この項目では、ギリシア神話に登場する神について説明しています。チェコのデスメタルバンドについては「ヒプノス」をご覧ください。
ヒュプノス(紀元前117-138年、ローマ国立博物館所蔵) ヒュプノスとタナトスが描かれた壺
ヒュプノス(?πνο?, Hypnos)は、ギリシア神話に登場する眠りの神。ヒュプノスとはギリシア語で「眠り」の意味であり、眠りを神格化した存在である。ローマ神話におけるソムヌス(Somnus)に相当する[1]。 ヘーシオドスの『神統記』によれば、ヒュプノスは、ニュクスの息子で、その兄弟にはタナトスやモロスなどの「死」を意味する神々がいる。また夢(オネイロス)がヒュプノスの兄弟でもある。 兄のタナトスと共に、大地の遥か下方のタルタロスの領域に館を構えている。そしてニュクスが地上に夜をもたらす時には、彼も付き従って人々を眠りに誘うという。兄のタナトスが非情の性格であるのに対し、ヒュプノスは穏やかで心優しい性格であるとされる。人の死も、ヒュプノスが与える最後の眠りであるという。 一般には有翼の青年の姿で表され、疲れた人間の額を木の枝で触れたり、角から液体を注いだりして人を眠らせるという。 オウィディウスによれば、眠りの神ヒュプノスはレームノス島の奥深い洞窟に眠っており、その周りに、モルペウスをはじめとする三種類の夢の神、オネイロイが漂っているとされる。また、キムメリオス人の住むという世界の果ての島の近くに暮らすともいわれる[2]。 ヘーラクレースを迫害するヘーラーに頼まれてゼウスを眠らせたことがあり、その後ゼウスに罰せられる所を母であるニュクスに助けられた[2]。また、トロイア戦争の際にも、戦争からゼウスの気をそらそうとしたヘーラーに頼まれてゼウスを眠らせており、その後ヘーラーからパーシテアーを妻とすることを許された[2]。
概説
系図 オネイロス モーモス オイジュス
ヘスペリデス クロートー(モイラ) ラケシス(モイラ) アトロポス(モイラ) ネメシス アパテー ピロテース エリス ゲーラス
ポノス レーテー リーモス アルゴス ヒュスミーネー マケー ポノス アンドロクタシアー
ネイコス プセウドス ロゴス アムピロギアー デュスノミアー アーテー ホルコス
脚注^ ラテン語: somnus も「眠り」の意であり、2つの語は同語源である : somnus < *sopnos ; hypnos < *supnos ; いずれも印欧祖語からの規則的な変化。
^ a b c マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ヒュプノスに関連するカテゴリがあります。
オネイロス
モルペウス
ニュクス
タナトス
H・P・ラヴクラフト - 短編小説『眠りの神』(原題:Hypnos、1922年)を著した。ヒュプノスはクトゥルフ神話にも取り入れられたが、位置づけは旧神・地球本来の神々・旧支配者とバラバラで一貫しない。
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