パン
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この項目では、食品について説明しています。その他の用法については「パン (曖昧さ回避)」をご覧ください。
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パン(麺麭、ポルトガル語: pao[注釈 1])とは、典型的には小麦粉ライ麦粉といった穀物粉に酵母などを加えて作った生地発酵により膨張させた後、焼く事でできあがる膨化食品で、世界の広い地域で主食となっている。肉類や野菜類などを挟んだもの(サンドウィッチ)も盛んに食べられている。甘いおやつ用のパン(菓子パン)もある。
概要
製造工程・分類

パンの典型的な製法は、小麦粉やライ麦粉などの穀物粉に水などを混ぜてパン生地にし、酵母かパン種をパン生地に混ぜ込んで生地を発酵させる事で(発酵の際に生じる二酸化炭素により)パン生地を膨らませ、さらにそれを加熱するというものである。

酵母とは微生物菌類)の一種で、パンの製造にはこれを糖蜜[1]などで培養したものを用い、これによりパンはアルコール発酵する。一方パン種とは穀物や果実などに付着している酵母その他複数の微生物を利用して作られた液状ないし生地状のものである[2]。パン種に入っている微生物としては例えば乳酸菌[3][2]があり、乳酸菌が乳酸発酵する事でパンに酸味が加わる[3]

加熱方法は全体に熱が通るようオーブンで焼くというのが典型的だが、パンの種類によってはパン生地を平たくして焼くもの(フラットブレッド)や、蒸すもの、揚げるものもある。また発酵させずに重曹ベーキングパウダーといった化学的膨張剤化学反応による二酸化炭素で膨らませるものもある(速成パンクイックブレッドとも)。種無しパン、無発酵パンなどと呼ばれるパンは、そもそも膨らませる事を行わず、フラットブレッドとするものが多い。

これらを表にまとめると以下のようになる:

膨らませる方法加熱の方法具体例
酵母で発酵させるオーブンなどで中まで加熱(発酵後)食パンフランスパン
平たくして加熱(発酵後)ピタナン
蒸す(発酵後)マントウ[4]
揚げる(発酵後)イーストドーナツ
パン種で発酵させるオーブンなどで中まで加熱サワーブレッド
膨張剤と加熱
(速成パン)オーブンなどで中まで加熱ソーダブレッドスコーンマフィン
平たくして加熱ホットケーキ
蒸す蒸しパン、ボストンブラウンブレッド[5]
揚げるケーキドーナツ
高圧の二酸化炭素を減圧するAerated Bread
膨らませない
(種無しパン、無発酵パン)平たくして加熱トルティーヤロティ
揚げるプーリー

パン生地には味付けのために塩、砂糖、レーズンナッツなどを練り込んだり、別の食材を生地で包んだり生地に乗せたりするものもある。また焼き上げた後さらに加工したパンもある(焼いた後に揚げる揚げパンなど)。
原料の詳細
穀物粉サワードウを用いたウィーン風白パン

一般的に生地に用いられる穀物粉は次のようなものがある。

小麦粉

ライ麦

オオムギ

麦芽

トウモロコシ

エンバク

ソルガム

これらのうち、最も一般的なパン製造の材料は小麦粉である。これは、小麦粉の中にはグルテンが含まれるため、水を加えてこねることで粘りが出るうえ、酵母を使って発酵させると生地が膨らみ、柔らかく美味なパンが作れるからである[6]。これに対しライムギの場合、ライムギはグルテンを構成するうちのグリアジンしか持っていないため酵母で膨らませられず、乳酸菌主体のサワードウによって膨らませるが、小麦粉に比べて膨らみは悪く重いパンとなる[7]。オオムギはグルテン類をまったく持っておらず、パンは膨らまない[8]。このほか、インドチャパティなどのフラットブレッドの材料としてソルガム粉を用いたり[9]メキシコトルティーヤのようにトウモロコシ粉を用いる他、ブラジルポン・デ・ケイジョキャッサバ粉、エチオピアインジェラに用いるテフの粉など、世界各地では様々な独自の材料を用いている。

小麦粉には様々な種類があるが、パン作りに主に使用されるものは強力粉である。これは、強力粉にはグルテンが多く含まれるためよく膨らみ、ふっくらとしたパンを作ることができるためである。これに対し、あまり膨らませる必要がなくどっしりとしたフランスパンなどを作る際には、強力粉より1%ほどタンパク質の少ない準強力粉(フランス粉)が使用される。また、おもに穀物粉の違いにより、白パン(おもに精製後の小麦粉)、黒パンライ麦粉)、茶色パン全粒粉など)などの呼び名もある。

なお、世界ではあまり一般的ではないが、近年、日本においては、米農家の農業団体などからの宣伝や働きかけにより、米粉から作られる米粉パンもじわじわと増えてきている。
酵母

