ヒュメナイオス
[Wikipedia|▼Menu]

ヒュメナイオス
Hymenaios
婚儀、祝宴、結婚の神
エロース達の一柱
住処オリンポス山
シンボルウェディングトーチ
アポローンムーサの一人[1][2][3][4][5]
ローマ神話タラシウス
テンプレートを表示

ヒュメナイオス(古希: ?μ?ναιο?, Hymenaios, 英語: Hymenaeus)とは、ギリシア神話における結婚の祝祭の神で、祝宴、賛美歌や祝婚歌などの歌を祝する。ヒュメーン (古希: ?μ?ν, Hym?n) とも言う[6]

この神の名に関連するヒュメナイオスとは、新郎新婦を新居まで送る古代ギリシアの結婚行進歌のことであり[7]、そこで歌われる反復句ヒュメン・ヒュメナイ・オーまたはヒュメン・ヒュメナイエがいつの間にか神への呼びかけと解釈され、結婚を司る神になったとされている[6]。彼は、翼を持つ愛の神エロース達の一柱である。

ヒュメナイオスは、アポローンムーサ達の一柱(クレイオーカリオペーウーラニアーテルプシコラーの誰か)との間に生まれた息子とされている[1][2][3][4][5]
語源

Hymenという名前は、インド・ヨーロッパ祖語の*syuh?-men-(一緒に縫う)から「喜んで参加する者」として派生したもので、古代ギリシア語では??μ??ν (Hyman)として記録されている。英単語のhymenにはヒュメーンと処女膜の2つの意味があるが、後者はギリシア語のに由来するものでヒュメナイオスと直接の関係はない(ただし民間語源では関連があるとされる場合もある)[8][9][10][11]ニコラ・プッサン画『女性に扮してプリアプスに供物を捧げるヒュメナイオス』1634年、サンパウロ美術館所蔵キューピッド(左)とヒュメナイオス(右、松明あり)が刻印された、1807年の記念硬貨。ナポレオンの末弟ジェローム・ボナパルトカタリーナ・フォン・ヴュルテンベルク王女との結婚を祝したもの。
役割と表現

ヒュメナイオスはすべての結婚式に現れ、もし現れなければその結婚の悲劇性が証明されるだろうと考えられていた。そのため、ギリシアの人々はヒュメナイオスの名を声を出して呼びまわった。ギリシア神話で彼は、すべての神とその子供たちのため、多数の結婚式の司会を務めた。

ヒュメナイオスは、ガイウス・ウァレリウス・カトゥルスによって広められた起源不明な古代ギリシアの結婚歌「ヒュメン・オー・ヒュメナイエ、ヒュメン(Hymen o Hymenae, Hymen)」の中で祝されている。

少なくともイタリアのルネサンス以降、ヒュメナイオスは芸術上において、頭に花冠を付け、片手に燃える松明を持った若者の姿で表現される。ジョージ・レニー制作の彫刻『ヒュメナイオスの松明を再び燃え盛らせるキューピッド』
言及

ヒュメナイオスは、エウリピデス著『トロイアの女』の作中で言及されており、そこでカッサンドラは次のように語っている。

さあ、掲げて下さい、捧げて下さい、
運んで下さい、明かりを。ご覧ください、私は
崇めます、照らします、
この神殿を、松明で。
おお、主なるヒュメナイオス様。
花婿様はお幸せです。
アルゴスの町で、王様の寝床へと
嫁ぎ行く私もまた幸せです。
ヒュメン、おお主なるヒュメナイオス様[12]

ヒュメナイオスはまた、ウェルギリウスの『アエネーイス』およびウィリアム・シェイクスピアの戯曲7作品(ハムレット[13]テンペスト空騒ぎ[14]タイタス・アンドロニカスペリクリーズアテネのタイモンお気に召すまま)でも言及されている。『お気に召すまま』の最後で、ヒュメナイオス(ハイメン)はカップルたちに列席して次のように告げる。

町々に子を増やすはハイメンのつとめ、
称えよ、しあわせを産む夫婦の誓い、
称えよ、その名を声高らかに称えよ、
町々にしあわせをもたらすハイメンの名を。[15]

W.S.ギルバートとA.サリバンによる喜歌劇『軍艦ピナフォア』作中にヒュメナイオスの歌がある。他にも、紀元前7世紀から紀元前6世紀の詩人サッポーの詩にもヒュメナイオスが登場する。

ヒュメナイオスは、一般的にアポローンとムーサ達の一柱との間に生まれた息子とされる[1][2][3][4][5]。セネカの悲劇『メデア』では、ディオニソスの息子だと書かれている[16]。それ以外の伝説的な起源を述べる物語もある。ヘーシオドス作とされる『名婦列伝 (Megalai Ehoiai) 』の現存する一節は、マグネースが「とても美しい子ヒュメナイオスをもった。アポローンはその子を見て、好きになり、マグネースの家をなかなか去ろうとしなかった」[17]と伝えている。

アリストパネスの『平和』は、農夫トリュガイオスと聖歌隊が結婚歌を歌うところで終幕し、そこではオー・ヒュメン、オー・ヒュメナイエのフレーズが繰り返される[18][19]

ヒュメナイオスは、サッカレーの『虚栄の市』第20章でも言及されている[20]

1921年のヒルダ・ドゥリトルの詩集『Hymen』は、花嫁になる古代ギリシア女性の儀式を想像して作られた長大な詩である。
後世作品

後のロマンス作品では、ヒュメナイオスは素晴らしい美貌の持ち主だが生まれは下層階級のアテーナイの若者として登場し、町の裕福な男の娘に恋をする。ヒュメナイオスは身分の違いから彼女に話しかけることも求愛することもできず、しかたなく彼女の後をつけ回す[要出典]。

ヒュメナイオスは女性しか行くことを許されないエレウシースの秘儀への行列に女装して参加する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:62 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef