ヒューゴー賞
Hugo Award
1991年ヒューゴー賞のトロフィ
受賞対象前暦年のSFおよびファンタジー
国 アメリカ合衆国
主催ワールドSFソサエティ
初回1953
公式サイト ⇒http://www.thehugoawards.org/
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ヒューゴー賞(ヒューゴーしょう、The Hugo Awards)は、前年に発表されたSFやファンタジーの作品および関連人物に贈られる賞である[1]。小説、映像、コミックなど複数の部門があり、各受賞者は毎年の世界SF大会(ワールドコン)中に開催されるヒューゴー賞授賞式において発表される。選考委員や審査員は存在せず、ワールドコン参加者(つまり一般のファン)の投票によって受賞が決まる。運営しているのは、ワールドコンの運営母体でもあり、SFファンが会員となる非営利団体、ワールドSFソサエティ(世界SF協会とも。World Science Ficton Society, WSFS)である。
1953年の世界SF大会(ワールドコン)において創設された。現存する中で最も歴史の古いSF・ファンタジー文学賞である。アカデミー賞をヒントとして提案され、アメリカSF界最初期の功労者であるヒューゴー・ガーンズバックにちなんだ「ヒューゴー賞」というニックネームが与えられた。 SF・ファンタジー作品に与えられる賞としては、アメリカSFファンタジー作家協会 (SFWA) の会員投票で選ばれるネビュラ賞と知名度を二分する。ヒューゴー賞とネビュラ賞の同時受賞はダブル・クラウンと呼ばれることがある(同時受賞作の一覧についてはこちらを参照)。 賞の創設以来、受賞者には流線型のロケットを象ったトロフィーが授与されている。1984年にロケットのデザインが公式に変更されて以降は、台座部分のみが毎年新しくデザインされている。 WSFSの規約には「SFおよびファンタジー作品を対象とする」と明記されている[1]。また、ヒューゴー賞公式サイトでは以下のように説明されている[2]。 Q. ヒューゴー賞の対象はサイエンス・フィクションだけですか? 半世紀以上の歴史の中で、部門数・名称・内容は数々の変遷を重ねている。下記は2018年現在の部門である。 現在の部門名開始年対象、備考
概要
対象ジャンル
A. いいえ。主催団体は「ワールドSFソサエティ」と名乗っていますが、規約にはSFもファンタジーも対象とすることを明記しています。ファンタジー作品はヒューゴー賞をよく受賞していますし、それだけでなくホラーやメインストリームだと見なす人がいるような作品も実際に受賞しています。ジャンルやサブジャンルの正確な定義について普遍的な合意がなされることは決してないでしょうから、WSFSは作品の受賞資格の判断を投票者に一任しています。優れたSF編集者・作家であるデーモン・ナイトの発言をパラフレーズするならば、「ヒューゴー賞にふさわしい作品とは、投票者たちがヒューゴー賞を贈ることによって示される」のです。 ? ヒューゴー賞公式サイト FAQページ
ヒューゴー賞の部門
長編小説部門 (Best Novel)1953年40001語以上(ノヴェル)
中長編小説部門 (Best Novella)1968年17501語から40000語(ノヴェラ)
中編小説部門 (Best Novelette)1955年7501語から17500語(ノヴェレット)
短編小説部門 (Best Short Story)1955年7500語未満(ショート・ストーリー)
シリーズ部門 (Best Series)2017年小説のシリーズ作品。
関連書籍部門
グラフィックストーリー部門 (Best Graphic Story)2009年グラフィックノベル、コミックなど。
映像部門 (Best Dramatic Presentation)1958年映像だけでなくスピーチ、ラジオドラマ、音楽、演劇なども対象。
2003年から長さ90分を境に長編部門(Long Form)と短編部門(Short Form)に分割。
セミプロジン部門
ファンジン部門
編集者部門
