パイナップル
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「パイナップル」のその他の用法については「パイナップル (曖昧さ回避)」をご覧ください。

パイナップル
パイナップル
分類APG III

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
階級なし:ツユクサ類 commelinids
:イネ目 Poales
:パイナップル科 Bromeliaceae
:アナナス属 Ananas
:パイナップル A. comosus

学名
Ananas comosus (L.) Merr. (1917)[1]
シノニム


Ananas comosus (L.) Merr. f. sativus (J.H.Schult.) Mez (1934)[2]

和名
パイナップル、アナナス、鳳梨
英名
Pineapple
パイナップルの果実

パイナップル(パインアップル、パインナップル、: Pineapple、学名: Ananas comosus)は、熱帯アメリカ原産のパイナップル科多年草、またはその肥大した実である。単にパインと略してよばれることもあるほか、漢名は菠蘿(はら、ポーロ)、または鳳梨(ほうり、オンライ、フォンリー)である。台湾では鳳梨、中国では菠蘿と表記する。また、植物名としてアナナスとよぶこともあり[3]、果実や可食部のみパイナップルとよんで区別することもある。「パイナップル」(pineapple)という名前は、本来は松 (pine) の果実 (apple) 、すなわち「松かさ」(松ぼっくり)を指した[4][5][注釈 1]。これが18世紀ごろに、似た外見をもつ本種の果実に転用され今に至る[4][5][注釈 2]。生産量は増加傾向にあり、コスタリカフィリピンブラジル産が多く、果実は甘い香りと果汁がたくさん含まれている。
形態

地下茎から叢生して剣状で硬く、ふちにとげのある品種とない品種がある。増殖させるときの苗は葉の付け根の腋芽が発達した吸芽を用いる。

苗を植えて12 - 18カ月すると株の中心部から花穂が現れる。60センチメートル (cm) から長いものでは100 cmに至る花軸が伸び、先端部分に円筒形の花序が付き、約150個のが咲く。花序にらせん状に密生する花はがく(外花被)、花びら(内花被)とも3枚で、単子葉植物の典型的な姿である。花びらは肉質であり、色は白を基調とし、先端部分が薄紫色を帯びる。開花後、受粉の有無によらず、約6カ月で結実する。結実後、子房に由来する真の果実と個々の花の基部にある花托、さらに花序の軸までが融合して肥大化し、いわゆる「パイナップル」となる。本当の果実は、実の表面にらせん状に並んでいる固い部分で、果実部分を皮のように剥くと果肉との間にゴマくらいの大きさの褐色の種子がみられる場合もある[3]

花序の先端の成長点は開花後も成長を続けて葉をつけた冠芽になり、これを挿し木しても繁殖できるが、吸芽を用いるよりも開花までの時間がかかるため、経済栽培における繁殖用には用いられていない。

フルーツなどの農産物を取り扱うドール・フード・カンパニーでは、2009年から、収穫時に切り取った冠芽を新しい苗に再利用したパイナップルをエコパインの名称で販売している[6]
栽培パイナップル畑(ガーナパイナップルの花(西表島・沖縄県

パイナップルは多年草であり、実を収穫後、根茎から再び芽を出し、これが成長すると先端部に結実する。しかしながら、収穫ごとに実が小さくなっていくため、株を3年以上用いることは少ない。パイナップルの果実といわれる食用部分は伸長した花序の軸の周りに排列した小果実の付け根の部分が軸もろとも融合肥大し、多量の汁を含むようになったもので、真の果実は表面へ螺旋状に並んだ、硬化して食べられない疣状の部分から果肉の表層までの部分である。多くの市販品を生産している農園では遺伝的に同一個体のクローンである同一品種ばかりを植えるので、自家不和合性によって受精がほとんど起こらず、果実内に種子ができていない。しかし、市販品でも時々他の農地の他品種の花粉がハチなどによって運ばれるなどの原因で受精が起きていることもあり、皮として剥いた部分と食用になる果肉の境界部分に褐色の胡麻粒のような種子が小数見られることがある。もちろんこれを土にまけば発芽するが、開花して果実をつけるに至るまで何年もかかる。

CAM型光合成を行うパイナップル科の他の植物と同様に、パイナップルもあまり土壌には依存しておらず、熱帯のやせた酸性土壌や乾燥した環境でよく育ち、降った雨水を葉の付け根に集めて葉面から吸収する。そのため、葉面散布肥料が効果的である。
歴史

原産地はブラジルパラナ川パラグアイ川の流域地方であり、この地でトゥピ語族グアラニー語を用いる先住民により、果物として栽培化されたものである。15世紀末、ヨーロッパ人が新大陸へ到達した時は、既に新世界の各地に伝播、栽培されていた。クリストファー・コロンブスの第2次探検隊が1493年11月4日、西インド諸島グアドループ島で発見してからは急速に他の大陸に伝わった。1513年には早くもスペインにもたらされ、次いで当時発見されたインド航路に乗り、たちまちアフリカアジア熱帯地方へ伝わった。当時海外の布教に力を注いでいたイエズス会の修道士たちは、この新しい果物を、時のインド皇帝アクバルへの貢物として贈ったと伝えられる。次いでフィリピンへは1558年、ジャワでは1599年に伝わり広く普及して行った。そして1605年にはマカオに伝わり、福建を経て、1650年ごろ台湾に導入された。

日本には1830年東京の小笠原諸島父島に初めて植えられたが、1845年にオランダ船が長崎へもたらした記録もある[3]1913年(大正2年)頃には、夜店で1個1-5銭で安売りされていた記録も残る[7]

1895年の台湾統治により、渡台した大阪の岡村庄太郎がパイナップル缶詰の研究を始め、1901年に商品化、翌年鳳山に岡村鳳梨製造所を設立したのをはじめ、パイナップル缶詰工業が日本人によって台湾に導入され、第一次大戦後には需要の拡大により台湾産パイナップルの生産量が激増、その9割が日本本土に輸出された[8][9]

2021年、台湾産パイナップルの中国大陸への禁輸措置に対しフリーダム・パイナップル運動が起きた。
生産市場に出回るパイナップル(レユニオン

植付け後15 - 18か月で収穫が始まる。自然下の主収穫期は、たとえば沖縄では7 - 9月と11 - 翌年2月である。1年を通した生産面の労働力の分配や缶詰工場の平準化を図り、植物ホルモンであるエチレンアセチレンカーバイドに水を加えて発生させる)、エスレル(2-クロロエチルホスホン酸[注釈 3])、を植物成長調整剤として利用し、計画的に花芽形成を促して収穫調節を施している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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