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ヒマラヤ山脈(ヒマラヤさんみゃく、英: Himalayan Range)は、アジアの山脈で、地球上でもっとも標高の高い地域である。単にヒマラヤということもある。
ヒマラヤは、インド亜大陸とチベット高原を隔てている無数の山脈から構成される巨大な山脈である。西はパキスタン北部インダス川上流域から、東はブラマプトラ川大屈曲部まで続き、ブータン、中国、インド、ネパール、パキスタンの、東アジアおよび南アジアの5つの国にまたがる。いずれも最大級の大河であるインダス川、ガンジス川、ブラマプトラ川、黄河、長江の水源となって数々の古代文明を育み、このヒマラヤ水系には約7億5,000万人の人々が生活している(これにはバングラデシュの全人口が含まれる)。ヒマラヤは、広義の意味ではユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートの衝突によって形成された周辺の山脈である、カラコルム山脈、ヒンドゥークシュ山脈、天山山脈、崑崙山脈などを含む。
広義のヒマラヤには、最高峰エベレストを含む、地球上でもっとも高い14の8,000メートル級ピークがあり、7,200メートル以上の山が100峰以上存在する。一方で、アジアのこの地域以外には7,000メートル以上の山は存在せず、アンデス山脈アコンカグアの6,961メートルが最高標高である。
以下では狭義のヒマラヤについて解説する。
概要ヒマラヤ山脈の全景
ヒマラヤ山脈(英語: Himalayan Range、中国語: 喜?拉雅山脉、チベット語: ????????)は、アジアの山脈であり、パキスタン・インド・チベット(中華人民共和国領)・ネパール・ブータンの国境付近に位置する。西端はアフガニスタンのヒンドゥークシュ山脈へとつながる。ヒマーラヤ(??????、him?laya)は、サンスクリット語で、hima(ヒマ「雪」)+ ?laya(ア?ラヤ「すみか」)から「雪の住みか」の意[1]。
エベレスト(8,848メートル)、カンチェンジュンガ(8,586メートル)、ナンガ・パルバット(8,125メートル)をはじめ、世界でも有数の標高の高い山が数多く属している。
プレートテクトニクスによると、ヒマラヤ山脈は、インド亜大陸のユーラシア大陸への衝突により形成された。インド亜大陸の北上は続いており、ヒマラヤ山脈の成長も続いている。
各山々の標高には数説あり、エベレストは、ネパールと中国が共同発表した8,848.86メートルが最新データである。測量技術の向上と地殻変動による推移が関係している。注として、上記のデータには山頂の積雪3.5メートルは含まれない。
地理シッキムのユムタン渓谷(英語版)
ヒマラヤ山脈の全長は西のナンガ・パルバット(パキスタン)から、東のナムチャバルワまで実に2,400キロに及ぶ。地理学的には、ヒマラヤ山脈は標高と地質によって平行に走る3つの山脈に分類される。3つのうちでもっとも後に形成された山脈は外ヒマラヤ(シワリク山地)と呼ばれ、およそ1,200メートルほどの高さの山で構成されている。この山脈はヒマラヤ山脈の成長にともなって発生した土砂の流出物によって形成されたと考えられている。
この山脈の北隣に平行に走る形で、小ヒマラヤがある。小ヒマラヤは2,000メートルから5,000メートルの標高の山々で形成され、マハーバーラト山脈とも呼ばれる。小ヒマラヤと大ヒマラヤの間にはカシミール盆地およびカトマンズ盆地という2つの肥沃な盆地があり、ここでは古くから高い文明が栄えていた。もっとも北にあるのが大ヒマラヤで、3つの山脈の中でもっとも古い山脈である。6,000メートル以上のピークを多数有し、世界でもっとも高いエベレスト、3番目に高いカンチェンジュンガがこの山脈に属している。
ヒマラヤは、東西にはおよそ5つに区分される。もっとも西寄りに位置するのがパンジャーブ・ヒマラヤであり、インダス川からサトレジ川までのインダス水系に属する山々である。行政的にはインドのジャンム・カシミール州やヒマーチャル・プラデーシュ州、パキスタンのギルギット・バルティスタンとなる。次いでその東に位置するのがガルワール・ヒマラヤ(クマオン・ヒマラヤ)である。インドのウッタラーカンド州に属する区域で、ガンジス川本流の源流域にあたる。ガンジス本流の源流とされるガンゴートリー氷河もここに属する。その東には、ネパール・ヒマラヤが広がる。行政的にはネパールに属する区域で、エベレストやダウラギリ、マナスルなど、ヒマラヤでもっとも高い山々がそびえる区域である。その東はシッキム・ブータン・ヒマラヤで、行政的にはインドのシッキム州とブータン王国の区域となる。もっとも東に位置するのがアッサム・ヒマラヤであり、行政的にはインドのアルナーチャル・プラデーシュ州となる。なお、この行政区域はすべてヒマラヤ南麓のものであり、ヒマラヤ北麓はすべて行政的には中国のチベット自治区に属する[2]。
ネパールとブータンの国土のほとんどがヒマラヤ山脈である。パキスタンのバルティスターン、インドのジャンムー・カシミール州などの北部の地域がヒマラヤ山脈の中にある。チベット高原の南東部もヒマラヤ山脈に接しているが、チベット高原そのものは地理学的にはヒマラヤ山脈とは別の山系に分類される。
自然ヒンドスタン平野西ヒマラヤ亜高山帯針葉樹林(インドヒマーチャル・プラデーシュ州)
ヒマラヤ山脈の植物相と動物相は、気候、雨量、高度と地質によって分類することができる。気候は山脈の麓にある熱帯から始まり、氷床と雪に覆われた高山帯まで変化する一方、年間降水量は西より東の地域の方が多い傾向がある。気候、高度、雨量と地質の複雑な変化が多様な生態系を育んでいる。