パーマデス
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パーマデス(Permadeath(永久死))またはパーマネントデス(Permanent death)は、テーブルゲーム及びコンピュータゲームにおいて体力を全て失ったプレイヤーキャラクターが死亡したと見なされ、使用不可能になるゲームメカニズム[1]。 状況によっては、プレイヤーがゲームを続けるには新しいキャラクターを作成するか、ゲームを最初からやり直す必要があり、それによりこれまでの進行状況のほぼすべてが失われる可能性がある。一部のコンピュータゲームでは、パーマデスをゲームの中心システムの一部とはしないものの、同システムを採用した「ハードコアモード(hardcore mode)」を実装している。

パーマデスは、キャラクターの「死亡」時のチェックポイントでリスポーンできたり、マジックアイテムや呪文でキャラクターを復活できたり、ゲームのセーブデータをロード・復元して死亡時の状況を回避できたりなどのプレイヤーが何らかの方法で続行できるゲームとは対照的なシステムである。このシステムはテーブル及びコンピュータベースのロールプレイングゲームと関連付けられることが多く[2]、コンピュータゲームのローグライクジャンルにおいては必要不可欠の要素とみなされている[3]。パーマデスの実装方法はゲームの種類に応じて大きく異なる場合がある。
シングルプレイヤーゲームにおいてNetHack』で死亡したプレイヤーは、持っていた詳細不明の所持品について詳しく知りたいかどうか尋ねられる。

パーマデスはアーケードゲームの黄金時代(1970年代後半?80年代前半)では一般的であり[4]、大半のアーケードゲーム(スペースインベーダーパックマンなど)は、ゲーム状況をセーブする技術的能力が不足していたため、デフォルトでパーマデスがメカニズムとして組み込まれていた[5]。初期の家庭用ゲームは、コインを入れてプレイを続けるシミュレーションなど、このゲームプレイを模倣していた。 家庭用コンピュータやゲーム機が更に普及していくにつれて、ゲームは主人公の抽象度を下げ、キャラクターの死により大きなインパクトを与えるように進化していった[6]。開発者が失敗したレベル(ステージ)のリプレイ機能を追加すると、それを補うためにゲームはより複雑になり、リスタートを繰り返すことなく直線的なストーリーを通じてキャラクターを進行させることに重点を置いた、より力強い物語が追加された[5]。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』アドベンチャー第一波のダンジョンアドベンチャーからインスパイアを受けた、家庭用コンピュータの初期のロールプレイングゲームでは、物語コンテンツが大量に不足し、キャラクターを殺すことに対して無頓着であることが多く、プレイヤーが自分のキャラクターに感情的なつながりをほとんど持つことはないと予想されていたが、多くのゲームではプレイヤーはキャラクターの進行状況を保存することができた[7]

大半のシングルプレイRPGでは、プレイヤーがセーブデータをロードして、セーブした地点から続行できるため、真のパーマデスを実装しているゲームは数少ない。その例外がRPGのサブジャンル「ローグライク」のゲームで[8]、同ジャンルではパーマデスが価値の高い要素となっている。プレイヤーは現在の状態をセーブして後で続けることもできるが、通常、そのセーブデータはロード後に消去または上書きされ、プレイヤーは同じ状況で再開することはできなくなる。プレイヤーは、セーブデータのバックアップを取っておくことによりこの問題を回避できるが、このテクニックはチート行為とみなされる。ローグライクにおけるパーマデスメカニズムの使用は、ジャンルと同名のゲーム『ローグ』が発端である。開発者は当初、セーブ機能を実装しておらず、プレイヤーは1回のセッションでゲームをクリアする必要があった。セーブ機能を追加したところ、プレイヤーは最良の結果を得るためにセーブデータを繰り返しロードすることがわかったが、これは「『リアリズム』を望んでいた」開発者のゲームデザインに反していたため、ロード時にセーブデータを削除するコードが実装された。この機能は、『ローグ』のほぼすべての派生ゲームや、同作のゲームプレイからより緩やかにインスピレーションを得たその他のゲームに残されている[9]

パーマデスの実装は大きく異なる場合がある。カジュアルな形式のパーマデス(ローグライトとも呼ばれる)では、プレイヤーは失敗の影響を受けつつもお金やアイテムを保持できるため、パーマデスに伴うフラストレーションが軽減される。より徹底した実装では、全ての進行状況が削除される。一部のゲームでは、パーマデスはオプションモードか高難易度での機能として実装されている[4]。極端な形式のパーマデスでは、死亡時にユーザーをサーバーから永久追放するオプションがある『The Castle Doctrine』などユーザーに更にペナルティを与える可能性がある[10]。プレイヤーは、刺激を求めるためや自分のスキルやゲームメカニズムの理解度をテストしたいため、または標準的なゲームデザインに飽きたためなどでパーマデスのゲームをプレイすることを好む場合がある。自分の行動が影響を与える場合、より戦略的かつ戦術的な決定を下さなければならず、同時に、パーマデスを採用するゲームは、プレイヤーが少ない情報でキャラクターへのリスクを最小限に抑えようとする際に、感情的、直感的、またはその他の非演繹的意思決定に頼ることを奨励する可能性がある。パーマデスを採用するゲームは現実世界をより密接に模倣しているが、力強い物語要素があるゲームはパーマデスを避けることが多い[4]

個々のキャラクターの永久的な死は、パーティーベースのシミュレーションRPGの要素となり得る。これらのゲームでは、プレイヤーは通常、キャラクターの名簿を管理し、ターン制の戦闘での行動を制御しつつ、時間をかけて属性、スキル、専門分野を構築していく。これらのキャラクターが戦闘で倒れた場合、そのキャラクターは以降のゲームでは死亡したものとみなされる。これらのゲームでは、キャラクターが死亡する前にセーブした時の状態に戻れるものの、継続するにはプレイヤーがその戦闘を繰り返す必要があり、同じキャラクターまたは他のキャラクターを失うリスクがある[5][11][12]スクウェアが1986年に発売したフォーメーションRPG『キングスナイト』には4人のキャラクターが登場するが、各人は他の3人と合流する前に自分のステージをクリアしなければならず、一人でも死亡した場合、最終面の途中で先に進めなくなりゲームオーバーとなる[13][14]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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