パワー・ナイン
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パワー・ナインとはマジック:ザ・ギャザリング(以下マジック)のアルファ(限定版第一刷)、ベータ(限定版第二刷)、アンリミテッド(非限定版、第2版相当)に収録された9種類のカードの総称。

マジックにおいて大変強力なカードであり、リバイズド(改訂版、第3版相当)で収録カードの再編が行われた際に収録されなくなった。これらのカードは「再録禁止リスト」に載っており、今後の新しいセットでも収録されないことが決まっている。これらのカードがデザインされた当時はトレーディングカードゲームの黎明期であり、デザイナーやスタッフも「カード効果の格差」や「カードゲームにおけるコストと効果のバランス」といった概念に乏しく、そうした概念の認知や発達、その後のカードデザインなどに少なからぬ影響を与えている。

カードの強力さと流通量の少なさから、これらのカードは高額で売買される事が多い。傷のあるものでも1枚で10万円以上、アルファ版Black Lotusは数百万円後半、鑑定済み美品であれば2000万円近く、2021年現在で3000万円になることもある[1]
パワー・ナインに含まれるカード

パワー・ナインは、以下の9枚で構成される。

Black Lotus

Mox Pearl

Mox Sapphire

Mox Jet

Mox Ruby

Mox Emerald

Ancestral Recall

Time Walk

Timetwister

Black Lotus
マナを使用せずに場に出すことが出来、生け贄に捧げる(場にあるこのカードを墓地に送る)ことで好きな色マナ1種類を3つ発生させるカード。Black Lotusを使用することで序盤から強力な呪文を使用することができる。世界的に有名なマジックのプレイヤーの1人であるZvi Mowshowitzは、Black Lotus がマジックで最良のアーティファクトであると語っている。Black Lotusはコレクションにおいても最も有名なカードである。通常のカードの中では最も高価であり、アルファ版であれば、状態によって500万円から1000万円以上、白枠の状態の悪いものですら100万円を超えるときもある。2021年にはアルファ版の状態が最高であるこのカードが、オークションで6000万円もの値段がついた[2]。そのカードパワーと美麗なイラストから、マジック:ザ・ギャザリングを代表するカードの1枚とされ、パワー9筆頭とも扱われる。なお、一般に「Lotus」と呼称される花卉としてはハススイレンの二科が挙げられるが、2020年現在、両者ともにまだ完全に漆黒の花を咲かせる品種は誕生していない。
Moxシリーズ
マナを使用せずに場に出すことが出来、タップ(縦に置かれたカードを横向きにする)によりマナを発生させるカード。続く宝石名は発生するマナの色を示す。マナの発生は基本的に土地の役割である。Moxは土地同様マナを使用せずに場に出すことができるマナの発生源であり、しかし土地が持つ「1ターンに1枚しか場に出せない」という制限が存在しない。つまり土地を1ターンに何枚も場に出せることと同様である。このためBlack Lotus同様序盤から大量のマナを使用することが可能になる。余談だが『RPGマガジン』の記事によると、初期の日本人プレイヤー(後の日本語版スタッフやトッププレイヤー)は、このカードの強さを理解できなかったため、基本土地と対して変わらないとして当時は屑レアカード扱いしていたと回想している[3]
Ancestral Recall
青マナで使用。カードを3枚引く。通常は自分の手札の補充に使用されるが、場合によっては相手にカードを引かせることもできる。カードを引く事の強さを理解されていない時代に生み出され、パワー9の中でも最強との声もある。コストに対して多くのカードを引くことができるカードである。初期のコンセプトの中で各色に1枚ずつ作られた「1マナで3の効果をあげる」サイクルのカードの一枚であるが、このカードだけが特別に強力だった[4]。このサイクルは「ブーンズ」と呼ばれており、その他のカードは、白:治癒の軟膏/Healing Salve[5]、黒: 暗黒の儀式/Dark Ritual[6]、赤:稲妻/Lightning Bolt[7]、緑:巨大化/Giant Growth[8]である。サイクルの他の4枚はいずれもコモンであったのに対し、このカードだけはレアで収録されている[9]
Time Walk
青マナ+1マナで使用。このターンに続けてもう1ターン自分のターンを行う。低コストで自分のターンを増やすことができるカード。低コストなため序盤から使用でき、自分の陣容を整えることができる。また盤面を整えた後に隙を晒さずにとどめを刺すのにも使われる。
Timetwister
青マナ+2マナで使用。全てのプレイヤーは手札と捨てた札を山札に戻し切り直す。その後カードを7枚引く。この呪文は一度使用したカードを再利用できる・手札を7枚に戻すことができるなどの効果をもっている。相手も同様の恩恵は受けるが、使用のタイミングは使用者が決めるため通常は使用者の方が多くの恩恵を受ける。しかし、自分はこのカードを使うのにマナを使ってしまうため基本的には対戦相手の方が先に動くことができる点、引くカードがランダムなため自分が有利になるとは限らず対戦相手のサポートをしてしまう可能性も低いとは言えない点、パーミッション戦略を取るデッキでは手札の枚数よりも質のほうが重要な点、墓地利用と相性が悪い点などから「パワー9の中で最も弱い」とも言われている。事実このカードのみ統率者戦で禁止されていない。ただしあくまでパワー9の中で最も弱いというだけで、マジック全体の中ではカードパワーは隔絶している。また「対戦相手にも影響を及ぼす」という点を利用することもある。他にも全員の手札を7枚に戻すカードはいくつかあるが、多くは Timetwister同様使用が制限されている。
修正されたパワー・ナイン

マジックの開発チームは、強力すぎるパワー・ナインの修正版ともいえるカードを何度も作成している。
Black Lotus

Black Lotus の修正版は多く作られている。しかし、そのうちのいくつかは Black Lotus 同様強力なため使用が制限されている。

最初に作られたカードはミラージュの「ライオンの瞳のダイアモンド」である。このカードはマナを発生させるためにこのカードだけではなく全ての手札も捨てなければならない。時代が経つに連れて「手札を捨てること」がメリットとなるカードやデッキが増えてきた上、0マナアーティファクトであることを活用しながらドロー呪文が解決される前に「ライオンの瞳のダイアモンド」の効果を使用する「ロング・デック」デッキの出現が決定打となって、2004年1月1日より「タイプ1」フォーマット→同年9月20日より発展移行したヴィンテージフォーマット下で制限指定を受けている[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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