パルジファル
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ヨーロッパの国際列車については「パルジファル (列車)」をご覧ください。
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舞台神聖祝典劇[1]『パルジファル』(Buhnenweihfestspiel "Parsifal" )は、リヒャルト・ワーグナー1882年に完成させた楽劇。全3幕。原語ドイツ語台本も作曲家自身による。中世(10世紀ごろ)スペインのモンサルヴァート城およびクリングゾルの魔の城を舞台とする。

初演は1882年7月26日、バイロイト祝祭劇場。日本初演は1967年[2]
主な登場人物

パルジファル(
テノール) 無垢で愚かな若者として登場し、パルジファルの名前は劇中で明らかにされる。

グルネマンツ(バス) モンサルヴァート城の老騎士。のちに隠者。

アン(アム)フォルタス(バリトン) モンサルヴァート城の王。聖杯を守る。

クンドリ(ソプラノ) 呪われた女。クリングゾルの手先となる。

クリングゾル(バリトン) 魔法使い。

ティトゥレル(バス) アンフォルタスの父。先王。

聖杯守護の騎士2人(テノール、バス)

小姓4人(ソプラノ2、テノール2)

花の乙女たち6人(ソプラノ、アルト

楽器編成

フルート3、オーボエ3、イングリッシュホルンクラリネット3、バスクラリネットファゴット3、コントラファゴットホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニ2人(2対)、ハープ2、弦5部(16型)

舞台裏に6個、トランペット6、トロンボーン6、中太鼓、サンダーシート

ニーベルングの指環』以来の4管編成の跡が残っている。
演奏時間

全曲約4時間半(各幕120分、70分、80分)。しかし指揮者による変動が非常に大きく、3時間40分未満から4時間40分を遥かに超える指揮者までいろいろある。カットの場合はこれに当たらないので記さない。また録音・録画や上演への鑑賞などのために便宜的に長いほうの演奏時間を記しておく。
構成とあらすじ
第1幕

前奏曲。グルネマンツと小姓たちが傷の治療のために湖へ向かう王を待っているところへ、クンドリが現れ、アンフォルタス王の薬を託す。かつてアンフォルタスはクンドリに誘惑され、聖槍を奪われて傷つけられていた。癒えない傷口からは、絶えず血が流れ出し、罪の意識を伴ってアンフォルタスを苦しめた。グルネマンツは魔法使いクリングゾルの邪悪と、王を救うための神託について語る。神託とは、「共苦して知に至る、汚れなき愚者を待て」というものであった。そこへ、湖の白鳥を射落とした若者が引っ立てられてくる。グルネマンツはこの若者こそ神託の顕現ではないかと期待し、若者を連れて城へ向かう。城内の礼拝堂で、聖杯の儀式が執り行われる。しかし、傷ついているアンフォルタスにとって、儀式は苦悩を増すものでしかない。官能への憧れと罪への苦痛、死への願望がアンフォルタスを襲う。先王ティトゥレルの促しによって、聖杯が開帳される。しかし、若者は茫然として立ちつくすばかり。グルネマンツは失望して若者を追い立てる。
第2幕

短い前奏曲。クリングゾルの魔の城。クリングゾルの呼びかけに応じてクンドリが目覚める。クリングゾルはクンドリに、魔の城に侵入した若者を誘惑し堕落させるように命じる。クンドリは抵抗するが、結局言いなりになるしかない。若者は襲いかかってくる兵士たちをなぎ倒して進むうち、クリングゾルの魔法によって、あたりは花園になる。花の乙女たちが無邪気に舞いながら若者を誘う。やがてクンドリが「パルジファル!」と呼びかけ、初めて若者の名が明かされる。クンドリはパルジファルの母親の愛を語り、接吻する。ところが、この接吻によって、パルジファルは知を得て、アンフォルタスの苦悩を自分のものとする。なおもクンドリはパルジファルに迫り、クンドリの呪われた過去も明らかになる。しかし、パルジファルはこれを退ける。誘惑に失敗したと悟ったクリングゾルが現れ、聖槍をパルジファルめがけて投げつける。聖槍はパルジファルの頭上で静止し、パルジファルがそれをつかんで十字を切ると、魔法が解け、城は崩壊して花園は荒野と化す。
第3幕

