パーシパエー
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ポンペイフレスコ画に描かれたパーシパエー、ダイダロスと、ダイダロスが制作した木製の牝牛。イタリア、ヴルチ(英語版)から出土した紀元前340年頃のアッティカ赤絵式キュリクス。ミーノータウロスを膝の上に抱くパーシパエーの姿が描かれている。

パーシパエー(古希: Πασιφ?η, P?siphae)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してパシパエとも表記される。

太陽神ヘーリオスペルセーイスの娘で[1][2]キルケーアイエーテース[1]ペルセースと兄弟[3]クレーテー島の王ミーノースの妻となり、カトレウス、デウカリオーン(英語版)、グラウコスアンドロゲオース、アカレー、クセノディケー、アリアドネーパイドラーを生んだ[2]。またミーノータウロスの母としても知られる。

キルケーと同じく魔術に優れており、また神の血を引くために不死だったとも伝えられている[4]。その名の意味は「すべてに輝く」であり、本来はクレーテー島の大地の女神だったと考えられている[5]
神話
ミーノータウロスの誕生

ミーノースは義父であるクレーテー王アステリオスが死んだとき、クレーテーの王位を要求したが受け入れられなかった。そこでミーノースは王国が神々によって授けられた証に、自分の願いは何でもかなえられると言った。彼は海神ポセイドーンに犠牲を捧げ、海から牡を出現させることを願い、その牡牛をポセイドーンに捧げると誓った。すると願いはかなえられ、海中から1頭の美しい牡牛(クレーテーの牡牛)が現れたので、ミーノースは王位を得ることができた。ところがミーノースはその牡牛が気に入って自分のものにしてしまい、ポセイドーンには別の牡牛を捧げた。ポセイドーンは怒って牡牛を凶暴に変え、さらにパーシパエーがこの牡牛に強烈な恋心を抱くように仕向けた[6]

別の伝承では愛の女神アプロディーテーが、パーシパエーが自分を敬わなかったため、あるいは父であるヘーリオス神が軍神アレースとの浮気をヘーパイストスに告げたことを怨んで、パーシパエーをエロースに彼の弓矢で射させ、彼女に牡牛への恋を抱かせたとされる[7]

パーシパエーは思いを遂げるため工匠ダイダロスに相談した。するとダイダロスは木で牝牛の像を作り、内側を空洞にし、牝牛の皮を張り付けた。そして像を牧場に運び、パーシパエーを中に入れて牡牛と交わらせた。この結果、パーシパエーは身ごもり、牛の頭を持った怪物ミーノータウロスを生んだ[8][7]。ミーノースは怒ってダイダロスを牢に入れたが、パーシパエーはダイダロスを救い出してやったともいわれる[7]
パーシパエーの魔法

またパーシパエーは夫のミーノースが女好きだったことに腹を立てて、ミーノースに魔法をかけ、彼が別の女を抱こうとすると体から獣(あるいはムカデサソリ[4])を放って相手の女を殺してしまうようにした。この魔法によって多くの女が死んだが、プロクリスのみはキルケーの薬草をミーノースに与えて魔法を無効にし[9]、あるいは別の策によって無事であったという[4]
備考

木星の第8衛星パシファエはパーシパエーにちなんで名付けられた。

系図

オーケアノス テーテュース  
  
             
       
      ペルセーイス ヘーリオス 
  
                                         
                                
           キルケー オデュッセウス  クレーテーの牡牛 パーシパエー ミーノース   ペルセース 


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