモニーについて、レノンは「単純に『3度と5度に代わりになるものは?』と、ジョージ・マーティンに尋ねた。僕はそれしか知らなかったから。そしたら彼がピアノで弾いてくれたから、『それでいこう』となった」と語っている[3]。なお、レノン、マッカートニー、ハリスンの3人が揃って歌ったのは、1965年に発売のシングル『涙の乗車券』のB面曲「イエス・イット・イズ」以来となる[3]。
テイク18の録音後に、レノンはタンブーラ(英語版)の音を加えることを考えたが、最終的に見送られた[3]。代わりにルーム43に設営されていたモーグ・シンセサイザーで電子音が作り出され、ケーブルを介してスタジオ2に送り込まれ、トラック2と4に録音された[3]。モーグ・シンセサイザーは、ハリスンが演奏しており、8月5日にオーバー・ダビングされた[5][3]。ここで、レノンのギターがトラック5にダビングされ、スターの手拍子が消去された。1969年9月に放送されたラジオ・ルクセンブルク(英語版)で、レノンは「『ビコーズ』ではモーグがソロを取る。モーグはどんなスタイルでも、妙ちくりんな音も、ごくあっさりした音もなんでも弾ける楽器だ。トランペットの音も出せるし、とにかくこっちのお望み次第というわけ」と語っている[3]。