ヒドラジン
IUPAC名
Hydrazine
別称
ヒドラジン
ジアザン
識別情報
CAS登録番号302-01-2
1 °C, 274 K, 34 °F
沸点
114 °C, 387 K, 237 °F
酸解離定数 pKa8.10[1]
屈折率 (nD)1.46044 (at 22 °C) [2]
粘度0.876 cP
構造
双極子モーメント1.85 D[3]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo50.63 kJ mol-1(l)[4]
標準モルエントロピー So121.21 J mol-1K-1
標準定圧モル比熱, Cpo98.87 J mol-1K-1
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 0281
GHSピクトグラム
GHSシグナルワードDANGER
HフレーズH226, H301, H311, H314, H317, H331, H350, H410
PフレーズP201, P261, P273, P280, P301+310, P305+351+338
NFPA 704443
引火点52 °C
発火点24?270 °C
爆発限界1.8?99.99 %
半数致死量 LD5059?60 mg/kg (経口:ラット、マウス)[5]
関連する物質
関連物質
アンモニア
ジホスフィン
テトラフルオロヒドラジン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ヒドラジン (英: hydrazine) は、無機化合物の一種で、分子式 N2H4と表される弱塩基。
アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる。水に易溶。強い還元性を持ち、分解しやすい。引火性があり、ロケットエンジンの推進剤として用いられる。
常温での保存が可能であるため、非常用電源装置 (F-16) やミサイルの燃料としても広く用いられている。また人工衛星や宇宙探査機の姿勢制御用推進器の燃料としても使われている。プラスチック成形時の発泡剤、エアバッグ起爆剤、各種脱酸素剤として広く使用され、特に火力・原子力発電所用高圧ボイラーの防食剤として使用されている。水加ヒドラジンは水素に代わる燃料電池の燃料としても模索されている。
水と共沸し、55 mol%のヒドラジンを含む混合物を与える。化学実験で用いる際は通常、抱水ヒドラジン(ヒドラジン一水和物、N2H4?H2O)が用いられる。
人体へは、気化吸引、皮膚への接触ともに腐食をもたらす。また中毒症状をおこす。「毒物及び劇物取締法」により毒物に指定されている[6]。
動物において肝毒性が認められており、ラットおよびマウスで巨大ミトコンドリアの出現が報告されている。なお、アセチル転移酵素により代謝・解毒されるが、イヌはアセチル転移酵素を欠くため、特に毒性が発現しやすいことが知られている。 アンモニアを次亜塩素酸塩で酸化するか、アンモニアを塩素で気相酸化して作る。 2 NH 3 + Cl 2 ↽ − − ⇀ N 2 H 4 + 2 HCl {\displaystyle {\ce {2NH3 + Cl2 <=> N2H4 + 2 HCl}}} ヒドラジンをカルボニル化合物と脱水縮合させると、ヒドラゾンが生じる。 R − C ( = O ) − R ′ + N 2 H 4 ↽ − − ⇀ R − C ( = NNH 2 ) − R ′ + H 2 O {\displaystyle {\ce {R-C(=O)-R' + N2H4 <=> R-C(=NNH2)-R' + H2O}}} ケトンを強アルカリ条件でヒドラジンとともに加熱すると、カルボニル基が還元を受けてメチレン基に変わる(ウォルフ・キッシュナー還元)。 R − C ( = O ) − R ′ + N 2 H 4 ↽ − − ⇀ R − CH 2 − R ′ + H 2 O + N 2 {\displaystyle {\ce {R-C(=O)-R' + N2H4 <=> R-CH2-R' + H2O + N2}}} (強アルカリ条件)
製法
反応