『パルミラのアウレリアーノ』(イタリア語: Aureliano in Palmira)は、ジョアキーノ・ロッシーニによる2幕のオペラ・セリア。フェリーチェ・ロマーニがリブレットを書き、1813年12月にミラノのスカラ座で初演された。
3世紀、軍人皇帝時代のローマ皇帝アウレリアヌスが、女王ゼノビアの治めるパルミラを征服した史実をもとにしている。 1813年にヴェネツィアで『タンクレーディ』と『アルジェのイタリア女』の上演に成功して名声を確立したロッシーニは、1813年末から1814年夏までミラノに移り、スカラ座のために従来作の再演と新作の披露を行った[1]。 『パルミラのアウレリアーノ』の元になったのはパスクワーレ・アンフォッシ作曲、ガエターノ・セルトルのリブレットによる『パルミラのゼノビア』(1790年にヴェネツィアのカーニバルで初演)であり、このリブレットを当時25歳のフェリーチェ・ロマーニが改変したものを使用している[2][3]。また、同じ台本によったパイジエッロの作品(1790年初演)も利用している[4]。1813年12月26日にスカラ座で初演された[2]。 作品の2人の男性主役のうち、ペルシアの王子アルサーチェ役にカストラートのジョヴァンニ・バッティスタ・ヴェッルーティを起用した。この作品はロッシーニがカストラートを使った唯一のオペラ作品である(ただし1822年のカンタータ『真実の敬意 (Il vero omaggio』でもヴェッルーティを使用している)[1]。タイトルロールのアウレリアーノには若いテノール歌手のジョヴァンニ・ダヴィド
概要
スカラ座では初日こそ失敗だったようだが、14回上演されている[6]。また他の場所の再演では成功したようだ[5]。1814年から1831年までイタリア内外各地で継続的に再演された[6]。その後いったん忘れ去られたが、1980年にジェノヴァで再演された[6]。
後にロッシーニはこのオペラの素材を他の作品に使いまわした。特に有名なのが『セビリアの理髪師』であり、序曲がそのまま再利用されているほか、冒頭の合唱は伯爵の「空はほほえみ」に転用されている[7][8]、他にも共通する曲がある。序曲その他は『イングランドの女王エリザベッタ』にも再利用されている。
登場人物
アウレリアーノ(テノール) - ローマ皇帝。パルミラを倒してその女王ゼノビアを我が物としようとする。
ゼノビア(ソプラノ)- パルミラの女王。
アルサーチェ(カストラート、再演ではアルト)- ペルシアの王子、ゼノビアと愛しあう。