バーチャルアイドル
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この項目では、架空のアイドルについて説明しています。1990年代に徳間書店インターメディアが発行していたバーチャルアイドル専門誌については「Virtual IDOL」をご覧ください。

バーチャルアイドル(英語: virtual idol)は、実在しない架空のアイドルのこと。広義としては美少女キャラクター全般を指す場合もある[1][2][3][4]

仮想アイドルとも呼ばれ、特に姿形にコンピュータグラフィックス (CG) を用いているものについては、CGアイドル[5]、バーチャル・リアリティ・アイドル(VRアイドル)[6][7]などと呼ばれたこともある。
概要

バーチャルアイドルは、絵、アニメーションコンピュータグラフィックスなど、さまざまな手段で形作られ、インターネットを含む仮想的な場や、時には現実の場においても、アイドル(アイドル歌手グラビアアイドルなど)のように活動を行う、またアイドルのように扱われるキャラクターである。

もともとは和製英語[注 1]、バーチャルアイドルという言葉が使われるようになったのは1990年代から[9]。同時期はバーチャルリアリティという概念が一般に知られるようになったころであり、英語virtualの大元の意味「実質的に同じ、効果としては同じ」さらにそこから派生した「コンピューターを用いて現実に実体のあるものの本質的な部分を仮想的に構築した」とは異なり[注 2]、日本では「バーチャル」=「架空の」と理解され、実在しないアイドル、アニメやゲームに登場する美少女キャラクターを意味する造語としてバーチャルアイドルという言葉が用いられるようになった[2][注 3]

出自は物語の登場人物であったり、クリエイターとファンが自由にキャラクターとその活動を形作っていく参加型のものであったり、一般的なアイドルやタレントと同様にキャラクターがプロデュースを受けてメディア活動するものなどに大別される[12]。人格まですべて架空ではなく、実在する人物がキャラクターのアバターで耳目を集める活動をするのもバーチャルアイドルの一形態になっている。

1990年代に、アニメやゲームに登場する架空の美少女が次々とアイドル化していき[14]、1996年には芸能事務所による3DCGを使用したバーチャルアイドルも登場[15]1990年代末から2000年代初頭にかけてはパーソナルコンピュータの高性能化や、インターネットの普及に伴い、一般の個々人が3DCGアプリケーションソフトウェアを用いてバーチャルアイドルを作り上げようという動きも見られた。2000年代には、ネットアイドルの仮想版であるバーチャルネットアイドルも誕生する。2005年にはアイドルグループのプロデュースシミュレーションするアーケードゲーム『THE IDOLM@STER』が発表され、流行した[16]。2007年には、バーチャルアイドル歌手をプロデュースするというコンセプトで歌声合成ソフト『キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク』が登場し、そのキャラクターである「初音ミク」は世界的な人気を博している。2017年下半期から2018年上半期にかけて、「Kizuna AI」をはじめとし、YouTubeを中心に活動するバーチャルYouTuberと呼ばれるバーチャルアイドル達が人気を得始めた。[17][18][19]

バーチャルアイドルは、生身の人間の限界を超えて、歌や動画、写真集など、さまざまな展開が可能なものの、受け入れられるには同人の二次創作などの受け手の自由な活動を許容するなど、押し付けがましくないことが必要である[21][23][25][26][27]。また、一方通行の媒体よりも、操作する余地の格段に広いゲームのような双方向の媒体の方が、バーチャルアイドルとのより自由で濃密な交流が可能である分、優位とされる[28]
歴史
前史

バーチャルアイドルという言葉が注目されるようになる以前に生まれたキャラクターでも、アニメ『超時空要塞マクロス』(1982年 - )のヒロイン「リン・ミンメイ」や、ラジオ番組『伊集院光のオールナイトニッポン』から生まれた「芳賀ゆい」などが、代表的なバーチャルアイドルとして挙げられる[20][22]

リン・ミンメイはアニメ『超時空要塞マクロス』に登場する架空のアイドル歌手だが、作中で使用されている歌が一般のアイドル歌謡として販売され[注 4]オリコンチャート入りした[注 5]。他にも作中に登場するキャラクター商品「歩くミンメイ人形」が実際に発売されたり、ミンメイがDJを担当するラジオ番組という設定のLPレコードがリリースされるなど、後のバーチャルアイドルの活動や展開を先取りするような様相であった[29]

