パチンコ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

投石器については「スリングショット」を、ミン・ジン・リーによる2017年の同名の小説[1]・ドラマについては「パチンコ (小説)(英語版)」をご覧ください。
一般的なパチンコ店内の様子

パチンコとは、ガラス板で覆った多数のが打たれた盤面上に小さな鋼球を盤面左下から弾き出し、釘に従って落ちる玉が特定の入賞口に入ると、得点あるいは賞球が得られる日本の遊技である。漢字表記は「自動球遊器」。最も一般的な営業形態は風俗営業として、客が遊技の結果得た鋼球をパチンコ店が指定する特殊景品と交換し、景品買取業者(古物商)が運営する景品交換所がそれを買い取る形で現金と交換するシステムとなっている。日本においては風俗営業に分類される。規制が年々強化され、2022年12月末時点でパチンコホール経営企業数は、前2021年同月末比で208社減少し2,053社、店舗数は774店舗減少で7,365店舗[2]。公益財団法人・日本生産性本部の余暇創研が2021年に発表した『レジャー白書2021』によると、日本のパチンコ・パチスロの市場規模(ホールでの貸し玉料の総計)は14兆6000億円[3]。ただしパチンコは客への還元率が85%程度と言われているので、ホールの実際の売上はこの15%程度である[4]ダイコク電機が、2023年に発表した「DK SIS白書2023版」によると、パチンコの市場規模に相当する粗利規模は2.38兆円である[5]
概要

パチンコ遊技機(ゲーム機)そのものは「パチンコ台」と呼ばれる。ただし、「パチンコ」は通称であって、風営法上では「ぱちんこ遊技機」とひらがなで名称されている。パチンコ設備を設けた遊技施設は、施設設立前に警察に営業許可を事前に求めなくてはならない。呼称で最も一般的には「パチンコ店」または「パチンコ屋」と呼ばれるが、パチンコ業界やパチンコ雑誌などでは「パーラー」・「ホール」と呼ぶ場合もある。店名にパーラーが入っている店舗も多数存在する。このような遊技施設は、1930年に最初の店舗が開店し、その後第二次世界大戦時は不要不急の産業として一時は全面禁止となったが、終戦後に復活した。

2009年現在、日本以外ではアメリカグアムなどにパチンコ店が存在しているが、賭博(カジノ)として位置づけられ、規制を受けている。また中華民国台湾)では、法律上で禁止されている(ただし実際には多数の非合法店が営業を行っている[6])。大韓民国では在日韓国人によってパチンコが持ち込まれ流行していたが、「人間を怠惰にして、人生を狂わせる」として[7]、2006年からはパチンコにおいてそれまで利用されていた商品券の換金が停止、事実上の法規制となった[8][注 1]メダルチギも参照)。また、北朝鮮平壌にもパチンコ店が存在している[9]

日本国内のパチンコ店で行われる営業(以下「パチンコ営業」)は、法的には風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」)[注 2]同法は1948年(昭和23年)7月10日に「風俗営業取締法」という題名で公布された(昭和23年法律第122号)。2回改題されており、施行済み最終改正は2005年11月7日公布、翌年10月1日までに施行(2008年8月1日現在)。改題を伴った改正は次の通り。

1959年2月10日公布→「風俗営業等取締法」

1984年8月14日公布、翌年2月13日施行→「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」

第2条第1項第4号で「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」として定める風俗営業[注 3]で、遊技の結果で得た鋼球を賞品と交換され、パチンコ店から現金が持ち込まれている景品交換所[10][11]で現金と交換される営業が行われる。このような遊技施設は、18歳未満の者は営業所に立ち入ってはならない旨を入り口に表示するよう義務づけられる(風営法第18条)とともに、客として立ち入らせることを禁じられている(風営法第22条第1項第5号)。

