パイオニア・ヴィーナス計画
[Wikipedia|▼Menu]
パイオニア・ヴィーナス・オービターによって紫外線で観測された1979年の金星の雲の構造

パイオニア・ヴィーナス計画(パイオニア・ヴィーナスけいかく、Pioneer Venus project)は、別々に打ち上げられた2機の探査機によって行われた。パイオニア・ヴィーナス1号(パイオニア・ヴィーナス・オービター)は1978年に打ち上げられて軌道投入後十数年にわたって金星を探査し、パイオニア・ヴィーナス2号(パイオニア・ヴィーナス・マルチプローブ)は4つの小さなプローブを金星の大気中に運んだ。アメリカ航空宇宙局エイムズ研究センターパイオニア計画の一環として運用した。
パイオニア・ヴィーナス・オービター

パイオニア・ヴィーナス・オービター
パイオニア・ヴィーナス・オービター
所属エイムズ研究センター
任務オービター
周回対象金星
軌道投入日1978年12月4日
打上げ日時1978年5月20日
打上げ機アトラス・セントール
任務期間1978年5月20日-1992年8月
軌道減衰1992年8月
COSPAR ID1978-051A
公式サイトNational Space Science Data Center (NASA)
質量517 kg
消費電力312 watts
軌道要素
離心率.842
軌道傾斜角105°
遠点高度1.03 RV
近点高度12.01 RV
軌道周期24時間
テンプレートを表示
1978年から1980年と1992年のパイオニア・ヴィーナス・オービターの軌道高度ケネディ宇宙センターのパイオニア・ヴィーナス・オービター

パイオニア・ヴィーナス・オービターは、1978年12月4日に金星の楕円軌道に入った。オービターは直径2.5m、高さ1.2mの平たい円筒形で、後方の4.7mのブームの先に付く磁気センサを除き、全ての機器とシステムが前端に収められている。円筒の周囲には太陽電池が展開し、デスパンアンテナが地球とのS帯及びX帯の通信を担った。ヒューズ・エアクラフト社によって製造された。
実験機器

パイオニア・ヴィーナス・オービターは、合計45kgになる17個の実験機器を運んだ。

雲写真旋光計(OCPP)は、雲の垂直分布を測定した。

地表レーダーマッパー(ORAD)は、地形と地面の特徴を決定した。観測は、地表から4,700km以内に近づいた時に行われた。周波数1.757GHz、強さ20Wの信号がS帯で伝送され、地表で反射されたエコーが分析された。近点での解像度は、23×7kmであった。

赤外線放射計(OIR)は、金星の大気からの赤外線放射を測定した。

紫外線分光計(OUVS)は、散乱または放射紫外線を測定した。

中性質量分析器(ONMS)は、大気上層の組成を決定した。

太陽風プラズマ分析器(OPA)は、太陽風の性質を測定した。

磁気センサ(OMAG)は、金星の磁場を観測した。

電界検出器(OEFD)は、
太陽風とその相互作用を調査した。

電子温度計(OETP)は、電離圏の熱的性質を調査した。

イオン質量分析器(OIMS)は、電離圏のイオン組成を決定した。

荷電粒子逆電圧分析器(ORPA)は、電離圏の粒子を調査した。

2つの電波科学実験装置は、金星の重力場を決定した。

電波掩蔽実験装置は、大気の性質を調査した。

大気抵抗実験装置は、上層大気を調査した。

ガンマ線バースト検出器(OGBD)は、ガンマ線バーストを記録した。

大気と太陽風の乱流の測定。

ミッションの詳細

1980年7月に金星の軌道に入り、レーダーの補助と電離圏の測定のために近点は142kmから253kmの間に保たれ、遠点66,900kmの周期24時間の楕円軌道を回った。その後、近点は最高2290kmまで引き上げられ、燃料の節約のため再び下げられた。1991年、レーダーマッパーが再起動され、到着したマゼランとともに、以前はできなかった南半球の調査を行った。1992年5月、ミッションの最終段階に入り、燃料が枯渇して8月に大気圏再突入して燃え尽きるまで、近点は150kmから250kmに保たれた。
結果

パイオニア・ヴィーナス・オービターのレーダー高度計のデータから、金星表面の最初の地形図が作られた。



パイオニア・ヴィーナス・マルチプローブパイオニア・ヴィーナス・マルチプローブ

パイオニア・ヴィーナス・マルチプローブは、1つの大きなプローブと3つの小さなプローブを運ぶ1つのバスから構成された。そのプローブのいずれも写真を撮影する能力はなく、土壌の分析もできなかった。また、ソフトランディングさえできず、地上で活動できれば幸運と考えられていた。大きなプローブのパラシュートはある程度の高度で切り離されるように設計してあり、小さなプローブにはパラシュートもなかった。大気圏に突入した全てのプローブは少なくとも衝突の瞬間までは、金星の厚い大気の中で機能していたが、衝突後もかなりの時間、機能を保ったのは1つだけであった。

大きなプローブは、1978年11月16日、3つの小さなプローブは11月20日に放出された。4つとも12月9日に、バスに続いて金星の大気圏に突入した。

パイオニア・ヴィーナスのプローブとバス大プローブ北プローブ昼プローブ夜プローブバス
大気圏突入時刻 (200km)18:45:3218:49:4018:52:1818:56:1320:21:52
衝突時刻19:39:5319:42:4019:47:5919:52:05(信号は高度110kmで途絶)
信号途絶時刻19:39:5319:42:4020:55:3419:52:0720:22:55
衝突地点北緯4.4東経304.0南緯59.3東経4.8南緯31.3東経317.0南緯28.7東経56.7南緯37.9東経290.9 (推定)
太陽天頂角度65.7108.079.9150.760.7
金星時間7:383:356:460:078:30

バス

パイオニア・ヴィーナス・バス
プローブが接続したパイオニア・ヴィーナス・バス
所属エイムズ研究センター
任務大気プローブ
周回対象金星
打上げ日時1978年8月8日
打上げ機アトラス・セントール
COSPAR ID1978-078A


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:23 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef