(廃止)
ヒトコロナウイルス
分類
群:第4群(1本鎖RNA +鎖)
科:コロナウイルス科
Coronaviridae
ヒトコロナウイルス(Human coronavirus)は、ヒトに感染するコロナウイルスの総称。当初は、ヒト呼吸器ウイルス(Human respiratory virus)と呼ばれていた。かつては、ウイルスの種名としても有効であったが[1]、1995年にヒトコロナウイルス229EとヒトコロナウイルスOC43に分割され消滅した[2]。現在では、種名ではなく、ヒトに感染するコロナウイルスの総称として慣用的に使用されている。 ヒトに感染するコロナウイルスは、風邪症候群の4種類と動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類 (SARS-CoV, MERS-CoV) が知られていて[3]、更にSARS-CoV-2を加えた計7種類(2020年3月時点)[4]である。アルファコロナウイルス属、ベータコロナウイルス属の下記のものが知られている[4][注 1]。広義では7系統全てをヒトコロナウイルスとするが、狭義では、このうち229E、NL63、OC43、HKU1の4つのみをヒトコロナウイルスとする。この他1960年に最初に発見されたヒトコロナウイルスB814が存在したが、サンプルが失われており、分類学的地位は不明となっている。 オルトコロナウイルス亜科の中で、各ウイルスの分類は以下のようになっている。 文脈によっては単に「コロナウイルス感染症」と言う場合もある。 初期症状は微熱、耳の痛み、頭痛のいずれか。感染中期になると高熱となる。風邪(普通感冒)を引き起こすコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV ヒューマンコロナウイルス、ヒトコロナウイルス)が4種類(229E、OC43、NL63、HKU1)あり、風邪の10?15%(流行期35%)の原因を占める。HCoV-229E、HCoV-OC43は1960年代に発見され、HCoV-NL63、HCoV-HKU1は2000年代に入って発見された[3]。 発生年は毎年で、世界中で人類全体に蔓延しており、これまでの死者数は不明、感染者数は70億人と計算されている[3]。 普通感冒コロナウイルスの種類属発見ヒト受容体ヘマグルチニンエステラーゼ(HE)備考
分類
アルファコロナウイルス属
ヒトコロナウイルス229E:風邪の病原体
ヒトコロナウイルスNL63:風邪の病原体
ベータコロナウイルス属(英語版)
ヒトコロナウイルスHKU1:風邪の病原体
ヒトコロナウイルスOC43 :風邪の病原体
SARSコロナウイルス (SARS-CoV):重症急性呼吸器症候群 (SARS) の病原体
MERSコロナウイルス (MERS-CoV):中東呼吸器症候群 (MERS) の病原体
SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) :新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の病原体
ヒトコロナウイルス感染症
風邪症候群「風邪」、「気道感染」、「ヒトコロナウイルス229E」、「ヒトコロナウイルスNL63」、および「ヒトコロナウイルスOC43」も参照
潜伏期間:10-14日 (HCoV-229E)[3]、3日[5]
BSL2施設で扱い、感染症法での指定なし[3]。
ヒトコロナウイルス229Eアルファコロナウイルス属
ヒトコロナウイルスNL632000年代ACE2受容体SARS関連コロナウイルスと同じヒト受容体
ヒトコロナウイルスOC43ベータコロナウイルス属(英語版)1960年代Neu5AcありインフルエンザA型ウイルスと同じヒト受容体
ヒトコロナウイルスHKU12000年代あり
SARSコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(2002年-2004年)詳細は「重症急性呼吸器症候群」および「SARSコロナウイルス」を参照
2002年に発見されたSARSコロナウイルス (SARS-CoV) による。キクガシラコウモリが自然宿主であると考えられている[3]。2002年11月、中華人民共和国広東省を起源とし、中国大陸を中心として、世界で感染が拡大したが、2003年7月5日に世界保健機関は「SARS封じ込め成功」を発表した。ただし、その後も2004年に14人の感染例がある。最終的な罹患数は世界30ヶ国の8,422人が感染、916人が死亡した(致命率11%)[7]。
潜伏期間:2-10日[3]。
BSL3施設で扱う、感染症法で二類感染症、二種病原体[3]。
MERSコロナウイルスによる中東呼吸器症候群(2012年-)詳細は「中東呼吸器症候群」および「MERSコロナウイルス」を参照
2012年に発見されたMERSコロナウイルス (MERS-CoV) はヒトコブラクダを感染源として、ヒトに感染すると重症肺炎を引き起こす[3][8]。2012年9月[注 2] - 2020年1月現在流行中[3]。