芳賀ゆいは、1989年11月、伊集院光がラジオ番組で発した「『歯がゆい』という名前のアイドルがいたら面白い」という発言に端を発し、リスナーたちの投稿によって基本設定や目撃情報を構築していき、理想のアイドル像を作り上げたものである。現実での活動は翌1990年から歌担当、写真媒体担当、握手会の手の担当など複数の女性が分担して行った。その方法論や実践は、その後のバーチャルアイドルにも影響を与えている[注 6]

また、SF作品には作内でバーチャルアイドルを描いていると評されたものあり、そうしたものとしてはウィリアム・ギブスンの小説『あいどる』(原題: Idoru、1996年)などに登場する「投影麗(英語版)」、アニメ『メガゾーン23』(1985年)に登場する「時祭イヴ」[32][注 7]や『マクロスプラス』(1994年 - 1995年)に登場する「シャロン・アップル」などが挙げられる[24]

一方で、単に美少女キャラクターを指す意味でのバーチャル・アイドルの流れを作っていったものとして、日本のパソコンにおける美少女ゲームの存在が大きい[2]
登場

1993年2月、コナミコンピューターゲームツインビー』シリーズのヒロイン、「ウインビー」をバーチャルアイドルとして育てようという企画「ウインビー国民的アイドル化計画」を開始。ファンクラブを組織し、会報誌を発行、ラジオ出演やオリジナルアルバム発売など、さまざまな活動を行なった[2]。1994年11月10日にはバーチャルアイドル専門誌『Virtual IDOL』も創刊された。また、1994年にはコナミが恋愛シミュレーションゲームときめきメモリアル』を発売。メインヒロイン藤崎詩織らがバーチャルアイドルとして大きな人気を呼び、バーチャルアイドルという言葉が世の中に浸透し始めた。

1990年代は、「アイドル冬の時代」と呼ばれる、それまでのアイドルのあり方が否定的に捉えられる時代であったが、そのような中で、徐々に声優がアイドル化し、彼女らがバーチャルアイドルにおける唯一の実在の部分であったため、キャラクターの人気と相まって支持を増やしていった[33][34]。中には声優の麻績村まゆ子のように、実体を持たないバーチャルアイドル声優として登場しながら、途中から実体を持つ普通のアイドル声優に路線変更したという事例もある。

2000年代には、アニメ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』の作中アイドル中原小麦が、全く架空のコンサートを収録した「ライブアルバム」を発売した[35]
バーチャルアイドル育成ゲーム

1984年発売の『Emmy』が、最初期の美少女育成ゲームとして挙げられる[2][36]。1991年の『プリンセスメーカー』を経て、1992年の『卒業 ?Graduation?』のキャラクターは歌、ドラマCDなどを数多く出し[注 8]、更に同じシステムの1993年の『誕生 ?Debut?』では、直接アイドルの育成を扱った。

2005年にはアイドルのプロデュースと、さらにそれを3Dで観賞できるアーケードゲーム『THE IDOLM@STER』が登場し、大きな流行となっている[37]
CGによるバーチャルアイドル.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

1986年発売の『Shade』に参考例として同梱されていた加藤直之作の「沈黙の美女」が3DのCGアイドルの源流として指摘される[5]1996年ホリプロが3DCGによる伊達杏子を大々的に登場させたものの不評に終わった[20]が、1998年には漫画家くつぎけんいちがインターネットでテライユキを発表し、二次使用を促したこともあって流行となった。そのころまで、重い負荷のため、専用に設計されたコンピュータで生成されていた3Dのコンピュータグラフィックスが、性能の向上とともに徐々にパソコン上で作成できるようになっており、インターネット上で個人制作のバーチャルアイドルが多数発表され[5]、1999年には写実的な描写の飛飛が発表されて人気となった。

2011年、AKB48の新人として登場した江口愛実が、他のAKBメンバーを元に合成したCGであったのが明かされて批判を浴びるという出来事があったが、これは一見しただけでは実在のアイドルと区別が付かないほど精巧なものであった[22][38]

バーチャルYouTuberは、一般的に、モーションキャプチャを利用しながら3DCGまたは2DCGによって作られている[39]。手軽にバーチャルYouTuberになれるスマートフォンアプリも存在する[40]。「バーチャルYouTuber」を参照

バーチャルYouTuberの活動は次第に細分化しており、ジャンル毎にバーチャルシンガー(VSinger)やバーチャルライバーなど様々な呼称があるが、以下ではバーチャルアイドルと称している個人・ユニット中心に記述する。


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