ヒメヤドリエビ亜綱
分類
ヒメヤドリエビ亜綱(ヒメヤドリエビあこう、Tantulocarida)は、六齢ノープリウス綱に含まれる微小な甲殻類の分類群であり、海産甲殻類に外部寄生する寄生生物である[3]。 ヒメヤドリエビ類は他の甲殻類の体表に付着する寄生虫である。その外見は、付着器とそれに続くなめらかな袋状の構造からなり、甲殻類としての特徴をほとんど欠く。 ヒメヤドリエビ類は雌雄による両性生殖 ヒメヤドリエビ類の幼生は特異な形態を持ち、タンツルス(タンチュラス)幼生と呼ばれる[4]。比較的に甲殻類らしく見えるステージで[6]、宿主に付着している状態で発見されるだけでなく、独立して海底から採集されることもある[4]。 タンツルス幼生は微小で、体長は0.8ミリメートルから0.15ミリメートルにしかならない[5]。体は頭部、胸部、腹部の3つに分かれる[5]。頭部は頭楯に覆われ、先端に向かうほど細くなる[4]。頭部には口盤
生活史と形態
幼生
胸部は7つの体節からなる。そのうち後端の第7胸節を除く6つの体節は、それぞれ1対の付属肢を備える[5]。腹部には付属肢はなく、体節数は種によって異なる[5]。腹部後端の尾節には尾叉がある[4]。タンツルス幼生の体のうち、付属肢のない第7胸節と腹部を合わせて後体部、それより前を前体部に区分する[5]。
タンツルス幼生は口盤で宿主に付着すると、口盤から突き出る針を使って宿主体表のクチクラに穴をあけ、漏斗状器官を通じて体液を吸う[5]。 単為生殖雌は、宿主に付着したタンツルス幼生が胸部と腹部を切り離し、残った頭部から生じる[5]。頭部の後半が膨らんで袋状の胴部となり、その中に単為生殖卵が形成される[5]。 単為生殖雌の体長は種によって異なり、大きいもので0.5ミリメートルから0.9ミリメートル、小さいものでは0.1ミリメートルから0.3ミリメートル。大きなタイプのものでは、宿主に付着した頭部と、袋状胴部との間に長い頸部が生じる。頸部はスプリング状になることがあり、卵が脱落するのを防ぐ機能があると推測されている[5]。小型の種では頸部はほとんど発達しない[5]。 単為生殖卵の大きさは種によって異なるが、直径0.03ミリメートルから0.05ミリメートル[5]。卵数は、小型で頸部の発達しない種では最大26個だが、大型で頸部の発達する種では100個を超えることがある[5]。成熟した卵のなかにはタンツルス幼生の体がすでにできている。
単為生殖