出芽酵母(イースト)は、小麦による発酵パンを作る際には必須の材料である。パン作りに使用される酵母は大きく分けて、工業生産された酵母と自家採捕した酵母(天然酵母)とに分けられる。工業生産されたイーストは、生イースト、ドライイースト、インスタントドライイーストの3種からなる。生イーストは一週間ほどで使用期限が過ぎてしまうため、乾燥させて長期保存が可能なドライイーストが作られた[10]。さらに予備発酵過程が不要で直接粉に混ぜ込めるインスタントドライイーストが開発された。ライ麦の場合には上記のように、乳酸菌と酵母を主体に複数の微生物を共培養させた伝統的なパン種である自家酵母種のサワードウが使われる。自家酵母種にはほかにもアンパンなどに使われるコメで作る酒種や、ホップ種、ヨーグルト種、レーズン種、ビールパンに用いられるビール酵母など、様々な酵母種が存在する[11]。なお、パン生地の発酵過程においては環境中の常在(人為添加されていない)乳酸菌は食味を改善する重要な働きをしている[12][13]


予備発酵発酵後後にProofing

なお、膨張剤酵母を使う以外に、ベーキングパウダーなどの化学的な膨張剤で発酵させる速成パンサワードウを使うサワードウパン、自然発酵に近い種無しパンフラットブレッドなど)がある。
パン種.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。 (2018年8月)

その他

上記の生地材料に、必要に応じて各種材料を加える。主材料4種(穀物粉、酵母、水、食塩)のみで作られたもの、またはほかの副材料の配合が少ないものは「リーン」なパンと呼ばれ、余計な雑味が少なく穀物本来の味が生かされるために主に食事用のパンに用いられる。水は硬水よりも軟水のほうがパンが膨らみやすく良いとされる。塩には味を調えるほか、酵母の活動を遅らせたり、雑菌の活動を抑えたり、グルテンを強固にするなどの作用がある。

このほかの材料はパン作りに必須ではないが、パンの味や仕上がりに大きな影響を及ぼすため副材料としてよく使用される。砂糖鶏卵牛乳バターオリーブオイルラードショートニングなどが主に使われる副材料である。こうした副材料を多く配合したパンは「リッチ」なパンと呼ばれ、甘くふっくらと仕上がるため菓子パンなどに多く使用される。また、大規模工場での製造によくつかわれる添加物として上記の他に炭酸水素ナトリウムソルビット乳化剤イーストフード臭素酸カリウムアスコルビン酸(ビタミンC)、グリシンタンパク質サケ白子由来、大豆由来、小麦由来など)、着色料増粘多糖類などがある。

生地以外に、ナッツ類、ドライフルーツジャム、肉類、チーズ、生クリーム、類、野菜類、各種調味料などを用いる場合もある。これらは主にパンにトッピングしたり具として中に入れたりして使用する。
天然酵母表示問題

「天然酵母」との言葉に対する統一的な定義は無く、現在の日本では野生酵母を使用して製作した物品に対して使用されている事が多い[14]

「天然酵母表示問題」とは、工場由来の酵母(ドライイースト)やベーキングパウダーでは無く野生酵母を自家採集捕獲し培養した種を使用したパンに天然酵母種あるいは天然酵母などの様に天然を接頭語として使用する事で、
「自然」「安全」「ヘルシー」の優良なイメージ付け

工場由来の酵母が不健康との誤認を誘う表示

が行われている問題である[14]。背景には、日本のパン業界では「製パン用酵母」の呼称として、英語の「イースト」が慣用的に使用され、原料表示している[14]。しかし、野生酵母を独自に採集捕獲し培養してパン製造に用いる伝統的な手法は、優良株に遭遇出来た場合[15]、人為添加していない乳酸菌の作用[12] と相まって工場由来の酵母とは異なった複雑な美味しさをもったパンが生産出来ることもあるが、劣悪な野生酵母菌株に遭遇すると発酵力が弱く膨らみや風味に欠けるパンになってしまう。従って、品質安定性とコストの面から大量生産を行う工場では不安定な野生酵母は採用されずパン製造に適した株を選抜し純粋培養した「工場由来の酵母」[14][16][17] が使用されているが、この内容を正しく理解している一般消費者は少ない[14]。従って、天然酵母に変わる適切な表示が望まれるとする見解がある[14]
製法の詳細詳細は「製パン」を参照
パン生地作り

パン生地の作り方としてもっとも単純で古くからあるものは、材料をそのまま一度に混ぜ込んでこねる直捏ね法(ストレート法)であり、現在でも家庭でのパン作りにおいてはこの方法が主流である。これに対し、まず材料の70%程度を捏ねておいて発酵させ中種とし、それに残りの材料を混ぜ込んで作る中種法は、柔らかな生地ができるうえ調整がしやすく、大量生産に向いているため、大手のパン製造業者のほとんどが採用している。粉の20%から40%程度に同量の水と酵母を混ぜ込んでつくる液種法(水種法、ポーリッシュ法)や、一晩おいた中種を新しい生地の10%から20%混ぜて作る老麺法などの方法もある[18]
発酵パンの作り方

酵母で発酵させるパンの製法の一例は、下記の通りである[19]
強力小麦粉、酵母、砂糖、塩、ぬるま湯を入れて混ぜたパン生地を作る。

生地がしまり、キメが細かくなるまでパン生地をこねる。この過程でバターをパン生地に加える。

暖かいところで30?40分放置する事で発酵させる(一次発酵)

生地をパン1つ分のサイズに分ける。


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