パントテン酸
IUPAC名
3-[(2,4-dihydroxy-3,3-dimethylbutanoyl)amino]propanoic acid
識別情報
CAS登録番号137-08-6
パントテン酸(パントテンさん、英: pantothenic acid)とは、ビタミンB群に含まれる物質で、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのこと。かつて、ビタミンB5とも呼ばれていた。CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質。語源はギリシャ語で、「どこにでもある酸」という意味。栄養素のひとつ。水溶性のビタミンで、食品中に広く存在し、通常の食生活を送る上で不足になることはあまりない。パンテチン(英:Pantethine)は2-メルカプトアミン(システアミン)とのアミドであり、更にパンテチンがジスルフィド結合した二量体がパンテテイン(英:Pantetheine)である。これらはすべてパントテン酸の生理活性を有する。 吸湿性がある。酸、アルカリ、熱に不安定。水・アルコール・氷酢酸・ジオキサンに易溶、エーテルに難溶、ベンゼン・クロロホルムに不溶。 パントテン酸の生理作用は、体内でパントテン酸から生合成され、構成成分にパントテン酸を含むCoA(補酵素A)および4'-ホスホパンテテインを補因子にもつアシルキャリアプロテイン(ACP)としての作用によるものである。 食品中ではそのほとんどがCoA(補酵素A)として存在するが、消化管内でパンテテインあるいはパントテン酸にまで分解され、体内に吸収される。 成人で5mg。通常の食生活で欠乏する可能性は低い。 たいていの食品に含まれている。特に多く含まれている食品は、乾燥酵母、卵、牛乳、レバー、糸引き納豆、きな粉、落花生、干し椎茸、さけ、いわしなど。 過剰症 - 特に知られていない。 欠乏症 パントテン酸のアルコール類縁体のデクスパンテノール プロビタミンB5の形態のパントテン酸は、パンテノール 生体内において、パントテン酸はパントテン酸キナーゼ(EC 2.7.1.33)、ホスホパントテノイルシステインシンテターゼ(EC 6.3.2.5)、ホスホパントテノイルシステインデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.36)、デホスホCoAピロホスホリラーゼ(EC 2.7.7.3)、デホスホCoAキナーゼ(EC 2.7.1.24)の作用により補酵素A(CoA)に変換される。EC 2.7.1.33 ATP + (R)-pantothenate = ADP + (R)-4'-phosphopantothenateEC 6.3.2.5 CTP + (R)-4'-phosphopantothenate + L-cysteine = CMP + PPi + (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteineEC 4.1.1.36 (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine = pantotheine 4'-phosphate + CO2EC 2.7.7.3 ATP + pantetheine 4'-phosphate = diphosphate + 3'-dephospho-CoAEC 2.7.1.24 ATP + dephospho-CoA = ADP + CoA
物性
比旋光度[α]D25 = +37.5°
生理活性
一日の所要量
多く含む食品
過剰症と欠乏症
成長停止
体重減少
皮膚炎
脱毛
頭痛
末梢神経の障害(手足の麻痺や焼けるような足の痛み)
副腎障害
外用薬として
生化学
構造
パントテン酸の構造式 - パントテン酸(pantothenic acid)はパントイン酸にβアラニンが結合したものである。
パンテテインの構造式 - パンテテイン(pantetheine)はパントテン酸にシステアミン(2-メルカプトエチルアミン)が結合したものである。
パンテチンの構造式 - パンテチン(pantethine)は2つのパンテテインがジスルフィド結合したもの。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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