前奏曲は、パルジファルの彷徨・遍歴を示す。第1幕と同じ場所で、隠者となったグルネマンツは倒れているクンドリを見つける。そこに武装した騎士が現れる。騎士はパルジファルだった。いまやアンフォルタスは聖杯の儀式を拒否し、先王ティトゥレルも失意のうちに没し、聖杯の騎士団は崩壊の危機に瀕していた。クンドリが水を汲んできて、パルジファルの足を洗い、グルネマンツがパルジファルの頭に水をかける洗礼の儀式。パルジファルもまたクンドリを浄める。泣くクンドリ。ここから聖金曜日の音楽となる。3人は城に向かう。城では、騎士たちの要請によって、ティトゥレルの葬儀のための儀式が、これを最後に始まろうとしていた。アンフォルタスは苦悩の頂点に達し、「我に死を」と叫ぶ。そのとき、パルジファルが進み出て、聖槍を王の傷口にあてると、たちまち傷が癒えた。パルジファルは新しい王となることを宣言、聖杯を高く掲げる。合唱が「救済者に救済を!」と歌う。聖杯は灼熱の輝きを放ち、丸天井から一羽の白鳩が舞い降りて、パルジファルの頭上で羽ばたく。クンドリは呪いから解放されてその場で息絶える。
作曲の経緯

1845年6月、マリーエンバートに温泉治療のために滞在中、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩『パルチヴァール』やアルブレヒトの『新ティトゥレル』[3]の翻訳・再話、作者不明の叙事詩『ローエングリン』[4]の序文を読む[5]。『ローエングリン』、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の着想を得る。

1857年4月、ワーグナーの自伝『わが生涯』によれば、チューリヒの「隠れ家」において静かな春の日に喜び、今日は(大切な)聖金曜日復活祭に先立つ金曜日で、十字架に架けられたイエスを記念する日)であったとの思いを深くし、『パルチヴァール』での同様の警告[6]を想い出した。聖金曜日の思想から(von dem Karfreitags-Gedanken)『パルジファル』全3幕の構想を得たとされている。しかし、これはワーグナーの詩的創作だったと後に自身が認めている[7]。実際には、『ローエングリン』が作曲された1846年から1848年ごろには構想が芽生えていたと考えられる。しかし、実際の着手までには時間がかかり、この後も長い空白が置かれた。

1865年8月27日-30日、ルートヴィヒ2世に求められて台本の第1草稿を書く。草稿は国王に贈呈された。しかし、この後、ワーグナーはバイロイト祝祭劇場の建設や『ニーベルングの指環』の上演などに忙殺される。

1877年1月25日-2月28日、第2草稿。

1877年3月14日、「パルチヴァール」(Parzival)の表記を「パルジファル」(Parsifal)に直す。

1877年4月19日、台本完成。作曲にかかる。

1882年1月13日、スコア完成。結局、着想から40年近くかかったことになる。また、草稿の台本と総譜にはかなりの差異が認められる。

原作及び「パルジファル」の表記について

『パルジファル』の台本は、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩『パルチヴァール』に基づいている[8]。『パルチヴァール』は、歌劇『ローエングリン』の制作にも影響を及ぼしているかもしれない。『パルチヴァール』のエピローグ[9]には、白鳥の騎士ローエングリンの物語が紹介されているからである。『ローエングリン』第3幕で、ローエングリンは、モンサルヴァート城の王パルチヴァール(Parzival)の息子であると名乗っている。パルジファルが白鳥を射落として引き立てられてくることと、ローエングリンが「白鳥の騎士」であることの関連は明らかであろう。ほかにも、各幕の構成や、『パルジファル』のクンドリが『ローエングリン』のエルザとオルトルートを合わせたような存在であることなど、二つの作品は関連が深い。


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