パルナス製菓
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「パルナス」はこの項目へ転送されています。政党については「人民自由党」をご覧ください。

パルナス製菓株式会社元の種類株式会社
業種製造業飲食店
事業分野ロシア洋菓子製造販売
レストラン喫茶店経営
設立1947年(昭和22年)
創業者古角松夫
解散2002年(平成14年)
本社大阪府豊中市上津島2丁目18-9、 日本
製品ロシア風各種ケーキ
パルピロ(ピロシキ
クレーモフ(シュークリーム
マロース(シューアイス)
フクースノ(クリームパフ)

パルナス製菓株式会社(パルナスせいか)は、かつて近畿地方を中心に洋菓子製造・販売を行っていた食品メーカー。本社は大阪市北区で、後に大阪府豊中市上津島2丁目に移転した。

2000年(平成12年)に事業を停止し、2002年(平成14年)に企業清算して解散した[1]

本項目ではパルナス製菓から独立した喫茶・製パン店「モンパルナス」についても触れる。
概要現存する旧パルナス特約店跡。円形の内照式看板に描かれているのが『ネズナイカの冒険』主人公がモデルとなったマスコット・キャラクター「パルちゃん」(2011年撮影、大阪市生野区

兵庫県加西市出身の古角(こかど)松夫(1923年 - 2004年[2]1947年(昭和22年)に神戸市で創業し[3]、後に大阪府に移転した。1952年株式会社化。ロシアケーキや「クレーモフ」(ロシア風シュークリーム)などの菓子、「パルピロ」(ピロシキ)といったロシア風調理パンを製造・販売した。最盛期の従業員は500人あまり[4]で、兵庫県や大阪府を中心に、近畿地方に200店以上の直営店と特約店を展開した[3]

古角は第二次世界大戦後の砂糖販売統制解除を受けて洋菓子店を開いた際、ドイツ菓子やフランス菓子といった一般的な洋菓子店と異なる独自のカラーを打ち出そうとロシア風菓子に着目し、開業にあたっては当時のソ連対外文化交流協会から菓子の資料を取り寄せるなどした[5]。古角は晩年に新聞社の取材に対し、帝政ロシア時代の小説家レフ・トルストイ大河小説戦争と平和』で描かれたような、豪華な食文化の再現を考えていたと述べている[5]

また同社に技術指導を行ったボルシェビーク製菓工場職長(当時)のイェヴドキヤ・オージナによると、古角は戦時中日本海軍に従軍し、復員前に乗船したソ連船内でウォッカレバー入りピロシキを口にしたのがロシア料理との最初の出会いだったと話していたという[6]

古角は日ソ国交回復直後の1957年にソ連を訪れてモスクワのレストランや菓子工場を視察し、帰国後、「モスクワの味」を自社のキャッチコピーとしてPRし、広く知られるようになった[5]1970年には日本万国博覧会ソ連館のレストラン「レストラン・モスクワ」を受託運営し[2]、その後は大阪・神戸・東京で「レストラン・モスクワ」および「レストラン・パルナス」を営んだ。

洋菓子需要の落ち込みや同業他社との価格・販売競争激化で売上高の減少が続いたことから、黒字・無借金経営を維持しつつ[1]1990年代末に事業の縮小・整理を進め、1998年に工場を閉鎖した。2000年9月には最後まで唯一営業していた喫茶店併設の直営店「パルナスブッフェ曽根店」(豊中市曽根東町、阪急宝塚本線曽根駅近く)を閉店して事業を事実上終了し、2002年(平成14年)3月に企業清算を終えて解散した[3]。事業整理に入る直前の1996年当時の直営店は、洋菓子店27店舗、喫茶店「パルナスブッフェ」7店舗であった[5]。豊中市上津島の本社工場は2001年(平成13年)に解体され[7]、跡地は分譲宅地となった。
会社清算後の動き

古角は企業清算にともなう残余財産の分配で、2003年長者番付の全国33位に一度だけ公示された。古角は出身地の加西市に、キャラクター人形、CMソングのレコード、製品の運搬用トレーなどパルナス製菓に関連する物品と、ロシアの民芸品、絵画などの個人コレクションを寄贈した。これらの品々は、2003年に同市で開かれた「パルナス展&古角松夫コレクション展」で一般公開されたのをはじめ、有志主催の回顧展でたびたび公開されている[8]

菓子・パン分野における商標「パルナス」はパルナス製菓の登録商標だったが、商標権消滅後の2007年8月に東京都小平市の個人が新たに商標として出願し、2009年2月に登録された[9]。一方、古角の出身地加西市でパルナス製菓の活動を伝える「パルナス復刻委員会」の有志は、キーホルダーTシャツ類、衣服用バッジなどに用いる商標として、旧パルナス製菓が使用していた「パルナス」ロゴタイプおよび「パルちゃん」図案のマーク(パルナスマーク)を2017年6月に出願し、2018年1月に登録された[10]

2023年6月には、兵庫県宍粟市咲ランドショッピングセンター1階フードコートで喫茶モンパルナスや「パルナス復刻委員会」の公認により往年の味を提供する「パルナスカフェ」がオープンした[11]
テレビCM・広報

パルナス製菓は、1958年から「モスクワの味」のキャッチコピーを打ち出したユニークなCMソングとテレビコマーシャルを次々に制作し、近畿圏一円で知名度を高めたことでも知られる[5]。古角によると、1957年の訪ソ時にハバロフスクから乗車したシベリア鉄道の車中で「モスクワの味」のコピーとCMの着想を得たという[5]

特に中村メイコボニージャックスが歌ったロシア民謡調のCMソング「パルナスの歌」(作詞・作曲:津島秀雄)は、テレビアニメ『リボンの騎士』(本放送)、『アンデルセン物語』、『ムーミン』、世界名作劇場シリーズ(再放送)の近畿圏でのCMに十数年間にわたって用いたほか、藤山一郎とルナ・アルモニコによる「お誕生日の歌」[12]など数々のCMソングを世に送り出して広く親しまれた。


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