バレンシア語
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バレンシア語

valencia
話される国 スペイン
地域バレンシア州
言語系統インド・ヨーロッパ語族

イタリック語派

ロマンス語

西イタロ語

西部

ガロ・イベリア語

イベロ・ロマンス語

西イベリア語

カタルーニャ語

バレンシア語









表記体系ラテン文字
公的地位
公用語バレンシア州
統制機関Academia Valenciana de la Llengua
言語コード
ISO 639-1ca
ISO 639-2cat
ISO 639-3?
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バレンシア語(valencia バレンシア語での発音 [valensi?a] ヴァレンシアー)は、スペインバレンシア州公用語とされている言語。言語学では、カタルーニャ語の主要な方言で、バレンシア州で話されているものを指す。

1982年の「バレンシア語の使用および教育に関する法律」では、バレンシア語はバレンシア州固有の言語とされ、市民はバレンシア語の学習と使用の権利があるとされる。2005年6月の調査では、バレンシア州の住民のうち94%がバレンシア語を理解でき、78%が話したり読んだりでき、50%が書くことができる。目次

1 言語学上の問題

1.1 名称

1.2 バレンシア語の特徴

1.3 バレンシア語の方言


2 言語か方言か?

3 独自の言語とする理論

4 政治的な問題

5 参考文献

6 関連項目

7 外部リンク

言語学上の問題 カタルーニャ語の方言地図

言語学者の間で意見が一致しているのは、「バレンシア語」はバレンシア州で話されているカタルーニャ語の方言だということである。「バレンシア語」という言葉は、バレンシア州の方言をカタルーニャ語全体または「バルセロナのカタルーニャ語」(中央カタルーニャ語グループ)から区別するために用いられる。この意味では、バレンシア語は西カタルーニャ語の一方言と考えることができる。西カタルーニャ語には、ラ・フランジャ(アラゴン州東部)、アンドラカタルーニャ州リェイダ県タラゴナ県の南半分で話されている方言も含まれる。
名称

言語学者のあるグループ(ほとんどはバレンシア語アカデミーから来た者)は、「バレンシア語」をカタルーニャ語地域全体で話されている言語の名前としても使うこと、つまり「バレンシア語」を「カタルーニャ語」と同義語にすることを提案した。この言語学的かつ政治的なコンセプトは新しいものではない。バレンシア州の自治法では、バレンシア語とカスティーリャ語が公用語とされている。

2006年5月スペインの最高裁判所は、バレンシア州内閣が1995年に出した教育に関する命令を取り消す決定を下した。取り消された命令とは、カタルーニャ州とバレアレス諸島州が発行するカタルーニャ語の資格はバレンシア州では適用されないというものである ⇒[1]。カタルーニャ語とバレンシア語が同一のものであることを認めたことになる。
バレンシア語の特徴

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バレンシア語の方言 バレンシア語の変異

北バレンシア方言:カステリョン県北部のベニカルロやビナロス、アラゴン州テルエル県のマタラニャ地域、カタルーニャ州タラゴナ県トゥルトーザを取り囲む州境地域で話される。語末の"r"が不定詞形では発音されない("kan'tar"ではなく"kan'ta"となる)、"el, els"の代わりに古い冠詞"lo, los"が使われる(lo xic, los homensなど)といった特徴を持つ。


カステリョン方言:カステリョン・デ・ラ・プラナを中心に話される。標準的な"a"の音の代わりに"e"を使うので区別しやすい。たとえば"Als matins ell cante en la dutxa"(朝にシャワーの中で彼は歌う)では"canta"が"cante"となる。


中央方言(apitxat):バレンシア市を中心に話される。バレンシア州の中心地であるが、テレビやラジオは中央方言を標準とは見なしていない。2つの特徴がある。

有声の歯擦音が無声になる。ほかの地域で['d?ove], ['kaza](若い男、家)と発音されるものが['t?ove] ['kasa]となる。リバゴルサ方言と共通する特徴。

