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ベン・ハーをテーマにしたバーレスク(1900年頃)
バーレスク(Burlesque) とは、有名な作品のスタイルや精神をカリカチュアしたり、その作品のテーマをこっけいに描く文学・戯曲、音楽のジャンルである[1]。バーレスクという言葉はもともとイタリア語のburlesco から来ている。burlesco の語幹burla ?は、冗談、嘲りなどの語義をもつ[2]。
バーレスクは意味的にはカリカチュア、パロディ、戯作(トラヴェスティ)とも重なっており、ヴィクトリア朝時代の演劇がそうであったように、エクストラバガンザの要素も帯びている[3]。文学あるいは戯曲ジャンルとしての「バーレスク」という言葉は17世紀後半から使われており、遡ってチョーサーやシェイクスピア、古代ギリシャやローマ文化における古典の批評にも用いられている[4]。文学におけるバーレスクの例としては、アレキサンダー・ポープの『髪盗人』とサミュエル・バトラーの『ヒューディブラス』という対照的な作品を挙げることが出来る。音楽としてのバーレスクには、例えばリヒャルト・シュトラウスの1890年の『ピアノと管弦楽のためのブルレスケ』がある。戯曲としては、ウィリアム・S・ギルバートの『悪魔ロバート』やフレッド・レスリーとメイヤー・ラッツの劇作品、『リュイ・ブラースと放蕩者』(Ruy Blas and the Blase Roue )などがある。
時代が下ると、特にアメリカにおいてバラエティ・ショーの形式による見世物を指すようになった。華やかなショーガールが出演するアメリカ式のバーレスクは1860年代から1940年代にかけて人気を博し、劇場だけでなくキャバレーやクラブでもよく上演された。後期のアメリカン・バーレスクは猥雑なコメディと女性のストリップを演目とすることが特徴であった。ハリウッド映画には1930年代から60年代のバーレスクの雰囲気をミュージカルで再現しようとしたり、ストーリー上にバーレスク的なシーンを含んだ作品がある。例えば1972年の『キャバレー』や1979年の『オール・ザット・ジャズ』である。1990年代以降になると衰退していたバーレスクを再評価するニュー・バーレスクの動きがおこった[5][6]。
目次
1 文学における起源と発展
2 音楽におけるバーレスク
3 ヴィクトリア朝のバーレスク
4 アメリカン・バーレスク
5 ニュー・バーレスク
6 日本におけるバーレスク
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
文学における起源と発展 『髪盗人』でパロディの対象となったアラベラ・ファーマー
16世紀のはじめ、バーレスクという言葉はフランチェスコ・ベルニの『Opere burlesche 』のタイトルにおいて初めて登場した。この作品は印刷技術のまだなかった当時にあって、写本によって広く読まれた。それからしばらく、バーレスク形式の詩は、彼の名をとってpoesie bernesca と呼ばれたほどである。荘厳であったり哀れを誘う作品をグロテスクに模倣するものとしての「バーレスク」という文学用語は17世紀のイタリアおよびフランス、次いでイギリスにおいて普及するようになった[7]。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』における ピュラモスとティズベーの劇中劇や騎士道ロマンスを風刺したフランシス・ボーモントの『きらめくスリコギ団の騎士』などはこの種のパロディの最初期の例といえる[8]。
17世紀のスペインでは、風刺的な作品をいくつも書いたセルバンテスの劇作と詩が中世的なロマンスを笑いのめした。