Paiste
種類非公開会社
業種楽器製造販売
設立1906年 (118年前) (1906) in サンクトペテルブルク, ロシア帝国
本社ノットヴィル
パイステ(PAiSTe)は、スイスのシンバルメーカー。日本では、ジルジャン(Zildjian)、セイビアン(SABIAN)と共に、三大シンバル・メーカーと称される。 エストニア出身の両親を持つロシア人のトーマス・パイステ(Toomas Paiste)によって、1901年ロシアで創業。1917年にロシア革命の影響でエストニアに移転。トーマスの息子のミヒケル・パイステ(Mihkel Paiste)の代になって、1940年に第二次世界大戦が勃発するとポーランドへ再移転。第二次世界大戦が収まった1945年、今度はドイツへ移転。さらに1957年にスイスへ移転し、現在のPAiSTe社へとつながる。 2003年からは、ミヒケルの孫にあたるエリック・パイステ(Erik Paiste)が代表となっている。本社のあるスイス以外にも、ドイツとアメリカ(1981年 - )にオフィスを展開している。 ジルジャンとセイビアンは主力製品の材料としてB20ブロンズ(銅80%と錫20%の合金)のみを使用しているが、パイステはCuSn20(B20ブロンズ)、CuSn8(銅92%と錫8%の合金:他社はB8ブロンズと呼び、パイステは2002ブロンズとも呼んでいる)、Signature Bronze(パイステ独自開発の合金。特許を取得)の3種類を使い分けている。パイステはSignature Bronzeの組成を公表していないが、特許出願文書から、14.7?15.1%の錫を銅に加え、微量のリンを混ぜたものであることが明らかになっている[1]。 他者では廉価品の材料となっているCuSn8(B8ブロンズ、2002ブロンズ)を、主力製品の材料として採用している点もパイステの特徴と言える。CuSn8とCuSn20の違いについて、ジルジャンでシンバルの開発責任者を務めるポール・フランシスは「シンバルに使うブロンズは一般に、錫の割合が下がると音が高く、明るく、はっきりしたものになる」としている。パイステのアーティスト・リレーションズ担当部長兼プロダクト・スペシャリストであるクリスチャン・ウェンゼルは「錫の割合が上がると、シンバルの音は豊かで伸びやかなものになる」と語っている[2]。 CuSn8を材料とした同社の主力製品としては、2002シリーズが挙げられる。その音は、上記のポール・フランシスの説明の通り、明るく、なおかつ力強いものであり、発売当時に盛り上がり始めたハードロックによく合うものだった。ジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン)、ジェフ・ポーカロ(TOTO)、コージー・パウエル(ジェフ・ベック・グループ、レインボーなど)、ロジャー・テイラー(クイーン)、イアン・ペイス(ディープ・パープル)など数々の著名なハードロック・ドラマーが2002シリーズを愛用し、アマチュア・ドラマーの間でも大人気となった。一方で、CuSn20を材料としたFormula 602シリーズは上記のクリスチャン・ウェンゼルの説明の通り、ふくよかで表現力豊かな音がジャズ・ドラマーの間で好評を博した。 シンバルの製造方法も、ジルジャンとセイビアンとは大きく異なる。ジルジャンとセイビアンは材料となる合金のインゴットから自社で生産し(キャスト・ブロンズ)、それを打ち伸ばしてからハンマリングやレイジングなどの加工を施して製品としている。一方パイステは、外部の合金メーカーが製造したシート状の合金(シート・ブロンズ)を購入し、シンバルの形に打ち抜いたものにハンマリングやレイジングなどの加工を施して製品に仕上げる手法を採っている。シート・ブロンズから製造したシンバルは、キャスト・ブロンズから製造したシンバルに比べて、個体差が少なく、品質が安定している。
歴史
ブロンズ
シンバルラインパイステのシンバル