パトリオットミサイル
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この項目では、地対空ミサイルについて説明しています。その他のパトリオットについては「パトリオット」をご覧ください。
パトリオットミサイル発射の瞬間ドイツ空軍のパトリオット発射機擬装したドイツ空軍の発射機

パトリオットミサイル(英語: MIM-104 Patriot、MIM-104 パトリオット)は、アメリカ合衆国レイセオン社がMIM-14 ナイキ・ハーキュリーズの後継としてアメリカ陸軍向けに開発した広域防空用の地対空ミサイルシステムである。世界で最も先進的なミサイル防衛システムのひとつで、米国の他日本を含む同盟国など世界18ヵ国以上で運用されている。

「MIM-104」はミサイルの形式名称、「Patriot」はその愛称で、「Phased array Tracking Radar to Intercept on Target」(直訳:目標物迎撃用追跡位相配列レーダー)のバクロニムであるとされる。
日本のマスコミは一般的に「パトリオット」として報じている[1][2]が、日本国政府航空自衛隊の公式表記は、「ペトリオット」であり [3][4]、より英語発音に近似した表記となっている。

パトリオットミサイルは厳密にはミサイルそのものを指すが、付帯するミサイル発射システムを含めてパトリオットミサイルと呼ぶ場合もあるため、本項では発射システムを含めて解説する。
来歴

パトリオットの開発は、ナイキ・ハーキュリーズホークの後継として、1961年にアメリカ陸軍により着手された。AADS?70(Army Air Defense System for the 1970s  )と命名された計画は、航空機はもちろん弾道ミサイルにも対処する野心的なものであった。

1964年10月、SAM-D(Surface-to-Air missile, Development)と改称され、1967年にレイセオン社が開発業者として選定された。

1974年1月、国防総省は技術的・財政的な問題から計画を全面的に見直し、弾道ミサイル対処能力付与の見送り・誘導方式としてミサイル経由追尾の採用などの変更がなされた。変更されたSAM-Dは1976年2月に技術開発を開始、1976年5月21日にPATRIOTと改称された。

1980年に本格的な生産を開始し、1982年5月にはアメリカ陸軍で最初の運用部隊が編成された。
発射システム概要

パトリオットミサイル発射システムはトレーラー移動式のシステムであり、車両が自走して野外に発射サイトを設営後、射撃体勢が整う。

アメリカ陸軍の編成では、高射大隊は指揮所運用中隊、整備補給中隊および4-6個の高射中隊で編成され、1個高射中隊(1ユニット)は射撃管制車輌レーダー車輌、アンテナ車輌、情報調整車輌、無線中継車輌、最大で8輌のミサイル発射機トレーラー、電源車輌、再装填装置付運搬車輌、整備車輌という10台以上の車両により構成される。

ナイキの発射システムよりも省力化が図られている。交戦時に人員が配置されるのは射撃管制車だけで、無人となったレーダーや発射機等は射撃管制車からの遠隔操作によって制御される。
発射システム詳細

システムは複数の機材から構成されており、有線・無線によるインターフェースにより連動している。
レーダー装置航空自衛隊のAN/MPQ-53フェーズドアレイレーダー

レーダー装置(Radar Set、RS)の形式名称はAN/MPQ-53(Config.2形態以前)またはAN/MPQ-65(Config.3形態以降)である。

円形に配置された5161個の送受信素子で構成される、フェーズドアレイレーダーを搭載し、 敵味方識別機能(IFF)、電子妨害排除機能(ECCM)、ミサイル誘導機能(TVM)を備えている。1台で、探索、目標識別、追跡、および破壊までを行える。AN/MPQ-53/65のいずれもパッシブ式アンテナを採用していたが、2017年に配備が開始されたAN/MPQ-65Aでは窒化ガリウム素子を使用したアクティブ式アンテナに変更された。これにより弾道ミサイルや高速で飛行する巡航ミサイルの補足能力を含む、全体の性能が向上した。

使用される周波数はC-Band帯で、周波数をランダムに変化させ電波妨害・探知に対抗する。

アンテナ面から120度の探知覆域があり、航空機なら170 km、弾道ミサイルなら100 kmの距離で探知できる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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