新進作家を対象とする賞。ヒューゴー賞からは独立した賞という扱いだが、ヒューゴー賞とまったく同じプロセスで選出され、ヒューゴー賞セレモニーで授賞される。
ロードスター賞「ロードスター賞」も参照
2018年に、ヤングアダルト読者向けのSF・ファンタジー作品の書籍を対象として創設された。ヒューゴー賞からは独立した賞という扱いだが、ヒューゴー賞とまったく同じプロセスで選出され、ヒューゴー賞セレモニーで授賞される[3]。
賞名は2019年より The Lodestar Award for Best Young Adult Book となる(初年度はWSFS Award for Best Young Adult Bookとして実施された)。「ロードスター」は「導きの星」という意味[4]。 レトロ・ヒューゴー賞(遡及的ヒューゴー賞、Retrospective Hugo AwardsまたはRetro Hugos)は、ヒューゴー賞が授与されなかった草創期のワールドコンの各年度の有資格作品を対象として、通常のヒューゴー賞と同じ手順を経て選ばれる。1990年代中盤に規則が制定された[5]。 当初は該当年(1939年 - 1941年、1946年 - 1952年、1954年)の50・75・100年後に開催されるワールドコンにおいて実施可能とされた。2017年以降は「1939年以降でヒューゴー賞が授与されなかった年」の25の倍数年後に実施可能となった[4]。 実施するかどうかは有資格年のワールドコン実行委員会の判断による。これまでに実施されたのは1996年(1946年)、2001年(1951年)、2004年(1954年)、2014年(1939年)、2016年(1941年)、2018年(1943年)、2019年(1944年)、2020年(1945年)である。 毎年のワールドコンで行なわれるWSFSビジネス・ミーティングにおいて、規約は随時変更されている。下記は2023年現在の規定である[6]。 セミプロジン部門、ファンジン部門、ファンキャスト部門は連続刊行物を対象とする。個別の号ではなく、対象年の刊行物すべてが対象となる。
レトロ・ヒューゴー賞
候補・受賞資格
前暦年に世界のどこかで発表された作品。言語・刊行地は問わない[6][7][8]。
英語以外の言語で発表されたものは、英訳版が発表された年も対象となる。アメリカ国外で発表された作品はアメリカで初めて刊行された年も対象となる[9]。
作品や連続刊行物を対象とする部門では、発表形態(紙媒体、電子書籍、自費出版、ウェブサイトに発表された作品、ブログなど)は問わない。ただしセミプロジン部門・ファンジン部門・ファンキャスト部門のように媒体を資格定義に含む部門は、それぞれの定義に従って区分けされる。
個人(アーティスト、編集者など)を対象とする部門は、作品個々ではなく個人を対象とする。ただし該当年にまったく活動していない人物は資格を持たない。
「プロ」の定義
ヒューゴー賞の関連部門(プロアーティスト・ファンアーティスト部門など)においては、下記のどちらかを満たす場合に、professional(プロ)と定義される。
誰か一人の年収の1/4以上を賄っていること
対象となる媒体等を所有する団体が、そのスタッフもしくはオーナーのうち誰か一人の年収の1/4以上を支払っていること
連続刊行物の定義と資格
セミプロジン部門のノミネート資格は、これまでに最低4号以上かつ対象年に1号以上を発表した上で、下記の条件をすべて満たす場合である。
前述の「プロ」の定義に当てはまらないこと
寄稿者やスタッフに対し、掲載号の提供以外の何らかの利益(金銭など)が適用されていること
刊行/発表/公開物の入手方法が基本的に有料のみであること
ファンジン部門のノミネート資格は、これまでに最低4号以上かつ対象年に1号以上を発表した上で、対象が上述の「プロ」「セミプロジン」および下記の「ファンキャスト」に該当しない場合である。
ファンキャスト部門のノミネート資格は、これまでに少なくとも4エピソードを配信しかつ対象年に1エピソードを発表したオーディオ・ビデオ配信物で、かつ「プロ」に該当しない場合である。