ヒトカラ
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この項目では、一人でカラオケをする行為全般について説明しています。かつてセガにより提供されていたサービス「ヒトカラ」については「セガカラ」をご覧ください。
鉄人化計画が運営していた一人カラオケ専門店には「ヒトカラ」の名称が使用されていた(「ヒトカラの鉄人」下北沢店)[† 1]

ヒトカラとは、「一人カラオケ」の略語で、カラオケを一人だけで楽しむことや一人でカラオケの練習をすることを指す俗語である[2][3][4][5][6][7]。「ひとカラ」と表記される場合もある[8][9][10][11]。「ヒトカラ」は、株式会社エクシング登録商標である(登録番号第4858993号)[5][12]。しかし同社は『ヒトカラ』という名前で商品やサービスは提供していない。
概要

一般的にカラオケは複数人・大人数で楽しむものとするイメージで語られるが、2000年代中盤から歌唱の練習やストレス発散を目的として一人でカラオケを楽しむ者が増加し始め、一人で食事や余暇などを楽しむいわゆる「おひとりさま」文化の流行、音楽の趣味の多様化、カラオケボックスの料金体系の変化、カラオケ機器の多機能化などが相俟って、徐々に市民権を得るようになった。「ヒトカラ」という言葉は、2003年頃には既に一部で使われていたものと報じられている。また、当初はセガのカラオケ関連サービスの名称としても使用されていた。

利用者側にとっては「一人では利用しづらい」、店舗側にとっては「一人での利用は採算性が良くない」とする見方もある一方、1990年代後半よりカラオケ市場が伸び悩んでいる中で、カラオケボックスの利用者における一人客の割合は全体の2 - 3割を占めるとも報じられており、一人客の扱いは業界にとって課題となりつつある。2011年からはヒトカラ需要の増加を見込んで一人カラオケの専門店が開店されたり、通常のカラオケ店に一人客の専用ルームが開設されるなどの現象も発生している。また、通常のカラオケ店では一人客に対して複数人で利用するより割高な料金を設定している店舗もある。
語義

「一人でカラオケボックスを利用すること」[3][5]および「一人でカラオケに行き(自己満足的に[8])歌って楽しむこと」[2][4][6]を総じて「一人カラオケ」と称し、「ヒトカラ」はそれを更に省略したものである。単に「一人だけでカラオケを楽しむこと」の略語である[13][14][15]とも報じられている。

ヒトカラをする人を俗に「ヒトカラー」と呼称する[4][13][16][17]。ヒトカラに対して、2人でするカラオケを「フタカラ」、多人数でのカラオケを「タカラ」と呼称するとも報じられている[4][13]
発祥

「一人カラオケ(ひとりカラオケ)」という言葉自体は1990年代前半で使用例が見られる。例として、1991年トヨタ自動車がショールーム「アムラックス」にて社員のアイデア製品を展示するイベントを行った際、その一つとして「ヘルメットの中でひとりカラオケができる『カラオケメット』」が紹介されたほか[18]1995年毎日新聞記者が繁華街で配布される割引券の調査を行った際、一人で歩いている時にはカラオケルームの割引券を渡されないことが多いことから「一人カラオケはダメ?―新宿駅周辺」との見出しが登場している[19]。そのほか「一人カラオケ」という言葉は登場しないが、1989年から1990年代前半の新聞におけるカラオケ関連の報道の中で「一人だけでカラオケボックスを利用する者が存在する」旨の報道が散見され始める(後述)。朝日新聞では、1991年にカラオケボックスを一人だけで利用する客に対して明確にスポットを当てた記事が登場している[20]

フリーライター(新語ウォッチャー)のもりひろし[† 2]によれば、「ヒトカラ」という言葉の発祥は電子掲示板2ちゃんねるであるとしており、2003年には既に「ヒトカラ」という言葉の書き込みがあったと日経ビジネスオンライン上で述べている[21]。また、カラオケボックス「歌広場」を運営するクリアックスの社員によれば、同じく2003年頃には「ヒトカラ」という言葉を使う顧客が存在していたと毎日新聞の取材で答えている[† 3]。それと同時期にして、「ヒトカラ」という言葉は登場しないが、2000年代前半における報道で「一人でカラオケを利用する者が増えている」旨の報道が散見される。

週刊誌AERAにて2000年に掲載された「一人で食事や娯楽を楽しむ女性」を特集した記事の中では、周囲から奇異の目で見られながらも「一人カラオケ」でストレスを発散する様子が報じられたほか[22]読売新聞にて2002年に掲載された「カラオケ好き派・嫌い派」の声を特集した記事の中では「一人カラオケ派」の意見が報じられている[23]。同じく読売新聞にて2003年に掲載された記事では「カラオケボックスにおいて増え始める一人客の様子と店舗側の対応状況」が報じられたほか[24]、同年に日経流通新聞にて掲載された記事では「女性における一人の時間の過ごし方」の一つとして「ひとりカラオケ」が挙げられている[25]

2004年には、セガが一人客向けのカラオケサービスを開始する際に「ヒトカラ」の名称が採用された(後述[26][27]
歴史通常のカラオケボックスにおける「ヒトカラ」の様子。一人だけでカラオケを楽しむ者は1990年代前半から存在し、その理由は練習やストレス発散など様々である。
前史

「新曲の練習やストレス発散を目的として、一人だけでカラオケを利用する例は昔から存在した」と日本経済新聞は報じている[28]1985年、日本で最初に「カラオケボックス」と呼ばれる店舗が登場し[29][† 4]1988年から本格的に流行し始めたとされているが[† 5]、既に1989年から1990年代前半における新聞報道の中で「一人だけでカラオケボックスを利用する者が存在する」旨の記述が見られる。

朝日新聞は、1989年に東海地方における個室型カラオケボックスの流行を伝える記事の中で「一人でやってきて熱唱するおじさんがいる」「昼間は一人でこっそり練習したい人達の利用が多い」と報じたほか[33]、カラオケボックスが非行少年の温床になっている事象を伝える記事の中で「人に聞かれず思い切り歌えるのがいい」として一人で利用する客の様子を紹介している[34]。1991年にはカラオケボックスを一人で利用する客に対して明確にスポットを当てた記事が登場しており、「男女二人組で来店したが部屋は別々に利用した」「アベックでも部屋は別々に歌っている」「『自分の世界に入りたい』として一人で来る客も珍しくない」「一人で来店する客は歌に安らぎや救いを求めている」との報道がなされている[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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