パンノキ
パンノキ
分類
パンノキ(パンの木、麺麭の木、麪果樹[2]、学名: Artocarpus altilis)はクワ科パンノキ属(英語版)の常緑高木。属名はギリシア語のパン(artos)と果実(karpos)からなる。無核種はタネナシパンノキ(英:Breadfruit tree)、有核種はタネパンノキ(英:Breadnut tree)、グアテマラではマサパン(マルチパン)と呼ばれる。
原種はニューギニアとマルク諸島、フィリピン原産の Artocarpus camansi 、オーストロネシア祖族の移動により栽培化した植物(英語)のひとつでオセアニアに拡散したと考えられる。植民地時代にさらに世界の熱帯の地域に持ち込まれた[3][4]。イギリスとフランスの航海士によりポリネシア原産の無核種が複数、カリブ海の島々に移入されたのは18世紀後半である。今日では栽培する国は南アジアから東南アジア、大洋州、カリブ海から中央アメリカ、アフリカに至る90ヵ国ほどである[5]。英名ブレッドフルーツは、ほどよく熟した実を調理したときの焼きたての穀物のパン[注 1]のような触感と、じゃがいもに似ている風味が由来とされる[5][6]。
パンノキの栽培は熱帯地域でも中央アメリカの低地から南アメリカの北部で広範に見られ[4][5]、実を主食にする文化は多く、また木材としてその軽さと堅牢さからアウトリガーや船舶の用材、家屋の建材に活用されてきた。
同族異種にニューギニア、マルク諸島、フィリピン原産で有核種のArtocarpus camansi(タネパンノキ breadnut)、フィリピン原産のArtocarpus blancoi (tipolo または antipolo) 、ミクロネシアに起源があるArtocarpus mariannensis (dugdug) があり、いずれも「パンノキ」と呼ばれることがある。またパラミツ(ジャックフルーツ)は同属異種である[7]。
歴史「en:Domesticated plants and animals of Austronesia」も参照
DNA鑑定を使った研究によりパンノキの有核種の野生の原種は、ニューギニアおよびマルク諸島、フィリピンに固有のタネアリパンノキ (en:Artocarpus camansi ) と解明した。3,000年前、もともとこの種が生息しなかったミクロネシア、メラネシア、ポリネシアに船に載せて持ち込んだのはオーストロネシアの航海者で、カヌー植物 canoe plants に含まれる[3][7][8][9]。オーストロネシア人が進出先のインド太平洋に持ち込んだ食糧植物のパンノキやバナナ、ココヤシの拡散
タネアリパンノキ A. camansi はポリネシアで栽培した人々が品種改良を行った結果、ほぼ無核の Artocarpus altilis が盛んに生える。ミクロネシアで見られるパンノキは在来種の Artocarpus mariannensis との交雑が観察され、ポリネシアおよびメラネシアに固有種のパンノキには雑種がほぼ見られない。このことからミクロネシアはポリネシアおよびメラネシアとは別ルートで人間が進出し、2つのルートがのちにミクロネシア東部で接触したと想定される[3][5][6][7][8][9]。
太平洋側から大西洋上の島々への導入には18世紀半ばから世紀末のエピソードがある。