パチンコ遊技施設は、現在ではギャンブル的要素を持つが庶民の身近な娯楽施設として、都市や地方を問わず国内各地にくまなく存在している。このために、多くの社会的問題を抱えている(→パチンコ#パチンコの問題点参照)。変わったところでは、2017年2月1日、九州で「P-ZONE」を展開する株式会社パラダイスが経営する複合型リゾートホテル「 ⇒ザ パラダイスガーデン サセボ」(佐世保市)にて、パチンコホール「パラダイス」がオープンした。この店舗は日本人でも利用可能だが外国人宿泊客をターゲットとしており、4ヵ国語(英語中国語、朝鮮語、台湾語)で書かれた遊技台や機種の説明書を設置しているほか、営業時間はホテルのチェックインに揃えた16時から22時40分まで、また宿泊客に外国人がいない日は休業とするなど独特な営業形態を採っている[12]

パチンコ店以外では、ゲームセンター露店などにてもパチンコ台が設置・運営されるが、この場合は鋼球と景品との交換は行われない。以前は一定数の得点に到達すると景品が払い出されるマシンが多数存在したが、風営法の規制強化に伴い全て禁止となった[注 4]。コンシューマ分野においては、中古のパチンコ台、パチスロ台を個人向けに売買する市場があり[注 5]、また、このようなパチンコ台の特徴を模した玩具や、シミュレーションゲームとしてのビデオゲームも存在する。近年、スマホやPCといった端末を使用し、スマホアプリやブラウザからインターネットにアクセスすることでネット上のバーチャル店舗型オンラインパチンコにおいて、ビデオゲームパチンコの遊戯が可能となっている。
風俗営業としてパチンコ、秋葉原(2010年)パチンコ店、渋谷区(2004年)

パチンコ店としての風俗営業は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の第二条第一項第四号[13](いわゆる「第4号」)に基づいて運営される。パチンコ台を設置するゲームセンターは同法においていわゆる「5号営業」に該当する(運営に関する詳細は「ゲームセンター」を参照)。
法的根拠

日本国内のパチンコ店で行われる営業(以下「パチンコ営業」)は、遊技の結果によって賞品を提供している。この根拠となる法令は、風営法第4条(許可の基準)、同法施行令第7条(政令で定める営業)、同第10条(遊技機の種類)、同第11条(政令で定める営業が遊技の結果に応じ客に賞品を提供させる営業であることを明記)、風適法施行規則第36条(遊技料金等の基準)である。

これら法令に基づく営業において景品を提供する事自体は合法であるが、現金や有価証券を提供することは禁止している。しかし、客が獲得した景品を古物商に売却して現金化(換金行為)する事例が多く、客から古物商が受け取った景品は景品問屋を通じてパチンコ店に卸されており、これを事実上の賭博行為として問題視する意見もあるなど、多くの社会的問題を抱えている(→パチンコ#パチンコの問題点参照)。
市場規模

パチンコホールの売上と粗利規模の推移[5][14][15][16]年参加人口売上(貸玉料)粗利規模
1995年2900万人30兆9050億円
1996年2760万人30兆0700億円
1997年2310万人28兆4160億円
1998年1980万人28兆0470億円
1999年1860万人28兆4690億円
2000年2020万人28兆8680億円
2001年1930万人29兆2430億円
2002年2170万人30兆4420億円
2003年1740万人32兆3900億円
2004年1790万人33兆9120億円
2005年1710万人34兆8620億円
2006年1660万人33兆6420億円
2007年1450万人30兆1770億円
2008年1580万人28兆8190億円
2009年1720万人28兆2420億円
2010年1670万人25兆9830億円
2011年1260万人25兆4890億円
2012年1110万人25兆6720億円
2013年970万人25兆0050億円
2014年1150万人24兆5040億円3.91兆円
2015年1070万人23兆2290億円3.81兆円
2016年940万人20兆4180億円3.66兆円
2017年900万人21兆4000億円[17]3.52兆円


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:212 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef