パイプ_(たばこ)
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パイプ。パイプの構造。

パイプとは、刻みたばこを詰めて吸う喫煙具の一種。
概要

パイプ(専用のもの)の片方に乾燥などの加工を行ったタバコの葉を詰めて火をつけ、もう一方の端から吸い込んで行われる喫煙は、南アメリカの一部のインディオと、アメリカ合衆国の本土全域でインディアンが行っている先住民族の文化が、新大陸を求めヨーロッパから渡来した者たちに伝えられ、さらに彼らから世界各地に伝播していった。

ただ後に、工業化と大量生産手法の確立により、喫煙の主要な方法は、その簡便さから紙巻きたばこに切り替わっていった。その結果、アメリカインディアンのパイプによる喫煙は儀式のためのものとして、ヨーロッパに渡り独特のスタイルとして確立されたものは趣味性の高いものとしての性格がより強められている。
歴史
インディアンにとってのパイプ花とパイプを持ったアステカの女性たち(1500年代)

この喫煙具の発掘物は紀元前にまでさかのぼり、おそらく喫煙方法の発生した最初期から利用されていた方法で、メソアメリカ地域や、現在でいうアメリカ合衆国内のインディアンたちの喫煙方法が、細長い筒状の喫煙具を使うものであった。1519年にエルナン・コルテスが接触したアステカ族がパイプによる喫煙を行っていたことが記録に残されている。

アメリカ合衆国のインディアンは、パイプにつめる煙草の葉に、黄ハゼの葉やクマコケモモ、柳の樹皮、「キニキニック」という薬草などを混ぜて香りをつける。パイプはパイプバッグ(英語版)と呼ばれる特別な包みで、大切に保管される。これらは現在も変わらない。モンタナ州ブラックフット族の、白人を交えた和平のパイプの儀式風景(1916年)

インディアンたちのパイプは宗教道具としての意味が強く、あらゆる儀式には必ずパイプの回し飲みが行われ、また重要な事柄に取り掛かる前にも、必ず準備段階としてパイプが使われる。パイプと煙を使って、天上の精霊と通信するためである。ことに平原のインディアンがティーピーの中でパイプをくゆらせ、その煙が上方へ立ち昇る様子は、宇宙と一体となる象徴性に満ちている。現在、土産物屋でインディアンのパイプが売られている現状に、20世紀スー族の呪い師、ヘンリー・クロウドッグは「インディアンのパイプは、白人にとっての聖書であるから、別にかまわない」と述べている。インディアンのパイプ

インディアンがパイプを回し飲みして誓いを立てることは、キリスト教徒が聖書に宣誓することと同義である。シャイアン族は、カスター中佐が「リトルビッグホーンの戦い」で戦死したのは、その死の7年前に「和平のパイプの儀式」をカスターが拒否したための報いであると現在も言い伝えているほどである。アメリカ・インディアンの儀式のパイプは、呼び名は部族によって違うが、英語では「カルメット(Calumet)」と呼ばれている。アメリカ議会図書館で展示されている、スー族の儀式のパイプ(チャヌンパ)。火皿(右側)は外されている。

アメリカ合衆国のインディアンのパイプの火皿(ボウル)は、様々な石を掘って作られた。もっとも一般的なのは、ミネソタ州の「パイプストーン」特産の「カトリナイト」(画家のジョージ・カトリンの名から採られた)という赤い石を使って作られるものである。このカトリナイトはスー族が「先祖の血が固まったもの」と言い伝える神聖なもので、その採掘権は現在、インディアンのみが占有する。カトリナイト製の、インディアンのパイプの火皿

コロラド州ユテ族は「サーモン・アラバスター」、ミシシッピ流域のクリーク族チェロキー族は「ブルーストーン」や「クレイ(粘土)」で火皿を作った。火皿を彫るのは伝統的に男性の仕事で、動物やまさかりなど、様々な形に彫刻され、磨きあげられて使われた。パイプの柄は、西洋トネリコや柳、ハコヤナギの枝の芯の軟らかい部分を取り除いたもので作られた。

また、パイプは和平の象徴ともされ、部族間のパスポートの役目を果たす。現在でもインディアン社会ではパイプの役割は変わっていない。スー族など、「聖なるパイプ」を代々守り伝えている部族は多い。
西洋におけるパイプアドリアン・ファン・オスターデの油絵(1646年)

スペインから欧州に広がる過程では、当初こそ現地の喫煙具がそのまま利用されていたものが、次第に各地で独自の喫煙具が制作されるようになり、利用されていった。フランスの船主ジャン・ダンゴ (Jean d'Ango, 1480-1551) の記述によれば、1525年に船員の一人がクレイパイプを使用していたという[注 1]


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