バンク・ジョブ
The Bank Job
監督ロジャー・ドナルドソン
脚本ディック・クレメント
『バンク・ジョブ』(原題:The Bank Job)は、2008年公開のイギリス映画の強盗スリラー映画。ロジャー・ドナルドソン監督、ディック・クレメントとイアン・ラ・フレネの脚本、主演はジェイソン・ステイサム。
1971年にロンドンのベイカー街で実際に起こった銀行強盗事件「ベイカーストリート強盗事件」(「ウォーキートーキー強盗」ともいう)をモデルにしている。 テリーはかつて裏社会に身を置いていたが、妻子のために足を洗い、現在は中古車店を経営していた。経営は順調とは言えずギャングの高利貸しに嫌がらせを受けていた。そこに旧知のモデル、マルティーヌが、警報装置の交換を行う銀行の地下貸金庫を襲おうという話を持って来た。貸金庫にあるのは隠し資産などの人に知られてはならない物ばかりなので、被害届も出しにくいという。テリーは友人ら5人を誘い計画を練る。 1971年9月のある日曜日、ロンドンのベイカー・ストリート185番地のロイズ銀行に強盗団が押し入る。テリーたちは銀行の2つ隣の店を買い取り、そこから銀行の地下金庫まで15メートルほどのトンネルを掘ったのだった。途中、17世紀のペスト禍で死んだ人々の地下墳墓を掘り当て、これが銀行の真下まで続いていたことで作業は飛躍的に進む。穴掘り作業中、近くの建物に見張りを立たせ、無線(ウォーキートーキー)を使って連絡しているのをアマチュア無線家に傍受される。しかし、警察はアマチュア無線家の通報を当初は相手にせず、また取り上げてからも具体的にどこの銀行が襲われるか分からず、総当りに当たることにする。貸金庫に入って大はしゃぎで金品を物色するテリーたち。そのときパトカーがロイズ銀行にやってくる。金庫の前まで警官が来るが、タイマー錠で開けられなくなっている扉が破壊された様子もないので、中を確認することもなく去る。しかし、いつまた戻ってくるとも限らないと、強盗団は慌ててブツを持って逃げることにする。銀行の裏手から走り出た車両を、周辺で見張っていた政府のエージェントたちが強引に停車させるが、乗っていたのはアルバイトで雇われた中年の男だった。逃亡車両はマルティーヌの知らぬ間に別に用意してあったのだ。その車両でガレージに逃げ込みブツを確認したテリーたちは驚愕する。出てきた物は各国の通貨や宝石だけではなく、大臣をはじめとする有名人たちのスキャンダラスな写真だった。中でもスキャンダラスなのはマーガレット王女のセックス写真であった。テリーがマルティーヌを問いつめると、彼女は情報機関MI5の工作員ティムから特定の貸金庫にしまわれているブツの強奪を頼まれたことを告白する。実は3週間前にマルティーヌはモロッコからの麻薬密輸で逮捕されていたが、銀行強盗を実行すれば無罪にするとティムが持ちかけてきたのだった。写真は自称公民権運動家のテロリスト、「英国のマルコムX」ことマイケルX(Michael X)
ストーリー
銀行から数百万ポンドの現金と宝石類が強奪された事件は連日大々的に報道される。無線傍受の録音がラジオで流され、テリーの子供たちも「パパがラジオに出ている」と騒ぐ。テリーの妻は再び犯罪に手を染めたテリーを責める。ポルノ業者ヴォーゲルはウェストエンドの警官たちへの賄賂が記録してある裏台帳が盗まれたことに気付き、これを知った汚職警官たちも慌て始める。売春宿から、特殊性癖にふける姿を隠し撮りしたスキャンダル写真が盗まれたことを知った政府高官たちも回収しようと焦る。実行犯たちは政府のエージェントや筋金入りのプロの刺客に狙われるようになる。先に海外に逃亡したガイとバンパスは何者かによって殺害される。徐々に犯人たちは追いつめられ、強奪した「秘密」を巡る命を懸けた駆け引きが繰り広げられる。そして、新聞は報道を全く止める。政府が歴史上数回しか発したことのない「D通告・国防機密報道禁止令」(D-Notice)を出したのだ。
ティムはマーガレット王女のスキャンダル写真を引き渡せと迫り、テリーの仲間を誘拐・拷問してテリーにたどり着いたヴォーゲルも、裏台帳とスキャンダル写真の引渡を要求してくる。ヴォーゲルは裏社会を通じてマイケルXとも接触があり、スキャンダル写真を取り返そうとしていたのである。ティムに従えば仲間を見捨てることになり、ヴォーゲルに従えばティムら政府から狙われることになるとテリーは苦悩する。
結局テリーは、パディントン駅で王室の責任者・マウントバッテン卿に王女の写真を渡し、パスポートと不逮捕の保証を受ける。パディントン駅へ人質交換にやってきたヴォーゲルらはMI5の存在に気付いて逃亡を図りテリーたちを襲う。そこへ、強盗事件捜査担当のロイ・ギブン巡査部長が駆けつけ、汚職警官とテリーたちの両方を逮捕する。ロイがヴォーゲルの裏帳簿に載っていないのを確認したテリーは、裏帳簿の引渡場所としてパディントン駅を指定していたのだった。パトカーに乗せられたテリーたちは、マウントバッテン卿の計らいで釈放される。
ヴォーゲルに殺された仲間の追悼パーティーでマルティーヌはテリーの妻に近づく。テリーに好意を持っており一緒に逃げたかったが、テリーにその気はなかったと聞き妻はテリーを許す。