プラトンの著作
(プラトン全集)
初期
ソクラテスの弁明 - クリトン
エウテュプロン - カルミデス
ラケス - リュシス - イオン
ヒッピアス (大) - ヒッピアス (小)
初期(過渡期)
プロタゴラス - エウテュデモス
ゴルギアス - クラテュロス
メノン - メネクセノス
中期
饗宴 - パイドン
国家 - パイドロス
『パイドロス』(古希: Φα?δρο?、英: Phaedrus)は、プラトンの中期対話篇の1つであり、そこに登場する人物の名称。副題は「恋(エロース)について」[1][2]など。 本作は、その甘美で爽快感のある情景や描写により、時期的にやや先行する同じ中期の作品『饗宴』『パイドン』と並び称される。また、プラトンの思想の中核をなす諸概念が多彩に盛り込まれつつ、うまくまとめられ、それまでの初期・中期の著作の総括的な内容になっていることもあり、同時期に書かれた『国家』とも併せてよく言及される。 文体論による分類では、本作『パイドロス』に続いて、『パルメニデス』『テアイテトス』が中期の作品に含まれるが、それら二作品は、後期の作品である『ソピステス』『政治家』と内容的に一続きの「四部作」を形成し、イデア論を論理学的・認知論的に掘り下げていく(あるいは、パルメニデスの思想との統合を図っていく)発展的な内容を扱っていくことになるので、本作『パイドロス』はその直前の、『饗宴』『パイドン』『国家』と続く中期作品において、人生・政治や魂・エロース・感覚(視覚)と関連付けて比較的素朴・概説的に述べられる「前期イデア論」の流れの、締め括りの作品に位置付けられる[3]。 また、弁論術(レートリケー)が後半の主要な題材となっていることもあり、初期の作品である『ゴルギアス』との関連・対比についても、度々言及される。また『国家』や、後期の作品である『ソピステス』では、本作と同じく「弁証術(ディアレクティケー)と哲学者の関係」について言及するくだりがある。その続編の『政治家』にも、本作と同様に「弁証術(ディアレクティケー)を用いた、対象の本性・真実に沿った分割」に言及するくだりがある[4]。『ピレボス』においても、「知識・技術」を検討する過程で、本作と同じく「弁証術と弁論術の対比」に言及するくだりがある[5]。 また、『リュシス』『饗宴』と共通するモチーフとして、「少年愛 (パイデラスティア)」が取り上げられ、それを「堕落的な肉体的関係」ではなく、「共に真・善・美を探求していく (あるいは、それらを知る年長者が、年少者をそこへと善導して行く) 愛知者 (哲学者) 的な同志・友愛関係」へと昇華させていくべきだとするプラトンの思想が、それらの作品と同じく述べられている。
概要