単純過去が残っている。ほかのカタルーニャ語地域では「行く+不定詞」の過去形となるものが、代わりに単純過去になる。たとえば、"ahir vaig anar a passejar"ではなく"ahir ani a passejar"(私は昨日散歩に行った)となる。



南方言:バレンシア県アリカンテ県の間の地域で話される。標準的なバレンシア語とされている方言である。おもな特徴は母音調和である。二音節の単語の後ろの音節がAで、前の音節がEやOのときは、前の音節に引きずられる。"terra" [t?r?](地球)、"porta" [p??t?](ドア)、"dona" [d?n?](女性)など。


アリカンテ方言:アリカンテ県の南部で話される。ムルシア州のカルチェ地域では、多くの特徴が東カタルーニャ方言と共通する。

言語か方言か? バレンシア語を理解できる人の割合。2001年の調査による。

学会では、バレンシア語の起源はカタルーニャ語にあり、レコンキスタによってバレンシア王国となった地域に持ち込まれた言語であると広く認められている。カスティーリャ語が南方の新カスティーリャ地域やアンダルシアに広まったように、アラゴン王国からアラゴンとカタルーニャの人間がバレンシアに移住したとされる。カタルーニャの南西地域の言葉とバレンシア語が似ているのは、その地域からの移住者が多かったためと推定されてきた。

しかし、アラゴンの学者アントニオ・ウビエト・アルテタはその著書『バレンシア王国の起源』で、ハイメ1世が残した記録の数字に基づき、レコンキスタと14、15世紀の間、カタルーニャからの移住者はたった5%だったと示している。バレンシアの人口の70%はモサラベ(イスラム支配下のキリスト教徒)とムーア人のままで、11%がカスティーリャから、10%がアラゴン王国から、7%が外国からだったとしている。

もっとも、大規模な人口の移動がなくても言語が変化する例は多い。たとえば、アイルランド、ウェールズ、スコットランドでは、移住がほとんどなくても、数世代で在来の言葉が英語に入れ替わった。

バレンシア人のアイデンティティは、何世紀もの政治的な展開の結果であり、バレンシア人はカタルーニャのアイデンティティを受け入れたり拒否したりしてきた。2つの地域にはしばしば軋轢も生まれた。こうした歴史的な要因のために、バレンシアで話される方言の地位について言語学的な陣取り争いが起きたのも不思議ではない。スペイン政府とバレンシア自治政府による現在の公式な定義はあいまいである。バレンシアの自治法ではバレンシア語は独自の言語であると解釈できるが、バレンシア語の規則を定める州公式の言語学アカデミーはバレンシア語をカタルーニャ語の一種としている。

言語学的な見地では、バレアレス諸島ルシヨン(フランスのカタルーニャ語地域)、とりわけアルゲーロの方言よりも、バレンシア語はカタルーニャ州のカタルーニャ語に近い。にもかかわらず、そうした方言はすべてカタルーニャ語の方言と見なされており、書かれるときには標準カタルーニャ語の文法に従う。対照的にバレンシア語には別の標準があるが、バレンシア語とカタルーニャ語の標準文法は完全に互いに理解可能である。公式には、バレンシア語の標準はバレンシアの言語学アカデミーによって制定される。しかし、バレンシアで制定される以外の部分は、カタルーニャの研究機関によって定められるカタルーニャ語のルールに従うのが一般的である。

バレンシアの自治法ではバレンシア語を「valencia」と呼んでいるが、これは15世紀以来伝統的に使われてきた名称である。 ⇒Lo Rat Penatという私的な団体は、バレンシア語を別の規則で綴ることを主張しており、バレンシア語とカタルーニャ語の規則を分ける試みは、地域主義者や右翼の政治家に支持されている。しかし、学会からはそうした理論は支持されていない。
独自の言語とする理論


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