ヒメヤドリエビ亜綱
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ヒメヤドリエビ亜綱
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
亜門:甲殻亜門 Crustacea
上綱:マルチクラスタケア上綱 Multicrustacea
:六齢ノープリウス綱 Hexanauplia
亜綱:ヒメヤドリエビ亜綱 Tantulocarida

学名
Tantulocarida
Boxshall & Lincoln, 1983
和名
ヒメヤドリエビ亜綱
バシポデラ亜綱[1]



ヒメヤドリエビ目 Tantulocaridida[2]

ヒメヤドリエビ亜綱(ヒメヤドリエビあこう、Tantulocarida)は、六齢ノープリウス綱に含まれる微小な甲殻類分類群であり、海産甲殻類に外部寄生する寄生生物である[3]
生活史と形態

ヒメヤドリエビ類は他の甲殻類の体表に付着する寄生虫である。その外見は、付着器とそれに続くなめらかな袋状の構造からなり、甲殻類としての特徴をほとんど欠く。

ヒメヤドリエビ類は雌雄による両性生殖と雌だけによる単為生殖の2つの生活環からなる、複雑な生活史を持つ[4]。以下で解説する生活史は、複数の種で得られた知見を総合して推定されたものである[5]。生活史の各段階で形態も異なるため、形態についても併せて解説する。
幼生

ヒメヤドリエビ類の幼生は特異な形態を持ち、タンツルス(タンチュラス)幼生と呼ばれる[4]。比較的に甲殻類らしく見えるステージで[6]、宿主に付着している状態で発見されるだけでなく、独立して海底から採集されることもある[4]

タンツルス幼生は微小で、体長は0.8ミリメートルから0.15ミリメートルにしかならない[5]。体は頭部胸部腹部の3つに分かれる[5]。頭部は頭楯に覆われ、先端に向かうほど細くなる[4]。頭部には口盤(吸盤)があるだけで、付属肢はない[5][4]。頭部の背面と側面には感覚毛と小孔が配列し、これらをまとめて皮殻器官と呼ぶ(一部の種では腹面にもある)[5]

胸部は7つの体節からなる。そのうち後端の第7胸節を除く6つの体節は、それぞれ1対の付属肢を備える[5]。腹部には付属肢はなく、体節数は種によって異なる[5]。腹部後端の尾節には尾叉がある[4]。タンツルス幼生の体のうち、付属肢のない第7胸節と腹部を合わせて後体部、それより前を前体部に区分する[5]

タンツルス幼生は口盤で宿主に付着すると、口盤から突き出る針を使って宿主体表のクチクラに穴をあけ、漏斗状器官を通じて体液を吸う[5]
単為生殖

単為生殖雌は、宿主に付着したタンツルス幼生が胸部と腹部を切り離し、残った頭部から生じる[5]。頭部の後半が膨らんで袋状の胴部となり、その中に単為生殖が形成される[5]

単為生殖雌の体長は種によって異なり、大きいもので0.5ミリメートルから0.9ミリメートル、小さいものでは0.1ミリメートルから0.3ミリメートル。大きなタイプのものでは、宿主に付着した頭部と、袋状胴部との間に長い頸部が生じる。頸部はスプリング状になることがあり、卵が脱落するのを防ぐ機能があると推測されている[5]。小型の種では頸部はほとんど発達しない[5]

単為生殖卵の大きさは種によって異なるが、直径0.03ミリメートルから0.05ミリメートル[5]。卵数は、小型で頸部の発達しない種では最大26個だが、大型で頸部の発達する種では100個を超えることがある[5]。成熟した卵のなかにはタンツルス幼生の体がすでにできている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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