パロキセチン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(3S,4R)-3-[(2H-1,3-benzodioxol-5-yloxy)methyl]-4-(4-fluorophenyl)piperidine
臨床データ
販売名Paxil, Pexeva, Seroxat, Brisdelle, Rexetin
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パロキセチン塩酸塩水和物(パロキセチンえんさんえんすいわぶつ、英語: Paroxetine Hydrochloride Hydrate)は、イギリスのグラクソ・スミスクライン(旧 スミスクライン・ビーチャム)で開発された選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。同社より商品名パキシル(Paxil)で発売されている。日本では2000年11月に薬価収載され、販売が開始された。
パロキセチンは、脳内セロトニン神経系でセロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内シナプス間隙に存在するセロトニン濃度が高まり、神経伝達能力が上がる。その結果、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられる。
また、ヒトP2X4受容体の強力な阻害作用(IC50=1.87μM)を有する[5]。抗アロディニア作用を示し、神経因性疼痛の患者へ使用することが可能とみられる[5]。
児童青年のうつ病への効果は確認できず、また安全性も確認できず有害事象が報告されており[6]、英国国立医療技術評価機構(NICE)は児童青年には処方してはならないとしている[7]。グラクソ・スミスクラインは児童青年に対し、有害事象の証拠がありながら安全で効果的だとして、違法な病気喧伝を行なったため、アメリカ合衆国司法省より30億ドルの訴訟を行われたという歴史がある[7]。
パロキセチンは他のSSRIと比較して有害事象発生率が高い、かつ薬物相互作用の傾向が高いとNICEは報告している[8]。パロキセチンの断薬は、危険性の高い中断症候群を引き起こすことがある[9][10]。
軽症のうつ病を説明する「心の風邪」というキャッチコピーは、1999年に明治製菓が同社のSSRIであるデプロメールのために最初に用い、特にパキシルを販売するため、グラクソ・スミスクラインによる強力な病気喧伝で使用された[11]。現在では、軽症のうつ病に対する抗うつ薬の効果には疑問が呈されており、安易な薬物療法は避けるよう推奨されている[12]。 日本でのパキシルの適応は、成人のうつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害[13]。 その他、適応外使用で月経前症候群、摂食障害、耳鳴りにも用いられる。 社交不安障害に対しての処方は、NICEはセルトラリンまたはエスシタロプラムのSSRIが効果を示さない場合の、選択肢の一つとして提案している[14]。 日本で承認されている用量用法は、通常は1日10?20mgから始まり、1週間から2週間ごとに10mgずつ増やす。減らす時はその逆である。減量・中止時には5mgずつ減らしていく場合もある。1日の服用量の上限は、パロキセチンとして、パニック障害では30mg、鬱病・鬱状態では40mg、強迫性障害では50mgであり、毎日夕食後や就寝前等に経口服用する。効果が実感できるようになるまでの期間に個人差が大きく、1週間から1ヶ月程度かかる。強迫神経症や抑うつ性の病気、社会不安障害の人が飲むと、理解や視覚される恐怖が弱まると言う患者もいる。 急に一気に服薬を止めると、気分や体調が悪くなったり、寝込んだり、何らかの拍子に不安や抑うつなどうつ病が再発したかのようなSSRI離脱症候群が生じる可能性がある[8]。また、不安障害やうつ病の重篤化が懸念されるため、医師の指示なく薬をやめることは危険である。 1998年には、公開された文献をメタアナリシスした結果、パロキセチンを含む16種類の抗うつ薬や精神科の薬は、概してうつ病に対する薬の本来の効果は25%で、残りは偽薬効果や自然経過であることが示された[15]。
適応
用法
有効性
うつ病
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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